文化芸術宗教

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そうだ私はダンブルドアの野望の王国が見たかったのだ

必要最低限にしか政治的に正しくないおとぎ話『ハリー・ポッターシリーズ』 神は細部に宿り給う の続きみたいなもの。なんかリアル『野望の王国』な会話が聞こえた気がする 神は細部に宿り給う を書くために『野望の王国』を読んでいたら、ヴォルデモート卿にまったく食指が動かなかった理由がわかった。 私がハリポタシリーズで一番好きなキャラは、断然アルバス・ダンブルドア*1なのだが、途中まで完全無欠の人格者のよう...
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ヘロドトス『歴史』

歴史 (ヘロドトス) - Wikipedia 有名すぎる本だけど、このエピソードがなんか無性に好き。 プサンメティコスはいろいろ詮索してみたが、人類最古の民族を知る手段を発見できず、とうとう次のような方法を案出した。生れ立ての赤子を全く手当り次第に二人選び出し、それを一人の羊飼にわたして羊の群と一緒に育てるように言いつけ、その際子供の前では一言も言葉を話してはならぬ、子供はほかに人のいない小屋に二...
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ジョージ・オーウェル『一九八四年』

今年は『種の起源』出版150年だったが『1984年』出版60年でもある。そのせいなのか、『1Q84』に便乗したのか、新訳版が出た。 これはやはり素晴らしい。結末を知っていても息もつかせず一気に読ませる。還暦を過ぎてもまったく古びず、むしろ輝きを増すばかりのようだ。こんな文学というのはそうそうあるものではないだろう。 テレスクリーンは実現にますます近づいているし、共産主義は滅んでも全体主義の脅威は去...
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必要最低限にしか政治的に正しくないおとぎ話『ハリー・ポッターシリーズ』

固有名詞のセンスが半端じゃない時点で結構面白いだろうということは確信していたのだが、最近ようやく最終巻まで図書館で借りられるようになってきたので、全部読んだ。 どこかで誰かが「魔法界はアムネスティの調査で100位以下になりそうだ」とか書いているのを見て笑ったおぼえがあるが、確かにそんな感じ。大臣の独断で容疑者を処刑したりしちゃうし。 機会均等の原則はしっかり守ってホグワーツの創設者も2/4は女性。...
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山本弘『アイの物語』

山本弘つながりで読む。これは確かにすごく面白い。『神は沈黙せず』の時のような引っかかりもないし、迷わずおすすめできる。404 Blog Not Found:感無量 - 書評 - アイの物語 弾さんみたいにベストフィクションとまでは言えないけれども、同じポジティブなAIネタを扱っても、宗教的伝統から来るフランケンシュタイン・コンプレックスからいまだ完全に自由でない(ように思われる)世界の最先端SF作...
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テッド・チャン『あなたの人生の物語』

グレッグ・イーガンと並び称されているテッド・チャンの短編集。個人的にはイーガンの方が好きだが、かなり面白かった。 イーガン作品に通底するテーマが「自己同一性とは何か?」だとすれば、チャン作品に通底するテーマは「絶対的に隔絶した存在といかに向き合うか?」*1というものだ。 その隔絶した存在は、作品によって、神だったり・異星人だったり・未来だったり・超人類だったり・数学だったりするけども。『バビロンの...
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ショウペンハウエル『読書について 他二篇』

『思索』『著作と文体』『読書について』 ショウペンハウエルの三編を収録した薄い文庫本。引用はすべて『著作と文体』より。 書名は手紙のあて名にあたるべきものであるから、先ずその内容に興味を持ちそうな読者層に、その書物を送付する目的をもつはずのものである。だから、書名は独自の特徴をそなえるべきである。また短いことが書名の生命であるから、きわめて簡潔で含蓄豊かであるべきで、その上なるべくその本の内容に対...
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サビン・バリング=グールド『ヨーロッパをさすらう異形の物語―中世の幻想・神話・伝説』

監修の池上俊一氏からたどり着いた本。こういう事典的なものをがーっと読むのも中世ファンタジーも大好きなのでわりとツボにはまった。目次の項目を並べてみるとこんな感じ。さまよえるユダヤ人 永遠という罰の重みプレスター・ジョン 朗報かそれとも悪い報せか占い棒(ダウジング) なんでも見つけ出す魔法の棒エペソスの眠れる七聖人 復活する死者ウィリアム・テル 本当はいなかった弓の名手忠犬ゲラート 命の恩人は動物だ...