アドラー心理学とモジュール性

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

 岸見一郎著、古賀史健著。源流というだけあってなかなか面白い。ほとんどは単なる自己啓発の屁理屈のように見える反面、自己欺瞞の考察として先進的な部分もあるように見える。

(おすすめ本書評まとめ2014年11月版)

 以前このように評したことがあるが、これだけじゃ意味がわからないのでちょっとだけ追加しておく。

 アドラー心理学で一番問題なのは「個人をそれ以上分割できない存在であると考える」というところだろう。これは脳のモジュール性の観点からの自己欺瞞理解とは正反対だ。

 たとえば、引きこもりの「彼」は「本当」は引きこもりを止めたくないのだ、というようなことを言うわけだが、

  • 長期的利益を司る部分は、引きこもりを止めたいと思っている
  • 短期的利益を司る部分は、引きこもりを続けたいと思っている

 とすれば、これ以上の説明はない。このどちらかが「彼」の「本当」の意見だと考える必要はどこにもない。

 この引きこもりに「ダイエット中なのに夜中に起き出して冷蔵庫をあさる人」以上に、何か本質的に問題があるとかおかしいとか考える必要はない。

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