科学技術哲学

デイビッド・J・リンデン『つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?』

1章 脳の設計は欠陥だらけ? 2章 非効率な旧式の部品で作られた脳 3章 脳を創る 4章 感覚と感情 5章 記憶と学習 6章 愛とセックス 7章 睡眠と夢 8章 脳と宗教 9章 脳に知的な設計者はいない  「進化上の制約」という観点から一本筋を通した脳本。  最近流行なのか、よく似た感じの本もありそうだけど、初心者向けで、かつレベルも低くないので大変おすすめ。  個人的に、1箇所だけ飛び抜けて印象...
科学技術哲学

マイケル・S・ガザニガ『人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線』

これはかなりおすすめ。タイトルそのものの内容に興味がある人すべてに。  本編だけで500ページ以上ある、すごい大著だけど、これでもかというぐらい様々な内容が次から次へ出てくるので飽きない。  関連書籍に並べた本のような多様な分野の研究に言及されるので、最初の1冊としてもベストじゃないかと思う。  つまり、まずここから読み始めて気になった参考文献を辿っていくという使い方にもってこい。 関連書籍 おま...
科学技術哲学

ダニエル・C・デネット『スウィート・ドリームズ』

目下バカ検知ワードとして大活躍中の「クオリア」についての議論。 分子やエネルギーについて何もわからなかった頃の「フロギストン」や「カロリック」 DNAや酵素について何もわからなかった頃の「生気」 素粒子や時空について何もわからなかった頃の「エーテル」  などと同様に、まだ神経や脳について詳細がわからない時代であるが故に抱くことが可能であるだけのどうでもいい概念だというのが著者の立場。  内容そのも...
科学技術哲学

テンプル・グランディン『動物感覚―アニマル・マインドを読み解く』

「動物福祉」にたずさわる「自閉症」の「女性」の「共著」。……何このスピリチュアルアンテナにビンビンくるキーワードの羅列! 「おお、彼女こそ動物たちと魂の触れ合いができる天使のようなピュアな心の持ち主! 環境ホルモンまみれのマクドとかむさぼり喰ってる愚民ども今すぐ有機野菜買わないと地獄に堕ちるぞ!」  みたいな内容だったらどうしようと警戒しながら読み始めたので、意外にも大変まともな内容でものすごく得...
ゲーム森羅万象

ブーバ/キキ/ギラ/ホイミ

突然ですが問題です。次のふたつの言葉は、一方が基本的な攻撃呪文で、もう一方が基本的な回復呪文です。どちらがどちらでしょう? すでに答えを知っている人は知らないつもりで答えてください。 ディオス ハリト  わかりましたか? では続いてもう一問。やはり一方が基本的な攻撃呪文で、もう一方が基本的な回復呪文です。どちらがどちらでしょう? 答えを知らない人はいないような気がしますが、一応知っている人も知らな...
科学技術哲学

脳は陰謀論を生む機械

分離脳についての実験からは「説明装置」とでも呼ぶべき機能が左脳側にあることが示唆される。たとえ(分離脳の状態になければ右脳から送られたであろう)正しい情報がなくても説明装置はとにかく結論を出す。  端から見ている実験者の立場ではそれはどう見ても作話であるのだが、どうも(少なくとも言葉で説明ができるような)自我は、脳で働いている様々なモジュールがそれぞれ高度に専門化された仕事をこなした後の最終結果し...
ゲーム森羅万象

1・2・3・4・たくさん

もう何年も前の話だが『Mind Hacks』という本で“サビタイジング”という効果のことを知って、どうして歴代FFの戦闘画面のうちFF4のものだけがこんなにも見づらいのか? という長年の疑問に決着がついた気がした。 (FF4:6分過ぎから戦闘シーン) 【ニコニコ動画】とてもいやな名前でFF4 その15 (FF5:1分半から戦闘シーン) 【ニコニコ動画】FF5 バッツの代わりに旅に(ry 第03話 ...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ22 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』 3/4

【第21回】 【目次】 【第23回】  スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』を先に進める。 ルイ・アガシ――アメリカの多起源論の理論家  私は二人の著名な多起源論者にしぼって話を進めようと思う。一人理論家のアガシであり、もう一人はデータ分析家のモートンである。まず手始めに、私は、かくされた動機および、その支えとなった中心的データのごまかしの双方を掘り起こしてみたい。いぜんとして奴隷...