科学技術哲学

科学技術哲学

アドラー心理学とモジュール性

岸見一郎著、古賀史健著。源流というだけあってなかなか面白い。ほとんどは単なる自己啓発の屁理屈のように見える反面、自己欺瞞の考察として先進的な部分もあるように見える。 (おすすめ本書評まとめ2014年11月版)  以前このように評したことがあるが、これだけじゃ意味がわからないのでちょっとだけ追加しておく。  アドラー心理学で一番問題なのは「個人をそれ以上分割できない存在であると考える」というところだ...
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『ヒトはなぜ笑うのか』

マシュー・M・ハーレー著、レジナルド・B・アダムズJr.著、ダニエル・C・デネット著。原題"Inside Jokes"(『ジョークの内幕』)。  やっと読んだ。詳しい内容については例によってshorebird先生にお任せ。 書評 「Inside Jokes」 - shorebird 進化心理学中心の書評など 「Inside Jokes」 その1  - shorebird 進化心理学中心の書評など ...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ40 一本目の糸:オリエンタリズム

【第39回】 【目次】 【第41回】  ここまで『存在の大いなる連鎖』という一本の柱に沿って、時系列に進んできたこのシリーズだが、ここからは、詳細に分け入る代償として、多少複雑にならざるをえない。  このシリーズでは、過去と未来で何が変化して何が不変であるかを常に意識することが、理解にあたって重要だ。*1しかし、完全に過去から現在へ進みながら、多岐にわたる話を扱うと、話があちこちに飛びすぎてわかり...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ39 ガイア教徒よりもガイア教的な日本人

【第38回】 【目次】 【第40回】  大きな鍵*1を逆向きに使うことで、鏡のように「普通」の日本人の態度もよく理解することができる。一本の柱から離れて次の段階に進む前に、一度自分たちを振り返っておこう。 鏡その1  以下は、このシリーズ開始以前に、ネットのどこか*2で見かけた会話である。記憶からの再現なので一字一句正確ではないが、概ねこのようなものであった。 A「なあ、これはもちろん仮定の話だけ...
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『人間と動物の病気を一緒にみる : 医療を変える汎動物学の発想』

人間と動物の病気を一緒にみる  バーバラ・N・ホロウィッツ著、キャスリン・バウアーズ著。原題"Zoobiquity The Astonishing Connection Between Human and Animal Health"(汎動物学 人間と動物の健康の間の驚くべきつながり)。  (人間の)医学は獣医学からもっと学ぶことがあるという本。素晴らしく面白かった。進化医学・進化病理学・進化心理...
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近藤滋『波紋と螺旋とフィボナッチ: 数理の眼鏡でみえてくる生命の形の神秘』

近藤滋先生の本。確か新聞で出るのを知った。  いやこれは面白いのはわかってたけど、改めて一冊の本として読んでみると、やはりメチャクチャ面白い。オールタイムベスト級。 こんどうしげるの生命科学の明日はどっちだ!?  ここでほとんどの内容は一度読んだことがあるにも関わらず、一気に読んでしまった。超おすすめ。  ギャグセンスにはちょっとだけ相性がありえそうだけど、私にはぴったり。「波紋」の単語にアレを連...
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大義名分とは集団的自己欺瞞の助けとなるもの

自己欺瞞ブームのひとつの産物として、長年スッキリしなかった「大義名分」の定義ができるようになったと思う。 何かを主張する際(特に集団的)自己欺瞞の助けとなるもの  大義名分という概念は日常的には難しいものではない。見ればそれとわかるし、使おうと思ったら苦もなく使える――うまくいくかどうかはともかく――だろうと思う。  しかし、定義が難しかった。これまでで一番ましと思われる定義は、 自分が有利になる...
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「自己欺瞞」がマイブーム

ここ数年、主としてshorebird先生のブログの影響で、自己欺瞞という概念がマイブームである。  数多くのことわざ、箴言、人生訓はもちろん、宗教の教えや投資格言といったものさえも、大半とまでは言わずとも、かなりの部分が、 「自己欺瞞を避けること」  の一言に集約できることに気付かされる。 参考リンク 書評 「うそつきの進化論」 - shorebird 進化心理学中心の書評など 書評 「The F...