蟲師第6話『露を吸う群』

 原作ではそれほど好きな話ではなかったのだが、今回もまた素晴らしい内容だった。蟲と共有した時間のアニメ描写が、マンガ原作では表現しきれなかった魅力を引き出している。

 鼻から吸い込む描写で麻薬中毒を連想したという感想があるが、今回の話のネタの基礎となっているのはギンコが言っていたような生物学の比例増減(スケーリング)論だ。

 たとえば哺乳類なら、1回呼吸をする時間、心拍する時間は体重の 0.28乗に比例し、1回呼吸する間に4回の心拍があり、一生に約2億回の息をするそうだ。

 例外は人間でその3倍近く生きる。これは人間の進化にネオテニー(幼形成熟)が関わっているからかもしれないのだとか。ただ、最近はもっと研究が進んでいるかもしれないので鵜呑みにしないように。

 「ギャグマンガを描くには一般常識がなきゃいけない、でないと何が異常かわからないから」というのは誰の言葉だったか忘れたけど、比例増減論の話を一度も見たことも聞いたこともなくこの話を考えるのは難しいだろう。

 耳の中に蝸牛という器官があるのを知らなければ『柔らかい角』の話を思いつくのは不可能だろう。幻想的な話を書くには科学的一般常識がなきゃいけないということは言えそうだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました