科学技術哲学

科学技術哲学

ミシガンのネズミ

『神と科学は共存できるか? 』と『神は妄想である』の話も書きたいのだけどまだ書けてない。  本全体の主題とは関係なく、この「ミシガンのネズミ」という言葉は、これまでネット上の論争などを見ていてたまに言いたいと思っていた概念を簡潔に言い表す言葉として使えそうだからメモっておく。  広範な一般化はつねに、その境界に例外や「しかしながら」という微妙な領域を――主要な問題点の説得力を無効にすることなく、ま...
科学技術哲学

チャールズ・サイフェ『宇宙を復号する―量子情報理論が解読する、宇宙という驚くべき暗号』

考え出された当初は予想もしなかった物事にまで応用されるというのは理論の価値の最高の証明であるが、その点でクロード・シャノンの情報理論は比類ないものであろう。  熱力学・生化学・宇宙論・量子力学・相対性理論などを情報理論との関連という切り口からまとめた良書。若干求められている前提知識が高めな気がするがかなりおすすめ。 科学なニュースとニュースの科学:この本読んだ? 2007年注目の科学ノンフィクショ...
科学技術哲学

スティーヴン・ウェッブ『広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由―フェルミのパラドックス』

町村官房長官「UFO絶対いると思う」(産経新聞) - Yahoo!ニュース  UFOだけなら「未確認飛行物体の略ですから確認されていない飛行物体が存在するのは当たり前です」とか言い逃れられたけど、ナスカの地上絵がどうとか言っちゃってるから普通にトンデモ発言だな……。ペルー国民よ怒っていいぞ。  さて、地球にUFOが来てるという認識はあからさまなトンデモだが「宇宙に人間以外の知的生物がいるか?」とい...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ8 現代日本人は不当に宗教を軽視しすぎている

【第7回】 【目次】 【第9回】 日本の捕鯨海域に軍艦派遣も 「追跡し、証拠集める」 - MSN産経ニュース  近頃オーストラリア政府が捕鯨監視に軍隊を出すといって話題になっている。第5回で強調したように、これは単なる選挙対策であり、私はことさらにそれを非難することはしない。  だが、さすがにビックリするような話ではあり、日本のネット周りでの反発は「こいつら狂ってやがる」とかなんとか、それはそれは...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ7 反捕鯨問題は宗教問題である

【第6回】 【目次】 【第8回】 プロローグ  地球は生きている。  地球は意志を持っている。  その昔、私たち人類は、この世に存在するすべてが神の創造物であることを認識していた。生あるもの、生なきもの、鉱物や植物、動物、そして木々のざわめきや木漏れ日の中にも、神の神聖なる力が宿り、魂が存在することを知っていた。それとともに人類も、母なる地球と深く深くつながっていたのである。  今、私たちは再び遠...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ6 タロイモ作戦

【第5回】 【目次】 【第7回】  君にある任務を与えよう。  君は今から10人に満たない少人数のチームで地球の裏側、アマゾンの奥地タロイモ山の麓に住む狩猟採集民族ヤマイモ族の集落に侵入し、彼らが森に仕掛けた罠を破壊してかかっている獲物を逃がし、彼らのサツマイモ畑に立っている案山子*1に火をつけて帰ってくるのである。  これをタロイモ作戦と呼称する。さあどう思う?  私の予想が間違っていなければ「...
科学技術哲学

フリーマン・ダイソン『ガイアの素顔―科学・人類・宇宙をめぐる29章』

フリーマン・ダイソンは「ガイア」を語ってもアホに聞こえない稀なる人間。  個人的に、日本で紹介されるときよく「ダイソン球で有名な〜」とか付け加えられるのがいまいち気にくわない。あれは本人も言っているように『スターメイカー』が出典でダイソンのアイデアなわけじゃなく、別にSFに関係なく単純に現代最高の知性の1人なのに。  恥ずかしながら、今回英語版のWikipediaでテンプルトン賞を受賞しているとい...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ5 金儲けのための宣伝や政治利用を批判するのが論の目的ではない

【第4回】 【目次】 【第6回】  ずいぶん間が空いたが久しぶりに続きを書く。  あちこちからリンクされているのは結構だが、若干誤読されていそうな気配も出てきたので、ちょっと今までの流れを止めて、このシリーズで扱わない事は何かということを書こう。  まず、反捕鯨運動の始まりやそのきっかけに関しては扱わない。昔調べた名残でまんざら知らないわけではないが、一切扱わない。これらは――少なくとも私にとって...