書評

政治経済社会

クリス・ヘッジズ『本当の戦争―すべての人が戦争について知っておくべき437の事柄』

こういう「冷静な頭と温かい心」的な感じは好き。そでより。戦場特派員として、15年にわたり、中南米、アフリカ、中東、バルカン半島など、世界中の紛争地をかけめぐって報道してきた前線記者が、豊かな経験を活かし、戦争とはなにかをQ&A方式で事細かに示したのが本書である。現代の強力な武器や爆発物が、命を奪うだけでなく、人間にどんな傷を残すのか。現役の兵士や退役軍人、さらには医師、心理学者などに取材を重ねて、...
文化芸術宗教

伊藤計劃『ハーモニー』

いつぞやの表現規制の件周辺で何度かタイトルを小耳に挟んだので読んだ。『すばらしき新世界』『1984年』『エヴァ』百合(公認) って感じか。表現規制の件で引かれた文脈はまあわかった。 でも『すばらしき新世界』『1984年』の部分はそのまんま。『エヴァ』の部分は、読んだ人はわかると思うが、「老人」って言葉の使い方とか、結局人類補完計画*1かよとか。 元ネタに対するプラスアルファの部分が百合以外これとい...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年1月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。『キサラギ』★★★キサラギ レビュー - レブログ! D.IKUSHIMAさん経由。確かになかなか面白い脚本だ。映画も機会があったら見たい。ま...
文化芸術宗教

教皇庁文化評議会/教皇庁諸宗教対話評議会『ニューエイジについてのキリスト教的考察』

ニューエイジについてのキリスト教的考察(公式) ニューエイジが日本人にとって極めて理解しにくい理由は、それが基本的に西洋思想、とりわけキリスト教と近代科学に対するアンチテーゼだからだ。 ある程度まで当たり前で、仕方のないことだが、日本人はキリスト教についてよく知らない。*1「○○」をろくに知らないのに「○○への反発」を正確に理解できるはずがない。 そこを上手いこと補うために推薦できるいい本がないか...
科学技術哲学

スタンレー・ミルグラム『服従の心理』

よく教科書にも載ってる有名なミルグラム実験の本。スタンレー・ミルグラムはスモール・ワールドの概念の先駆者としても有名。 一応、旧版で読んだような記憶はあるが、「服従の心理」はスゴ本: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる で、山形浩生氏の批判というのに興味を持った。 確かに、山形氏の批判は、どれもいいところを突いていると思う。この実験の今日的な解釈として同意できる部分が多い。おすすめ...
文化芸術宗教

田中芳樹『銀河英雄伝説』

銀河英雄伝説 ON THE WEB銀河英雄伝説 - Wikipedia ここで言及したので、記憶に上ってきた。 多分一番有名な架空歴史ラノベ。ヤン・ウェンリーってユルいヒーローの先駆けなんじゃないだろうか。 ちゃんと読み直したわけじゃないが、今考えるといろんな意味で「911もオウムもソ連崩壊も起きてないときの小説だなあ」と思う。 「話の展開に詰まったらとりあえず原理主義的宗教のテロで誰か殺しとけ」...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2009年12月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。『最新脳科学が教える 高校生の勉強法 東進ブックス』★★★★ 池谷裕二著。胡散臭い分野だけど、まともな内容。個人的には新しい内容はなかったがお...
科学技術哲学

ドナルド・E・ブラウン『ヒューマン・ユニヴァーサルズ―文化相対主義から普遍性の認識へ』

ここ1世紀ぐらいの人類学の歴史を超大雑把に捉えれば、文化相対主義が盛り上がって頂点を極めた後、徐々に後退している歴史であるといえる。 もちろん、今日の基準に照らせば馬鹿馬鹿しいほどに極端な相対主義は、さらにその前の、もっとずっと極端に酷い文化差別・性差別がまかり通った時代への反動として生まれてきたものだ。 そのことを忘れて、単に後知恵の批判をするだけではまずい。それらの歴史も踏まえた上で、新しい知...