DIO様・フリーザ様・中国様

フリーザ様

 最近中国を「中国様」と呼んでいるのを結構頻繁に見かける。個人的にはいかなる対称であっても名称・呼称をおちょくるのは反則であると思っているので自分では使わないが、その理由を抜きにしてもこの「中国様」という呼び方は好きになれない。

 もちろんそう呼びたくなるのはわからなくはない。わかればこそである。世界に対する当事者意識の薄さを感じさせるところが好きになれないのである。この「様」はフリーザ様とかDIO様の「様」と同じ用法である。私は勝手に「美学を持つ悪役の“様”」と呼んでいる。

 基本的に力こそ正義と信じ、どんな卑怯な手段も目的のためには当然として恥じることなく、決して良心の呵責に苦しんだり改心して主人公の仲間になったりせず、仮に主人公に命を救ってもらったら絶対に直後に背後から襲いかかるような、フィクションでしか許されないような悪への憧れの気持ちを満たしてくれるような、そんな純粋な悪役だけに許される用法だ。

 ラスボス級の敵キャラと条件が重なることが多いので大抵は強いが、強いことは必須条件ではない。ややマイナーだがアミバ様のように、弱くてもとことん外道を貫き通して最後までぶれなければ資格はある。

 逆にどんなに強くても後で心を入れ替えて主人公たちの仲間になったりするようでは失格である。だから基本的にベジータ様とは呼ばれない。もっとも、ベジータは軽い嘲笑の意味で「ベジータ様」と呼ばれていることも多いのでややこしいが。

 汚職政治家を片っ端から逮捕投獄処刑できたら政治はどんなにかわかりやすいだろう? 真っ赤な嘘でも政府見解をそのまま報道するようにマスコミに強制できたら外交はどんなにか有利だろう?

 要するに「中国様」は『歴史の終わり』という連載漫画のラスボスで、「現実」では許されない悪への憧れを代わりに満たしてくれる魅力的なキャラなわけだ。チベットやダルフールは差詰めナメック星ぐらいか。

おまけ

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