蟲師第14話『籠のなか』

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 この話、作者はおそらく描くのにかなり勇気を必要としたと思う。というのはこのテーマを扱えば必然的に日本最古の物語とされる竹取物語と比較されるということがわかっていただろうから。

 しかし、その挑戦に相応しくこれまでの蟲師の中でも屈指の面白い話になっていると思う。

 いつもながら映像のクオリティも恐ろしく高い。葉の舞い落ちる竹林の描写とか、伐られた間借り竹が逃げていく場面の気持ち悪さとか、とにかくすごいとしか言いようがない。

 奈良に住んでいたころ家の裏山に竹林があって、筍掘りをして食べたりもしていたので心象風景にかなり来るものがある。

 ラストシーンが救いだと考える人もいれば、あくまで逃れられない不気味さを感じるという人もいるという、この白黒はっきりさせられない両義性が蟲師の面白いところだと思う。

 この話には使われていないが、竹には長い周期で一斉に花を咲かせ実をつけ枯れるという面白いモチーフがもうひとつあるので、いつかそちらもネタにならないかと密かに期待していたりする。

コメント

  1. 籠のなか

    自由になるために、捨てなければならないもの。

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