書評

科学技術哲学

マイケル・S・ガザニガ『人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線』

これはかなりおすすめ。タイトルそのものの内容に興味がある人すべてに。 本編だけで500ページ以上ある、すごい大著だけど、これでもかというぐらい様々な内容が次から次へ出てくるので飽きない。 関連書籍に並べた本のような多様な分野の研究に言及されるので、最初の1冊としてもベストじゃないかと思う。 つまり、まずここから読み始めて気になった参考文献を辿っていくという使い方にもってこい。関連書籍おまけ【ニコニ...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年6月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』★★★ オリヴァー・サックス著。『動物感覚』でこれだけ読み落としていたことに気づいた。『レナー...
政治経済社会

ダン・ガードナー『リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理』

我々が恐れなければならない唯一のものは、恐怖そのものである。(フランクリン・ルーズベルト) ルーズベルト大統領はともかく、この言葉は好きだったのに、しばらく積んでたのを後悔。これは素晴らしい。超いい。『詐欺とペテンの大百科』『表現の自由を脅すもの』 と並んで、一家に一冊配布を義務づけたいレベル。進化心理学本メディアリテラシー本科学リテラシー本社会問題リテラシー本 いずれの視点から見ても最高クラス。...
政治経済社会

マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』

原題 "Justice - What's the Right Thing to do?"(『正義――何が正しいことなのか?』)NHKでハーバード白熱教室として放送されているらしい講義の書籍化。 歴史を足早におさらいする感じや、日本での流行り方からは、正義論に集中した『ソフィーの世界』、といった印象を受ける。 確かに流行るだけあって、大変よくまとまっていると思う。この分野の入門書としては最高だ。おす...
科学技術哲学

マーティン・ガードナー『奇妙な論理 だまされやすさの研究』

最近亡くなったマーチン・ガードナーによるニセ科学本の古典。原題"In the Name of Science."(『科学の名の下に』) 原著は1952年著と相当に古く、単に多くのネタが昔の話であるというだけでは済まない。一例を挙げれば、「ニグロ」という単語が、単に「黒人」という意味でなんの注釈もなしに使われる。現代ではありえないことだ。 この本の面白さは、それほどまでに古いにも関わらず、その価値が...
おすすめ書評まとめ

貴志祐介小特集

『新世界より』がめちゃくちゃ面白かったので、作者つながりで読んでいた、貴志祐介特集。比肩するほどのものはなかったけど、まったくの外れもない。『天使の囀り』★★★ これだけは寄生虫つながりで前から読んでいた。結構好き。ついでに『パラサイト・レックス』は寄生虫関係では随一の超おすすめ本だから、ぜひ読んでおいてほしい。『青の炎』★★ 読んだことがあるのは『天使の囀り』だけかと思っていたが、昔ひぐらしの祟...
おすすめ書評まとめ

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア小特集

『動物感覚』でラセンウジバエ*1という単語が出てきたので、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアのことを思い出した。 わりと好きなSF作家で、やたらかっこいいタイトルをつける。思い出しついでに、印象が残っているものだけ厳選して紹介する。『星ぼしの荒野から』★★★★ なんと言っても白眉は『ラセンウジバエ解決法』。この一本だけでも読んでおく価値はあると思う。映像化されているらしいが、それは見ていない。映像...
文化芸術宗教

貴志祐介『新世界より』

21世紀初頭に超能力の存在が確認されてから1000年後、人類は機械文明を捨て独自の精神文明の世界を築いていた……。 と書くと、なんともそそらない陳腐極まる設定に見えるのだが、実際に読み始めると1ページ目から引き込まれる。随分ひさびさに小説で時間を忘れるぐらい面白かった。 SFでもファンタジーでもありホラーでもあり、冒険活劇でもありジュブナイル小説でもある。1つ1つのネタは陳腐に見えても全体の完成度...