科学技術哲学 『寄生獣』と利己的遺伝子とガイア理論の衰退の話 『寄生獣』と利己的遺伝子とガイア理論の衰退の話 - Togetterまとめ 寄生獣のアニメをやってたときに書いたものの清書です。内容的には上とほとんど変わっていません。TwitterやTogetterもいつまで存在するかわからないので、こちらにまとめておきます。 『寄生獣』のストーリー展開の変化、作者にすら予想していなかった変化は、進化論のダーウィン以来最も重要な進展をそのまま取り込んでいる。... 2017.6.10 科学技術哲学
科学技術哲学 わいせつとは性が年配の男性にとって適切に管理されていない状態 歴史上「わいせつ」の要件を具体的に示しえたためしがない、というのはよく言われることで、それはそれで正しいと思われる。 だが進化心理学的視点に立てば「わいせつ」を過不足なく単純に定義することは容易だ。 性が社会≒権力≒年配の男性(の同盟)にとって適切に管理されていない状態 だ。そもそも具体的にどんな行為や表現であるかは問題ではないのだ。たとえば、 一夫一婦制は社会的にひとつの安定解だから、夫婦間... 2017.5.3 科学技術哲学
科学技術哲学 マーティン・J・ブレイザー『失われてゆく、我々の内なる細菌』 失われてゆく、我々の内なる細菌:みすず書房 失われてゆく、我々の内なる細菌 - 楽園はこちら側 久々に単独エントリでおすすめしたくなった本。個別には、どれもすでに聞いたこともあるような話ではある。しかし、全部まとめて一貫して説明されると、わずかなりとも世界観を揺るがされるような話でもある。 アレルギーの衛生仮説はなんとなく外部の細菌・寄生虫ばかりに目が行っていたが、常在菌に関するものである可能... 2016.10.30 科学技術哲学
ガイア教の天使クジラ ガイア教の天使クジラ41 ジェームズ・ヒルトン『失われた地平線』 【第40回】 【目次】 【第42回】 あのハンターハンターさえ連載再開するぐらいだから自分も頑張ろうと思ってこのエントリを書き始めたら、書き上がるまでに再び休載してしもた(笑)。まあ仕方ない。始めよう。 今回取り上げる作品、記念すべき後半戦最初の作品は、ジェームズ・ヒルトン『失われた地平線』(1933)である。 未来・SFの世界にご案内しようとか言っておいて*1いきなり普通はSFに分類される... 2016.7.16 ガイア教の天使クジラ
科学技術哲学 意識の報道官モデルと『神々の沈黙』 最近の話ではないが、『だれもが偽善者になる本当の理由』を読んだ時に思いついたこと。まだかなり曖昧というか本当に思いつきレベルの乱暴な話だが一旦まとめる。 この本で提唱されている「意識の報道官モデル」というのは、意識の役割は大統領報道官のようなもので、大統領にとって不利な事実は知らない方がいいし、実際に知らされていない、というもの。 基本的にいいところをついているように見えるのだが、これが本当に... 2016.3.7 科学技術哲学
科学技術哲学 クラーク・エリオット『脳はすごい -ある人工知能研究者の脳損傷体験記-』 『脳はすごい』としか言いようのない『ある人工知能研究者の脳損傷体験記』 - HONZ こりゃおもろい。久々に脳関連でのヒット。 原題"The Ghost in the Brain"(脳の中の幽霊)。邦題はちょっと間抜けな感じになってしまっているが、直訳ではわかりにくいし、副題まで合わせて考えると、まあまあ妥当か。 著者は人工知能研究者。元から知能が極めて高い上に、絶対方向感や共感覚を持ってい... 2016.3.2 科学技術哲学
科学技術哲学 ベネディクト・キャリー『脳が認める勉強法』 タイトルから期待されるハウツー的なものよりも、脳科学というか学問寄り。とても分厚くて冗長。悪い内容ではないと思うので、自分用に超要約しておく。 1語で要約 「変えろ」。 1行で要約 絶えず環境・やること・やり方を変えろ。脳は差分を記憶する。 4行で要約 まずはすぐ取りかかり、飽きたらすぐやめろ。場所を・道具を・時間を・BGMを変えろ。詰め込んだら自己テスト、テストで考え込まずすぐ答えを見る、... 2016.2.16 科学技術哲学
科学技術哲学 幼児にテレビを見せてよいと思う 「テレビ子守」 子どもへの影響は小さい? | テレビ、スマホとの付き合い方を科学的に知る | 日経DUAL 「テレビは幼児の発育に悪影響がある」という主張に対する反論をしたいのだが、真面目にやるとすごい長さになってしまうので、ポイントを絞って3点だけ。 そもそも検討に値する主張ではない 発育が良いとは何であるか? 子供がどう育つのが望ましいのか? ということがまったく曖昧なため、そもそもこの主... 2015.7.26 科学技術哲学