最近亡くなったマーチン・ガードナーによるニセ科学本の古典。原題”In the Name of Science.”(『科学の名の下に』)
原著は1952年著と相当に古く、単に多くのネタが昔の話であるというだけでは済まない。一例を挙げれば、「ニグロ」という単語が、単に「黒人」という意味でなんの注釈もなしに使われる。現代ではありえないことだ。
この本の面白さは、それほどまでに古いにも関わらず、その価値が全く損なわれていないことだ。むしろ上がっているかもしれない。人間の騙されやすさというものが、当時と全く変わっていないからである。
だが変わった部分もある。現代のニセ科学批判者は、ここでのガードナーほど、ニセ科学の推進者を奇人変人としては扱わないし、騙される大衆を間抜け扱いしないと思われる。
「人間の騙されやすさ」は変わっていなくても「人間の騙されやすさに対する理解」が、当時に比べ大幅に増しているからだ。
今では誰も知らないようなトンデモがある。今では誰も知らないが、それとほとんど同じようなものを代わりに知っているトンデモがある。ホメオパシーのような今でもそっくりそのまま存在するトンデモもある。そのままの意味でも、歴史的な意味でも、大いに価値があるだろう。
おまけ
「人間ってそんなものね 許し逢えるって素晴らしい」
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