科学技術哲学

科学技術哲学

ジェームズ・ローレンス パウエル『白亜紀に夜がくる―恐竜の絶滅と現代地質学』

恐竜の絶滅が隕石衝突によるものだというのは今日時点ではほぼ定説だが、少なくとも私の子供の頃はそうではなかった。出てきたのも受け入れられたのも比較的最近の話だ。 受け入れられたとはいっても、その道は必ずしも平坦ではなかった。地質学と進化論はそれぞれノアの大洪水と天地創造という聖書のドグマと戦うことで始まったようなものである。 その出自のせいもあって、(神の介入のような)偶然で突発的な大事件による説明...
科学技術哲学

ジョン・D・バロウ『宇宙の定数』

物理定数を主軸に据えた本。分野は『宇宙のランドスケープ』に近いが、過去の歴史も面白い。 まだしっかり確立している話ではないようだけど、実際に微細構造定数が変わっていることを示唆する具体的な観測があるというのは初めて知ったかな。かなりおすすめ。 ジョン・D・バロウの本はどれも面白い。おまけ 変わるものと変わらぬもの。【ニコニコ動画】ポケモンの名前や必殺技を外国語に翻訳⇒日本語に再翻訳してみた 1
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ12 ビクター・ケラハー『クジラの歌がきこえる』

【第11回】 【目次】 【第13回】 いよいよ本当の3人目、真打ち登場だ。金の星社「ときめき文学館」シリーズ『クジラの歌がきこえる』を一緒に読んでいこう。ちなみに奇しくも著者は今話題のオーストラリア人。1 クジラのかげ「クジラさん、お願い、もう一度、すがたを見せてちょうだい。」 クレアは、はげしい風と雨の中でひとみをこらしていた。(中略) クレアは、夏をすごすために群れをつくって南にむかうザトウク...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ11 お手製(?)中世ヨーロッパ風宗教説話

【第10回】 【目次】 【第12回】 3人目はなんと……私だ! というのはもちろん嘘だ。前回「3人中2人は日本人」と言ってたのに、3人とも日本人になってしまうしな。 だが、私の文章を読んでほしいのは本当だ。突然ですまないが、たった今私が考えた中世ヨーロッパ風の宗教説話の粗筋を読んでみてもらいたい。 若い修道士クリスは修行の旅の途中嵐に遭い乗っていた船が難破する。哀れ鮫のエサかと思われたクリスの命を...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ10 水棲類人猿説(アクア説)と鯨類崇拝

【第9回】 【目次】 【第11回】 二人目もやはり日本人である。たまたま見かけたネット上の文章だが、あまりにもまとまりがよくて感激したので利用させていただいた。 又聞きの又聞きを紹介しているだけの人を晒し上げるのが目的ではないので、あえてネットマナーを無視して引用元は書かない。 ただし「オレの文章を引用するならちゃんと出典明記しやがれ」という文句が来たら大喜びで従う用意がある。人類進化論アクア説 ...
科学技術哲学

フリーマン・ダイソン『多様化世界―生命と技術と政治』

『ガイアの素顔』をきっかけにフリーマン・ダイソンを読み直していたのだが、何年かぶりに読み返したこの『多様化世界』はやはりすごい。 ソ連崩壊などで古くなった――もっとも初めて読んだときにもすでにソ連は崩壊してたが――部分はもちろんあるが、少々の古さなどものともさせないパワーがある。私の価値観形成にもかなり影響を与えている重要な本である。 今後何かの機会に引用したくなりそうな部分も結構あるし、何より入...
科学技術哲学

2007年ブログネタ在庫一掃セール「本」編

今年読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、紹介タイミングがないままの本をまとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度を表す。人に薦める価値もないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。十分おすすめである。『彼らが夢見た2000年』★★ アンドリュー・ワット著。1900年の人間は2000年の世界をどのように想像したか。『見えざる左手―ものいわぬ社...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ9 野崎友璃香『イルカのアヌーからの伝言』

【第8回】 【目次】 【第10回】 反捕鯨運動を真の意味で宗教として捉えなければならないことを強調したので、まずは宗教としてのガイア教についてもうちょっと慣れ親しんで理解を深めてもらおう。 これから主に3人の文章を紹介するが、そのうち2人までは白人でもキリスト教徒でもない。日本人である。 後でもっと詳しく述べるが、ガイア教を単なる人種差別とかキリスト教原理主義と考えるのは完全に間違っている。まだそ...