書評

科学技術哲学

サイモン・コンウェイ・モリス『進化の運命:孤独な宇宙の必然としての人間』

Togetter - 「サイモン・コンウェイ=モリス『進化の運命:孤独な宇宙の必然としての人間』を読む前に考えていたこと」  読んだ。けど、残念ながら、読む前に考えていたこと以上の収穫は特になかった。  チチュルブ隕石がなくても「恐竜人」が生まれただろう、とは流石に言ってはいなかったが、ある意味それより身も蓋もないことを言ってた。  当時、地球はすでに寒冷化に向かっていたから、隕石がなくても、いず...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年8月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『基礎から学ぶ楽しい疫学』★★★★★  中村好一著。そのまんま教科書。真剣に勉強する気がある人にしかおすすめできないが、ある人には絶対おす...
科学技術哲学

エドワード・O・ウィルソン『創造―生物多様性を守るためのアピール』

エドワード・オズボーン・ウィルソンが、科学とキリスト教が協力して生物多様性の保護に取り組もうと、仮想の南部バプティスト派牧師に対し訴えかける、という本。  はっきり言って、試みそのものが成功しているとは全く思えない。当たり前だが、ウィルソンは神の創造は嘘で進化が事実であるということについては一歩も譲る気はないわけで、牧師にとっては、 「私たち科学者は、君たち牧師が一番大事だと信じていることが全くの...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年7月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『シー・シェパードの正体』★  佐々木正明著。興味ある人は押さえておいてほしいけど、日本では、シーシェパードをそのまま信じている人なんてあ...
科学技術哲学

リチャード・ランガム『火の賜物―ヒトは料理で進化した』

イントロダクション 料理にまつわる仮説 第1章 生食主義者の研究 第2章 料理と体 第3章 料理のエネルギー理論 第4章 料理の始まり 第5章 脳と食物 第6章 いかに料理が人を解放するか 第7章 料理と結婚 第8章 料理と旅 エピローグ 料理と知識説  中国神話の燧人(すいじん)氏は、人に初めての「火食」を、つまり、木をこすり合わせて火をおこし、食物を加熱することによって、生臭さを除き食中毒を防...
文化芸術宗教

西尾維新『化物語』『傷物語』『偽物語』

ラノベ補強計画の一環として西尾維新に再チャレンジ。以前カタカナ8文字のシリーズに挑戦しかけ、数ページも耐えられずに投げた記憶があるが、こっちのシリーズは読めた。  時事ネタ・他作品ネタ・メタネタが多いのが予想外だったが、この独特の言語センス・ギャグセンスは嫌いではない。  基本的に最初から最強で、都合のいい女の子に囲まれ常時セクハラしまくり、いい人だというだけで好かれまくる。男性キャラは基本的に性...
科学技術哲学

マイケル・S・ガザニガ『人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線』

これはかなりおすすめ。タイトルそのものの内容に興味がある人すべてに。  本編だけで500ページ以上ある、すごい大著だけど、これでもかというぐらい様々な内容が次から次へ出てくるので飽きない。  関連書籍に並べた本のような多様な分野の研究に言及されるので、最初の1冊としてもベストじゃないかと思う。  つまり、まずここから読み始めて気になった参考文献を辿っていくという使い方にもってこい。 関連書籍 おま...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年6月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』★★★  オリヴァー・サックス著。『動物感覚』でこれだけ読み落としていたことに気づいた。『...