科学技術哲学

科学技術哲学

哲学的ゾンビは「コンパイルしていないコンパイラ」と同じ

この本自体はいまいちだったのでおすすめ書評まとめにも取り上げなかったけど、読んでた時に思い出した話。  哲学的ゾンビというものは、単によく考えていないから可能な気がするだけの幻想だという意見に、私は賛成する。  この概念は、ITの用語でたとえるなら、 エクセルのソースコードを入力するとエクセルの実行ファイルを出力するが、コンパイルはしていないソフトウェア  というのとよく似ている。  この概念の巧...
科学技術哲学

外来種問題と検出バイアス

「生態系を破壊する」としてしばしば問題になる外来種・移入種。いったい何が問題なのかと思ったことはないだろうか。どうやって良いの悪いのと決めているのだろうかと。  私はあった。子供の頃だが。たぶん検出バイアスを考慮してなかったからだろうと思う。  要するに、はるばる遠いところからやってきた数匹の生き物が現地の環境や生物*1にやられてすぐ死んだり、増えも減りもせずほそぼそと生き続けているだけの場合、そ...
科学技術哲学

日本に小学校の先生は何人いるか?

先日、我が家で何かの会話から始まったフェルミ推定「日本に小学校の先生は何人いるか?」。 日本の総人口は約1億2000万人。 日本人の平均寿命は約80歳。 ほぼ全員が人生の6年間を小学生として過ごす。 だから小学生は人口の13分の1で1000万弱。 ただしこれは人口構成がまっ平らの場合。団塊の世代が老いかけて少子高齢化社会だから子供はもっと少ないはず。 どのくらい減ってるかまでは知らんので勘だが、年...
科学技術哲学

血液型性格診断というより血液型「名」性格診断だ

「血液型を知らない」が当たり前の時代になっていく - NAVER まとめ  ほほう、血液型性格診断は事実上不滅だろうと思っていたが、そもそも血液型を知らない人が増えることで廃れるという可能性もあるのか。  直接関係ないが、この記事を見て思い出したネタ。  血液型性格分類自体についての議論は、もうあまりにもありふれていて何度も繰り返されているので、ここで改めてする必要を感じない。Wikipediaで...
科学技術哲学

ジャレド・ダイアモンド『昨日までの世界―文明の源流と人類の未来』

イベントも見に行ったほど好きなジャレド・ダイアモンドの新刊。いわゆる国家以前の「伝統社会」から現代人が参考にできることがあるのではないかというテーマ。 The World Until Yesterday その1 - shorebird 進化心理学中心の書評など  例によってshorebird先生が読書ノートを連載中であるので詳しい内容はお任せ。  自分は特に気になったところと個人的に参考にしようと...
科学技術哲学

ジャレド・ダイアモンドの地球〜現代の高齢化社会に生きる私たちが、過去の人間社会から未来へとつなげられること

つながりプロジェクト2013 基調講演 「ジャレド・ダイアモンドの地球〜現代の高齢化社会に生きる私たちが、過去の人間社会から未来へとつなげられること」 | 日本科学未来館 (Miraikan)  shorebird先生のリツイートで知って見てきた。これまでの本をすでに読んでいることもあって、話の内容がすごく面白かったとは言いがたいが、『昨日までの世界』は出たら読みたい。
科学技術哲学

ダニエル・L・エヴェレット『ピダハン―― 「言語本能」を超える文化と世界観』

以前読んで、間違ってもおすすめとは思えなかったのでそのままスルーしてたが、最近テレビでもやってたりしたのを見たので、一言だけ。  私は、これは良くてせいぜい単なる勇み足――チョムスキーやピンカーの言うとおり――である方にかなりの自信を持って賭ける。  その判断の根拠は言語学的なものではなく、端々から漏れでてくる著者の「高貴な野蛮人」的思想にある。21世紀にもなって「サモアの青春」かよと突っ込みたく...
科学技術哲学

ダンバー数人委員会

陰謀論(ウォッチ)業界でよく見る(?)悪の秘密結社の名前に三百人委員会というものがある。  30人委員会や3000人委員会でなく、3万人委員会でも3億人委員会でもなく、あくまで300人委員会であり、300という数がロビン・ダンバーいうところのダンバー数の上限あたりにほぼ一致するのは興味深い。  利害でまとまったひとつのグループとして、人間が自然に想像できる限界の数がちょうどそれぐらいであるというこ...