科学技術哲学

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マッテオ・モッテルリーニ『経済は感情で動く―― はじめての行動経済学』

タイトルに経済と入ってはいるが、あまり経済には限定されていない。かといって散漫というわけでもなく、かえって人間の認知の偏り全般についての本としてうまくまとまっているように思える。  特にこれといって新しい話はないが、この分野に興味を持つきっかけとしていいかもしれない。かなりおすすめ。 おすすめ類書 おまけ  今やWiiでSFCソフトがダウンロード販売されてる時代。 【ニコニコ動画】スーパーファミコ...
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シャロン・モアレム ジョナサン・プリンス『迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか』

病気と進化の関係というのは比較的新しくかつ面白い、ホットな話題の1つ。これとかも面白いしね。この本も面白いんだけど、1章のへモクロマトーシスについての話で、  そもそも瀉血という行為が世界中で何千年も続けられてきたという事実は、この行為に何らかのプラス効果があるということを示している。瀉血療法を受けた人が皆、死んでいたら、こんな治療法はあっというまに姿を消していたにちがいないからだ。  ひとつだけ...
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2人で世界を征服する方法

まず誰か1人でいいので、自分と志を同じくするか、自分の言いなりになる人間を連れてくる。*1 その2人を含む3人で、多数決で全てを決する1つ目の秘密結社を作る。 その3人を含む5人で、多数決で全てを決する2つ目の秘密結社を作る。 その5人を含む9人で、多数決で全てを決する3つ目の秘密結社を作る。 n番目の秘密結社は2^n+1人を支配できる。  世界の総人口はいまちょっとググったところでは約67億人。...
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スティーヴン J.グールド『人間の測りまちがい』が文庫版になっている

RUMさんのコメントで知りました。今までネット上ではほぼ入手不可で、図書館で借りるか古本屋で探すしか読む方法がなかったので、以前から復刊を願っていましたが、実現した形で非常に喜ばしいです。ぜひこの機会に読んで下さい。 おまけ 【ニコニコ動画】ロイツマ ガンプラ版
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ29 ジョン・C・リリー『イルカと話す日』 4/8

【第28回】 【目次】 【第30回】  前回に続き『イルカと話す日』を読み進めよう。今回はいよいよ我々がリリー博士から学ばなければならないことの核心に迫っていく。  ここで現在、人間が論争しているクジラとイルカに関する二通りの考え方を比べてみたい。  最初の考え方は十九世紀の生物学から生まれたものだが、これは脳の構造と脳のはたらきについて多くの発見がなされる前の考え方である。脳の重さや体重が測定さ...
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公理の話

数学に関する質問です。なぜ一度正しいと証明された定理が覆されることがないのか? ということが理解できません。 「あらゆる科学理論は本質的には仮説であって真理ではあ.. - 人力検索はてな へのはてなブックマークに対して、 では、公理そのものの妥当性は何がどう担保しているわけですか? - BLOG15の日記 では聞きますが数学の演繹の出発点の公理系そのものの妥当性、正当性は何によってどう担保されてい...
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イアン・エアーズ『その数学が戦略を決める』

書評 「その数学が戦略を決める」 - shorebird 進化心理学中心の書評など  最近巡回先に入った上のブログで見て面白そうだったので思わず買ってしまった。  内容の説明はリンク先に詳しいので繰り返さないが、かなり面白かった。もしかしたら(もしかしなくても)私もamazonに統計的に分析されてカモと見られているかもしれんな。  この本とはまったく関係はないが、リンク先のサイトの『神は妄想である...
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ジョナサン・マークス『98%チンパンジー―分子人類学から見た現代遺伝学』

『人間の測りまちがい』の最新分野版とでも言うべき本。チンパンジーのDNAは人間と98%同じなのだから云々、というような主張は一度ぐらい聞いたことがあると思うが、いったいそれはどういう意味なのか?  現代科学ではDNAのわずかな違いが生物にどういう影響をもたらしているかということは、まだまだ研究が始まったばかり。この98%というのは単に、ある塩基配列をそのまま比較しただけの数字にすぎない。  高校で...