2016 7/1

『研究不正 – 科学者の捏造、改竄、盗用』★

 黒木登志夫著。流行り(?)もの。いいんじゃない?

『ザ・セカンド・マシン・エイジ』★

 エリック・ブリニョルフソン著、アンドリュー・マカフィー著。ありがちな話題と内容だけど。これも流行りもの。

『記憶に自信のなかった私が世界記憶力選手権で8回優勝した最強のテクニック』★

 ドミニク・オブライエン著。興味深くはあるけど「曲芸」でしかないかもねえ。

『坂の途中の家』★

 角田光代著。妻経由。これも小説として面白いというより女性(母親)心理としてなんか参考になる。

『スターティングGo言語』★★★★

 松尾愛賀著。Go言語けっこう好きになれそう。プログラミング経験者のGo言語最初の一冊としておすすめ。

『競争優位で勝つ統計学 —わずかな差を大きな勝利に変える方法』★

 ジェフリー・マー著。面白そうな話題なのに、やや散漫。

『こじらせない離婚』★★★★

 原口未緒著。女性視点。どこかで著者の記事を見て。離婚する気なくても非常にいいこと書いてる。

『プログラミング言語Go』★★★

 Alan A.A. Donovan著、Brian W. Kernighan著、柴田芳樹訳。訳者のブログ経由。同著者の有名なC本同様、内容はいいけど取っつきにくい雰囲気。『スターティングGo言語』の方を先にどうぞ。

by 木戸孝紀 tags:

2016 3/7

だれもが偽善者になる本当の理由

 最近の話ではないが、『だれもが偽善者になる本当の理由』を読んだ時に思いついたこと。まだかなり曖昧というか本当に思いつきレベルの乱暴な話だが一旦まとめる。

 この本で提唱されている「意識の報道官モデル」というのは、意識の役割は大統領報道官のようなもので、大統領にとって不利な事実は知らない方がいいし、実際に知らされていない、というもの。

 基本的にいいところをついているように見えるのだが、これが本当に正しいとすると、同時に、かなり興味深いことを示唆すると思われる。

 意識とかアイデンティティとか日常的な概念で言われるもの、少なくとも言葉で自分のことを語れるような、なんとなく我々が人間性の本質だと見なしているようなそれは、従来思われていたよりも、ものすごく進化的に新しい可能性が出てくるのではないか?

 「自己」が一貫しているかどうかを気にする他人が誰もいなかったとしたら、「自分」の一貫性について誰かに弁明する必要が、生涯にただの一度もないとしたら、そもそも一貫した(と主観的に感じるだけかもしれないにせよ)何かを(実際に)持っている必要などあるだろうか?

 ないように思われる。

 「自己」とか「アイデンティティ」は、たとえその本質がなんにせよ魔法ではないはずだ。進化によってデザインされ、コストがかかる具体的な何かのはずだ。コストを正当化する理由が何かなければ作られず、維持されない。

 そして、一次元的に定義できるかは別の話として、アメーバは持ってなくて、人間は持っている。では、それはいつからだったのか。なんとなく連続的なもののような気がしてきたが、それが政治的にも正しいような気もしていたが、実はそうではないのでは?

 言語(噂)による他人の評価が行われたり、そこまでいかなくても、ある程度高度な心の理論を持ち、それによって他人を評価するようになるまでは、少なくとも現生人類と同じような意味の、「意識」は持ってなかった可能性の方が高いのでは?

 「自分は他人以上に他人である」というのは、単なるモラトリアムの文学的表現ではなく、まったく言葉通りの事実である可能性が出てくるのでは? つまり自分(自己・自我・自意識となんとなく呼ばれるところのもの)は他人(の心の理論)より進化的に新しい可能性が高いのでは?

 一年前の自分と今日の自分が同じ自分であるというような意味での「自分」という意識は、かなり最近――とは言っても数十万年から数百万年レベルの話だが――まで存在しなかったのではないか?

