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2011
9/26
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久々にグレッグ・イーガン。様々な時期の作品を集めた短編集。
後に『ディアスポラ』の一部になった『ワンの絨毯』が、単体でもやっぱり群を抜いた出来。他は正直微妙。
まあそれでも届いた途端に一気読みしちゃうぐらいには面白いのだが。
- 「クリスタルの夜」
- 「エキストラ」
- 「暗黒整数」
- 「グローリー」
- 「ワンの絨毯」
- 「プランク・ダイヴ」
- 「伝播」
おまけ
久々にグレッグ・イーガン。様々な時期の作品を集めた短編集。 後に『ディアスポラ』の一部になった『ワンの絨毯』が、単体でもやっぱり群を抜いた出来。他は正直微妙。 まあそれでも届いた途端に一気読みしちゃうぐらいには面白いのだが。
おまけ
グレッグ・イーガン『順列都市』から、後々話に使いたいと思っているところ2点を、最低限の説明をつけて抜粋。 《なにも変えない神の教会》
SF作家として最新の科学知識を身につけて、政治的には当然リベラルなグレッグ・イーガンの宗教観は、『神はなぜいるのか?』のようなものにならざるをえない。 ここで作者自身の考え方を代弁しているのは明らかにフランチェスカの方で、主人公のマリアはそれを理解できない未熟な者として描かれている。 《唯我論者国家》
(伝統的な意味では)神に何らの自明な価値も認めず、人間性のひとつとしてしか見ないイーガンが、それでも目標として認めうるのは、人間性のあらゆる可能性を試し尽くすことだ。 作品が違うが『ディアスポラ』のトランスミューター*1は、おそらくこのルベーグの目標を達成したものと考えられているのだと思う。 *1:作中最高クラスの能力を持つ超文明種族。
おまけ
グレッグ・イーガンと並び称されているテッド・チャンの短編集。個人的にはイーガンの方が好きだが、かなり面白かった。 イーガン作品に通底するテーマが「自己同一性とは何か?」だとすれば、チャン作品に通底するテーマは「絶対的に隔絶した存在といかに向き合うか?」*1というものだ。 その隔絶した存在は、作品によって、神だったり・異星人だったり・未来だったり・超人類だったり・数学だったりするけども。 『バビロンの塔』本当にバベルの塔が建設されている世界。ファンタジー的。なかなか面白い。 『理解』『アルジャーノンに花束を』みたいに薬で知能が激増してしまった患者の話。途中からスキャナーズの現代版みたいな超能力バトルものに。テーマはありがちだが、面白い。 『ゼロで割る』イーガンの『ルミナス』でもあった数学の矛盾を証明してしまう話。つまらない。 『あなたの人生の物語』七本脚のエイリアンとのファーストコンタクトに関わった言語学者が、自分の娘に語りかける。表題作だけあって一番面白い。 『七十二文字』前成説ネタ。いまいち。 『人類科学の進化』4ページの超短編。人間が人間以上の圧倒的知性を持つ超人類を発明した後の話。短いなりにそこそこ面白い。 『地獄とは神の不在なり』そのまんまヨブ記テーマ。単なるパロディに留まり、あまり面白くない。 『顔の美醜について――ドキュメンタリー』これだけ他の作品と傾向が異なる。顔の美的基準に基づく判定に係る脳の機能を一時的に停止させる技術を巡る論争を描いた疑似ドキュメンタリー。結構面白い。 *1:いわゆる『ヨブ記』テーマ。 おまけ
超人的。
原題“THE GOLDILOCKS ENIGMA Why is the Universe Just Right for Life?”(『ゴルディロックスの謎 なぜ宇宙は生命にちょうどよいのか?』)。 ゴルディロックスとは童話3びきのくまの主人公の女の子のことで「特別にあつらえたわけではないはずなのになぜかちょうどよい」ことを表す。 テーマは『宇宙のランドスケープ』の時にやや詳しく取り上げたので繰り返さないが、これまでの多宇宙本の中で最もまとまりがよかった。 あとがきで著者が個人的に好むとしている意見は、私には純粋にSFだと思われ――実際にグレッグ・イーガンの『万物理論』そのままだ――同意できないが、全体的には非常におすすめである。 関連書籍
おまけ
ありえないような幸運つながり。
久々にグレッグ・イーガンの短編集。やっぱり現代最高のSF作家と言われるだけのことはある。『TAP』『銀炎』『ユージーン』の3作は思想といい知識といいネタといい、この人らしさがよく出ていて私は好きだな。おすすめ。 『新・口笛テスト』一度聞いたら絶対忘れない曲を計算で編み出す方法が発明された。星新一を連想させるコマーシャルネタ。まあまあ面白い。 『視覚』撃たれた後遺症で常に主観的に幽体離脱状態になってしまった男。『脳の中の幽霊』でも読んだのかな。面白さはいまいち。 『ユージーン』宝くじに大当たりした夫婦がちょっと怪しげなデザイナーベビー業者にかかろうとするが……そこに意外な展開が。面白い。 『悪魔の移住』
