『ミネルバトンサーガ』の「開いた世界観」

ミネルバトンサーガ

 しんざきさんの素晴らしいエントリに便乗しないと一生書く機会がなくなりそうなので、ミネルバトンサーガに対して一言だけ。

 私がミネルバトンサーガの「世界の見せ方」で一番特徴的と考えているのは「開いた世界観」を持つところだ。

 この「開いた世界観」というのはオレオレ用語である。対義語の「閉じた世界観」の方がわかりやすいのでそちらから説明しよう。

 例をあげると、閉じた世界観のRPGでは、村人が自分の知らない「Aの町」の話をしたら、そのAの町がこれからどこかで出てきて、そこに行くことになるのだと確信できる。

 知らないアイテムの話題を見かけたら、これからどこかでそれを手に入れると確信できる。知らないモンスター、知らない神や魔王の名前を聞いたら、これからどこかでそいつらに会うと確信できる。

 そのようなものが「閉じた世界観」であり、「開いた世界観」はその逆である。知らない物事・場所の話題を見ても、それがゲームのどこかに登場するとは確信できない。

 ついでに言うと、世界の大きさそのものとは関係ない。とても広い世界でも閉じていることはあるし、とても狭い世界でも開いていることは(もちろん困難になるが)ありうる。裏設定の多寡とも直接関係はない。

 多少慣れた人ならすぐにわかるだろうが、閉じた世界観のRPGの方が圧倒的に普通であり、多数派である。

 そもそも全く悪いことではない。すなわち無駄がないということであり、プレイヤーを混乱させないということでもあるからだ。ドラクエなどは全て典型的かつ理想的な閉じた世界である。

 開いた世界観を、無駄な労力を費やして、プレイヤーに混乱や期待外れを強いるだけに終わらせないようにするのはとても困難だ。

 私がぱっと思い出せる範囲では、魅力的な開いた世界観を持つメジャーどころのRPGは、ロマンシング サ・ガ(初代)とオウガバトルシリーズぐらいしか存在しないように思われる。

 ミネルバトンサーガはファミコンRPGでおそらく最初の開いた世界観を持つRPGだと思われる。一番わかりやすい点をひとつだけ挙げると、ワールドマップの名前が「南オフェーリア」となっているが、北・西・東オフェーリアがゲーム内に出てくるわけではない。

 もちろん、やったことがない人には、無駄に1文字付け加えただけにしか思えないだろう。プレイしていると、どこかでそれが魅力的に感じるようになるからすごいのだ。

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