政治

ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ40 一本目の糸:オリエンタリズム

【第39回】 【目次】 【第41回】  ここまで『存在の大いなる連鎖』という一本の柱に沿って、時系列に進んできたこのシリーズだが、ここからは、詳細に分け入る代償として、多少複雑にならざるをえない。  このシリーズでは、過去と未来で何が変化して何が不変であるかを常に意識することが、理解にあたって重要だ。*1しかし、完全に過去から現在へ進みながら、多岐にわたる話を扱うと、話があちこちに飛びすぎてわかり...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ39 ガイア教徒よりもガイア教的な日本人

【第38回】 【目次】 【第40回】  大きな鍵*1を逆向きに使うことで、鏡のように「普通」の日本人の態度もよく理解することができる。一本の柱から離れて次の段階に進む前に、一度自分たちを振り返っておこう。 鏡その1  以下は、このシリーズ開始以前に、ネットのどこか*2で見かけた会話である。記憶からの再現なので一字一句正確ではないが、概ねこのようなものであった。 A「なあ、これはもちろん仮定の話だけ...
政治経済社会

ぼくのかんがえたせかいへいわ

ピンカーの『暴力の人類史』を読んで考えたこと。大半は今回初めて考えたというわけではないが。  『暴力の人類史』を読んでいることを前提とするが、必ずしも必須ではない。  価値観の話でややこしくなるのを避けるため、単純に人類間の暴力を減らすことを良しとする。ブロイラーの福祉とか、地球のため宇宙のためとかは考えない。  理由はどうあれ事実として暴力はずっと減少してきたし、今後も減り続ける可能性が極めて高...
政治経済社会

自分を殺害する可能性の一番高い人間は自分自身

Twitter等で、やたらめったら自国の政府に批判的な人と、そういう人に批判的な人を見て思ったこと。たまたま現在与党である政党や政治家の擁護では(批判でも)なく、いつでも通用する、ありがちなバイアスに対する注意として。  個人のことにたとえてみよう。現代先進国では、ほとんどの人間にとって、自分を殺害する可能性の一番高い人間は自分自身(自殺)だ。  だが、それは通常、自分が危険な人間であるということ...
政治経済社会

ジョナサン・ハイト『社会はなぜ左と右にわかれるのか――対立を超えるための道徳心理学』

書評 「社会はなぜ左と右にわかれるのか」 - shorebird 進化心理学中心の書評など  なかなか面白い。私がドーキンス兄貴の『神は妄想である』等の主張に感じている不満をうまく代弁してくれている感じがある。  shorebird先生の指摘通りグループ淘汰に関して理解が間違っているのが残念だが、メインの主張の価値は損なわれていないように思われる。  私の理解で一番重要な要点をまとめるとこうだ。 ...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2015年5月版

『アイリウム』★  小出もと貴著。飲んでから一定時間後に、飲んでからその時までの記憶を失う(主観的には未来にワープする)薬をテーマとしたショートショート集。ちょっと面白い。 『系統樹をさかのぼって見えてくる進化の歴史』★  長谷川政美著。『祖先の物語』に似てる。 『知のトップランナー149人の美しいセオリー』★★★★  企画の性質上、当然玉石混淆ではあるけど、かなり面白い。Edge.orgにも興味...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2015年4月版

『ブラックホールで死んでみる―タイソン博士の説き語り宇宙論』★★★★  ニール・ドグラース・タイソン著。久しぶりに痛快な科学啓蒙エッセイ集。ただしほぼ天文・物理限定。 『イスラーム国の衝撃』★  池内恵著。流行りもの。 『カミヤドリ』★★★  三部けい著。個性がないのが個性というか。ほんとにこの人はなんというか良くも悪くもプロフェッショナリズムを感じる。 『神宿りのナギ』★★  三部けい著。なんか...
政治経済社会

センディル・ムッライナタン エルダー・ シャフィール『いつも「時間がない」あなたに:欠乏の行動経済学』

センディル・ムッライナタン著、エルダー・ シャフィール著。原題"SCARCITY: Why Having Too Little Means So Much"(『欠乏:なぜ少なすぎる分しか持たないことがそれほど多くのことを引き起こすのか』) 何かに集中すると、それ以外のことはおろそかになる 貧しいと、裕福な時よりも、やりくりを心配しなければならない 予測不能なトラブルによる被害は、それを吸収する余裕...