『カールじいさんの空飛ぶ家』 オススメ度 9/10

カールじいさんの空飛ぶ家

 あの『グラン・トリノ』をピクサーがCGアニメ化したと聞いて、なんだそりゃと思いながらも、見に行きました。

 妻に先立たれ、家と庭のメンテしかすることもなく、老人ホームに送られようとしている老人が、父親のロールモデルを持てずに冴えない東アジア系の少年にぶち切れ、

「GRRRRRR、もう、我慢できん! よく聞け、アジアのへなちょこガキ! 貴様が本当にボーイスカウトのバッジを欲しいなら、 アメリカの男になれ! わしがその方法を教えてやる!」

 といって、秘めた信仰と肉体のみを武器に戦うという筋のみが同じで、後はまったく別物といってもいいぐらいになっています。

 子や孫に疎まれるあたりの設定は子供の視聴者には共感しづらいと思われたのか、最初から子供はいない夫婦だったという設定になってました。サイレントでふたりの人生を高速追体験させるパートは、とても良い出来でした。

 当然ながら、か弱き乙女を強姦する東アジア系ギャング団はそのまま出せないので、人の住まない処女地である南米大陸から、美しいメス鳥を強奪して文明世界に持ち帰ろうとする、18・19世紀的マッチョ意識丸出しの探検家と手下の犬どもに置き換えられました。

 そして老人の自己犠牲によってその遺志は若い男に成長した少年に受け継がれます。遺志といってもこっちではもちろん主人公は死にませんが。

 アクション部分はいつものピクサーらしく熱いです。原題からして『UP』であり、邦題の与える印象よりは、文字通りアップテンポなものであることを念頭に置いておくといいかもしれません。全体としてはすごくおすすめです。

参考リンク

おまけ

 タイトルぐらいしかつながりはない。

コメント

  1. 匿名 より:

    ネタ云々を前提に見ても「そんなバイオレンスな映画だったのか…!」という印象を受けざるを選ませんでした!

  2. 木戸孝紀 より:

    野暮だけど、万一マジレスが来たら
    かなりホラーなことになりそうだから断っておく。
    グラン・トリノ云々はネタだからな!

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