から始まり全編一人称で語り通される話。面白い。 『散骨』これはSF要素なし。普通にホラー。面白さも普通。 『銀炎』内側から皮膚を剥がれるようになって死ぬ怖ろしいウィルス性伝染病。その謎を追っていくと遭遇する本当の恐怖。これもかなり面白い。 『自警団』これもSF要素なし。普通にホラー。面白さはいまいち。 『要塞』あからさまな移民排斥運動に隠れて気づかぬうちにもっと別の要塞が築かれているとしたら……どうだろう。『繭』の前身みたいな話か。面白さはそこそこ。 『森の奥』ボスのカネをちょろまかして殺し屋に始末されそうなハッカーがすすめられた神経インプラントの効果は……。イーガン作品おなじみのガジェットだが、この作品自体はいまいち。 『TAP』ある神経系の状態を丸ごと一つの単語のように伝達し、感じたり分析したりできる総合情動プロトコルTAP。あるTAP詩人の死を追っていくと、子供にTAPをインプラントすることの是非を巡る問題と意外な繋がりが……。表題作になるだけあってかなり面白い。 関連書籍
おまけ
『最後の喫煙者』を連想するなという方が無理なニュース。 あたりも参照。ちなみに私は完全な非喫煙者なので世界の禁煙化の流れに逆らう気はないしその理由もない。 喫煙者にとっては理不尽に感じることは理解できるが、その程度の意味では世の中に理不尽でないことなんてそうそうあるもんじゃない。 天の邪鬼精神ぐらいは常に発揮しておくべきだとは思うのでこうして『最後の喫煙者』を読むことをおすすめするわけだが。 ついでに最近読んだものの中ではグレッグ・イーガンの『繭』も微妙に関連あるかも。
長編と平行してグレッグ・イーガンの短編集も読んでいたので、ここでまとめて感想。 結論から言うとこれ読んでちょっとでも興味をおぼえた人はとりあえず『祈りの海』は読もう。残り2冊をどうするかは読めば自動的に決まるはずだ。 『しあわせの理由』適切な愛保険の契約の関係で、事故で体を失った夫の脳を、新しいクローンボディが成長するまでの間自分の腹の中で生かしておかなければならない羽目になった妻の話。 地味な話だけに「クローンが作れるような時代なら脳を生かしておく装置ぐらい安いもんだろ?」という普通なら無視できる部分が気になる。それを抜きにしてもあまり面白くない。 闇の中へランダムに出現し、18分の半減期で消滅するワームホール。いつ来るかわからない消滅の恐怖と戦いながらそこに飛び込んで中に取り残された人を救助するレスキュー隊の話。ゲームライクな設定は面白い。オチは普通。 愛撫うってかわってサイコサスペンス風味。スフィンクスのようなキメラ生物の謎を追う刑事を襲う恐怖。なかなか面白い。 道徳的ウィルス学者エイズ陰謀論を元ネタとしたブラックジョーク的パロディ。まあまあ面白い。 移相夢まもなく脳をスキャンしてロボット体の中で「コピー」として生きることになった老人。係員からコピーとなる過程で「移相夢」を見ることになるだろうと説明を受けるが……。 「コピー」とか「グレイズナーロボット」とか『順列都市』や『ディアスポラ』に登場する用語と共通する言葉が出てくる。意識とは? アイデンティティとは? というイーガン作品に共通するテーマがうまいこと凝縮されている感じ。 オチはありがちだがまあこれ以外ないような気はするし、この本の中ではピカ一。 チェルノブイリの聖母消えたイコンの謎。ハードボイルド風。いまいち印象薄い。 ボーダー・ガード無数の人工時空に不老不死となった人類が10の16乗も生きる時代。主人公が出会った異常に量子サッカーの強い女性の正体は……。いまいち。不死を巡る話の趣旨には同意できるけど。 血をわけた姉妹突然変異によるウィルス人工合成プロジェクトの失敗で定期的に難病が発生するようになった世界。ウィルス性の癌になった双子の姉妹の運命。 前半で面白そうな設定作ったのに後半の進行に無理がありすぎるような。いまいち。 しあわせの理由腫瘍のために多幸になり、治療の結果鬱になり、再治療で何をしあわせと感じるも好きと感じるも自由に選択できるようになった男。そうなるとしあわせとは何か。そこそこ面白い。 『祈りの海』貸金庫
普通レベルの面白さ。 キューティ4年で死ぬ赤ん坊に似た愛玩生物キューティを買った男。「さあどんな展開が来るんだ?」と思ったところで終わってしまった。何が面白いのかわからん。 ぼくになることを
誰もが人生のある時点で自分の脳のコピーとなったニューロコンピューターに「スイッチ」する社会に生きる男。これは最高!! この一編だけでも一冊分の値段をはるかに上回る価値がある。 繭胎盤の組織を改変し胎児をあらゆる汚染物質から保護する新製品<繭>。その研究所に対する爆破テロに隠された陰謀とは。これも奥が深くてとても面白い。まもなく実現してもおかしくないような現実味がある。 百光年ダイアリー未来の日記が読める世界。つまらない。 誘拐「お前の妻を預かっている」と脅迫テレビ電話がかかってきたが、家にかけたら妻は無事にいた? ふつう。 放浪者の軌道人間の思想と物理的な位置関係が混交するようになった世界。ギャグっぽい。いまいち。 ミトコンドリア・イヴ遺伝子の解明がイヴ派とアダム派のイデオロギー対立をもたらす。ドタバタコメディ。いまいち。 無限の暗殺者平行世界の「渦」の発生源を抹殺するため送り込まれた男の体験する恐怖。『宇宙消失』にも通じるテーマだがこれはいまいち。 イェユーカ医療格差是正のために働こうとする男。SF部分とテーマの関連にほとんど必然性ないような。つまらない。 祈りの海惑星コブナントとか聖ベアトリス信仰とか、背景世界の設定はめちゃめちゃ魅力的なのにオチの部分は他の作品と大差なく竜頭蛇尾の印象。普通以上には面白い。 『ひとりっ子』『ルミナス』の異なる数学に基づいて存在する文明というアイデアが多少面白かった。 残りの『行動原理』『真心』『決断者』『ふたりの距離』『オラクル』『ひとりっ子』はどれもつまらない。一行あらすじを考える気も起きない。 |
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