 まるで『神々の沈黙』の緩やかな、その代わりトンデモではない(かもしれない)バージョンと言おうか、そんな可能性が出てくるのではないか?

by 木戸孝紀 tags:

2016 3/2

脳はすごい -ある人工知能研究者の脳損傷体験記-

 こりゃおもろい。久々に脳関連でのヒット。

 原題”The Ghost in the Brain”(脳の中の幽霊)。邦題はちょっと間抜けな感じになってしまっているが、直訳ではわかりにくいし、副題まで合わせて考えると、まあまあ妥当か。

 著者は人工知能研究者。元から知能が極めて高い上に、絶対方向感や共感覚を持っているなど、かなり特殊な脳の使い方をしていたようだ。オーディオオカルトにはまっているようであったり、神秘体験をしたことがあったり、事故前からいろいろ変わっているところもあった模様。

 交通事故による脳震盪によって、モジュール間の連絡に様々な不都合が生じ、世にも奇妙な症状が生じるが、視覚を通じた介入と訓練によって、そこから回復する。

 メガネとパズルによって壊れた脳が回復しました、なんて、予備知識がないとトンデモ代替医療かと思ってしまうであろうほどの超展開である。

 多くの抽象思考が、視覚処理とそのアナロジーに依存しているというのは面白い。発生学的には、眼は外に飛び出した脳そのものだ、というような言い回しはよく聞くが、それを別の方向からも裏付けるような話である。

 脳のとてつもない複雑さと、それが曲がりなりにも正常に機能しているということが、どれだけありがたいかということを、思い知らされる。

by 木戸孝紀 tags:

2016 2/19

『反対進化』★★★★

 エドモンド・ハミルトン著。おもろい。古さは否めないけど、粒ぞろい。

『「読まなくてもいい本」の読書案内:知の最前線を5日間で探検する』★★

 橘玲著。タイトルが悪い。副題の方が内容を表すには正しい。進化心理学や行動経済学が好きな人にはもう当たり前の内容だけど、簡単なまとめとしてはいいのでは。

『だれもが偽善者になる本当の理由』★★★★★

 ロバート・クルツバン著。読んだの結構前だが、なぜか紹介を忘れてた。自己欺瞞と心のモジュール性に関する非常に重要な本だと思う。内容はshorebird先生にお任せ。

『イーロン・マスク 未来を創る男』★★★★★

 アシュリー・バンス著。会長のメルマガで話題が出てきたので読んだが、むちゃくちゃ過ぎて面白い。多少は話を盛ってるのかもしれんにしても。

『家庭モラル・ハラスメント』★★★★

 熊谷早智子著。うひいいいい怖い! 心当たりある人は勿論、ない人にもおすすめ。

『虚空の旅人』★★★★

 上橋菜穂子著。シリーズ4冊目。主人公が変わってるが安定したクオリティ。

『コンピュータは数学者になれるのか? -数学基礎論から証明とプログラムの理論へ-』 ★★★

 照井一成著。これもタイトルがやや誤解を招くもので、副題だけ見るのが正しい。内容は大変良い。このテーマで過去最高級だと思う。

『暴力の解剖学: 神経犯罪学への招待』★★★★★

 エイドリアン・レイン著。これはむちゃくちゃいい。必読。医学・犯罪学の啓蒙書としても、単に面白い読み物としても、生活や子育ての参考書としても、政策の提言としても、SFとしても(?)いずれも一級。

by 木戸孝紀 tags:

2016 2/16

脳が認める勉強法

 タイトルから期待されるハウツー的なものよりも、脳科学というか学問寄り。とても分厚くて冗長。悪い内容ではないと思うので、自分用に超要約しておく。

1語で要約

 「変えろ」。

1行で要約

 絶えず環境・やること・やり方を変えろ。脳は差分を記憶する。

4行で要約

 まずはすぐ取りかかり、飽きたらすぐやめろ。場所を・道具を・時間を・BGMを変えろ。詰め込んだら自己テスト、テストで考え込まずすぐ答えを見る、という具合にやることも変えろ。連続して繰り返しても実は変化がない。分割し間を置いて反復せよ。よく勉強し・気分転換し・寝ろ。

by 木戸孝紀 tags:

2014 10/25

『脳科学は人格を変えられるか?』★★★★

 エレーヌ・フォックス著。タイトルが内容と一致してない。いわゆるポジティブ脳とネガティブ脳の話。なかなか興味深いしライフハックとしても役に立ちそう。

『人類5万年 文明の興亡: なせ西洋が世界を支配しているのか』★

 イアン・モリス著。それほどすごいと思わなかったが、定量志向が珍しかったので。「西洋オワコンって結論にしとくから、途中で多少偏見みたいなこと言っても許せよな」みたいなサブテクストがあるような気がするのは意地悪過ぎかね?

