グレッグ・イーガン『白熱光』

白熱光 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 すぐ買ったのになぜかしばらく積んでいた。読んでみたらかなり面白かった。イーガンの長編の中でも、これまで一番好きだった『ディアスポラ』に匹敵する面白さ。

 あえてケチをつけるなら面白いだけ、ということか。アイデンティティとは何かというイーガン作品に通底してきたテーマがやや薄いのと、これまでと比べて若干オリジナリティに欠けるという点で『ディアスポラ』には及ばないかも。

 表面的には『竜の卵』っぽいが、本当に影響が大きいと思われるのはアシモフの2作。

 『神々自身』の異星人側の環境描写および主人公のキャラクター、一見関係のないふたつの世界の話が交互に進む感じとか。『夜来る』の、星が観測できない世界で重力の科学がどのように進むかのシミュレーション的な側面とか。

 『ディアスポラ』他のイーガン作品で出てきた設定があまり説明なしで使われるので、『ディアスポラ』は先に読んでおいたほうがいいかも。

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