社会

政治経済社会

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー『超ヤバい経済学』

前作に比べると大幅に劣るけど、やはり面白い。売春の章が一番面白かった。  一般に話題になったのは温暖化の章らしいが。まあこんな皮肉った言い方してるから、もめるのは仕方ないか。  一方、どんな宗教にも邪教はつきもので、地球の温暖化もご多分にもれない。ボリス・ジョンソンは古典学を学んだジャーナリストで、その後ロンドン市長になった人だ。彼はラヴロックを読んで――ジョンソンはラヴロックを「神がかりの人」と...
科学技術哲学

スーザン・A・クランシー 『なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか』

UFOは一時期に比べてめっきり人気なくなったので時期外しの感はあるけど、わりといい本だったと思う。『抑圧された記憶の神話』は怖すぎて読めないという人にいいかも。  アブダクティーの研究から見えてきたいちばんのポイントは、わたしたちの多くは神のような存在とのコンタクトを求めていて、エイリアンは、科学と宗教との矛盾に折り合いをつける方法なのだということだ。わたしぱ、ユングの「地球外生物は科学技術の天使...
日常の一コマ

ミッフィーのマグカップ事件

ある日、たまたま玄関で会った配達のおっちゃんから、宅配ボックスの調子がおかしいんじゃないかと言われた。  見ると確かにおかしい。全部Errorとか表示されている。ここしばらく、普段なら宅配ボックスに入っているはずの荷物が再配達になっていたのはそのせいか。管理会社に連絡を入れておく。  次の日、管理会社からのメモ付きで、古びた荷物が宅配ボックスに入っていた。包装から判断できるのは、誕生祝いの引き出物...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年8月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『基礎から学ぶ楽しい疫学』★★★★★  中村好一著。そのまんま教科書。真剣に勉強する気がある人にしかおすすめできないが、ある人には絶対おす...
政治経済社会

話せばわかる

「お互い人間なんだから、話せばわかる」  という考え方がある。  一見、文句のつけようのない立派な考え方に見えるが、大きな問題がある。  なぜか? 対偶を取ってみればわかる。 「話してもわからない(≒自分に同意しない)やつは人間ではない」  と言っているのと同じである。  「話せばわかる」という信念は、自分が間違っている可能性を常に真剣に考える態度とセットでなければ危険である。 おまけ  13日の...
政治経済社会

ダン・ガードナー『リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理』

我々が恐れなければならない唯一のものは、恐怖そのものである。 (フランクリン・ルーズベルト)  ルーズベルト大統領はともかく、この言葉は好きだったのに、しばらく積んでたのを後悔。これは素晴らしい。超いい。 『詐欺とペテンの大百科』 『表現の自由を脅すもの』  と並んで、一家に一冊配布を義務づけたいレベル。 進化心理学本 メディアリテラシー本 科学リテラシー本 社会問題リテラシー本  いずれの視点か...
政治経済社会

マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』

原題 "Justice - What's the Right Thing to do?"(『正義――何が正しいことなのか?』)NHKでハーバード白熱教室として放送されているらしい講義の書籍化。  歴史を足早におさらいする感じや、日本での流行り方からは、正義論に集中した『ソフィーの世界』、といった印象を受ける。  確かに流行るだけあって、大変よくまとまっていると思う。この分野の入門書としては最高だ。...
政治経済社会

山形浩生『要するに』

山形浩生のエッセイ集。話題自体はやや古くなりかけているが、内容は別に古びてはいない。  今回「おっ?」と思ったのはここ。  さて、たぶん実際の世の中の制度設計というのも、このゲームの「おもしろさ」を考えるのと同じことだろう。ゲームも、まったくの自由放任では成立しない。なんらかの制度(つまりルール)があって初めて成立する。でもがちがちに規制しまくっては、ゲームが硬直する。(中略)万人による、さまざま...