『ヤモリの指から不思議なテープ』★★★★

 松田素子著、江口絵理著、石田秀輝監修、他。内容的には『ヤモリの指』に近いが、イラストたくさんでかなりいい。子供に読ませたい。

『パワハラ防止のための アンガーマネジメント入門: 怒り、イライラのコントロールで、職場は変わる! 成果が上がる!』★

 小林浩志著。このテーマでまとまったものは読んだことなかったので。

『テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?』★★

 ケヴィン・ケリー著。うーん、全体として悪くはないけど、この人やっぱり自然信仰から文明信仰に転向しただけで本質はヒッピーっぽいんだよねえ。

『スタイルズ荘の怪事件』★

 アガサ・クリスティー著。なんかテレビでポワロやってたので。

『インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針』★

 Susan Weinschenk著。なんとなく『Mind Hacks』を彷彿とさせた。『Mind Hacks』の完成度には遠く及ばないが。

『振り込め犯罪結社 200億円詐欺市場に生きる人々』★★★★★

 鈴木大介著。やばいなんかめちゃめちゃ面白い。近いうちに『闇金ウシジマくん』で振り込め詐欺君編でも始まりそうな気がする。

by 木戸孝紀 tags:

2014 1/4

『そして日本経済が世界の希望になる』★

 ポール・クルーグマン著。アベノミクスに関するインタビュー本。密度は薄いので元々クルーグマンとリフレ政策に興味がある人だけどうぞ。

『決闘裁判―ヨーロッパ法精神の原風景』★

 山内進著。面白い。

『選択の科学』★

 シーナ・アイエンガー著。すでに他のルートで知っていた話も多いが面白い。

『食品偽装の歴史』★

 ビー・ウィルソン著。流行りなので。何にでも歴史はあるのだな。そして、現代はなんだかんだ言って恵まれているのだな。

『ヤバい統計学』★★★

 カイザー・ファング著。原題”NUMBERS RULE YOUR WORLD”(『数が(あなたの)世界を支配する』)。普通に良い数字・統計リテラシーもの。邦題は酷い。ただの便乗。

『食べられないために―― 逃げる虫、だます虫、戦う虫』★

 ギルバート・ウォルドバウアー著。面白い。内容は例によってshorebird先生にお任せ。

『亡びゆく言語を話す最後の人々』★★★

 K.デイヴィッド ハリソン著。読んでて愉快な話ではないが重要。

『子どもの頃の思い出は本物か: 記憶に裏切られるとき』★★★★

 カール・サバー著。『抑圧された記憶の神話』とかなり重複するけど、やっぱり怖面白い。

『人はお金だけでは動かない―経済学で学ぶビジネスと人生』★★★★

 ノルベルト・ヘーリング著。原題”Economics 2.0″。邦題だとインセンティブの話中心に聞こえるがそうではなく、経済全般の優れた啓蒙書。

『卍とハーケンクロイツ―卍に隠された十字架と聖徳の光』★★★★★

 中垣顕實著。素晴らしい。卍を一緒くたに禁止するのがある種西欧中心主義的傲慢だというぐらいは当然認識していたが、ドイツ語ハーケンクロイツ(鉤十字)の直訳ではなくSwastikaを用いていること自体が、クロス(十字架)の要素を隠す欺瞞ではないかとの指摘は目鱗。

『大富豪のお金の教え』★★

 パン・ヒョンチョル著。ありがちな駄本のような邦題が残念。原題は”The Disciplines of the Rich for their Kids”(『(その)子供たちのための金持ちの規律』)。ビル・ゲイツは親の代から只者じゃなかったのね。

『ヒトはなぜ人生の3分の1も眠るのか?』★★★★★

 ウィリアム.C・デメント著。科学トリビア集のようなタイトルになっているが、違う。睡眠時無呼吸症候群をはじめとする睡眠障害の決定版的な本だ。いびきや昼間の眠気などに心当たりのある人はもちろん、そうでない人も是非。

by 木戸孝紀 tags:

2013 12/6

(本文とは無関係)

 私が初めて指摘するわけではないだろうが、オスプレイって絶対名前が悪いと思う。男がふざけて遊んでるようにしか聞こえん。ピンポイントでイメージ最悪すぎる。

 カラテオドリの原理を習うと踊る空手家が思い浮かぶし、マイコプラズマと聞くと放電する舞妓さんが出てくるし、デデキント切断と聞くと出目金がちょん切れるような気がする。

 日本語を使っている以上、こうした直感的な連想を止めることは不可能だ。意識して心臓を止めることができないのと同じぐらいどうしようもない。

 これがたとえばレディサーブ(ReadyServe)――もちろんこの話のためだけに今でっち上げた名前だがそれほど現実離れはしてないと思う――とかいう機体名だったら絶対今のような奉られ方はしてなかったと思う。

 ちなみにオスプレイそのものや基地問題については独自の意見を持てるほど知らない。大体こちらの見解を信用している。

おまけ

by 木戸孝紀 tags: