政治経済社会

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エドワード・ルース『インド 厄介な経済大国』

ありがちな駄本みたいな邦題が非常にもったいないインド本。原題は"IN SPITE OF THE GODS - The Strange Rise of Modern India"。『神々をものともせず―現代インドの奇妙な隆盛』という程度の意味合い。  タイトルから連想されるようにインドという名称につきまとう神秘的なイメージにばかり着目する傾向――それは西洋人だけではなくインド人自身にさえも見られる―...
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スアド『生きながら火に焼かれて』

“名誉の殺人”を有名にした何年か前のベストセラー。存在は知っていたがやっと読んだ。 Sony Magazines CATCH BON!(公式立ち読み)  男女平等と女性の社会進出は、先進国でこそある程度当たり前のようになってはいるが、まだまだ女は産む機械で奴隷で家畜以下の扱いという地域はいくらでもあるわけだ。 男の子牧場!?|サイバーエージェントではたらく広報担当のブログ  こんな女性向け婚活サイ...
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ビョルン・ロンボルグ『五〇〇億ドルでできること』

コペンハーゲン・コンセンサスというものがある。  要するに、古典物理の原則に固執したり思弁を弄んだりするのはやめて、波動関数の収縮はとにもかくにも起きるのだという量子論的実験結果を素直に受け止めよう、ということ……じゃないそれはコペンハーゲン解釈。  要するに、世界に山積する重大問題をちゃんとした根拠とりわけ経済学の観点から評価して、優先度を見極めようぜという議論。『環境危機を煽ってはいけない』の...
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浜野喬士『エコ・テロリズム 過激化する環境運動とアメリカの内なるテロ』

シー・シェパードがあそこまでやる理由〜『エコ・テロリズム』 浜野 喬士著(評:栗原 裕一郎):日経ビジネスオンライン  上の記事で見てようやくこの分野の入門書として本当におすすめできる読みやすい本が出たかなと思って早速借りてきたが正解。  全体で200ページとちょっとの新書だが、変な陰謀論やポジショントークに陥ることなく、歴史的・思想的背景を幅広く取り上げている。  また参考文献の表記が非常に充実...
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ポール・ポースト『戦争の経済学』

一つ前の『テロの経済学』にも通じる内容だがこちらも結構面白い。要点からさらに抜粋してメモしておく。 第1章 戦争経済の理論 マクロ経済学的な要点 戦争は2種類の影響をもたらす:心理的影響と現実的影響。 軍事支出によって総需要を増やすと、経済を不況ギャップから引っ張り出せるけれど、そうした支出はインフレの原因にもなる。 ミクロ経済学的な要点 生産要素(特に資本と労働)がどれだけ動員されるかは、戦争の...
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アラン・B・クルーガー『テロの経済学 人はなぜテロリストになるのか』

“自爆テロは路上犯罪より投票行動に似ている。”  原題は"What Makes a Terrorist"(『何がテロリストを生み出すのか』)だが、著者自ら「"What Doesn't Makes a Terrorist"(『何がテロリストを生み出さないのか』)にすべきだったのではないか」と書評されたことを興味深いと言っており、私もそちらの方が適切のように感じる。 テロリストは十分教育を受けており、...
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ニセ科学批判はタマネギの皮を剥くように

たまたま具体例が続けて目に入ったので、いわゆるニセ科学批判批判に対する自分の立場。まずガザ地区に侵攻したイスラエルの白燐弾の話。  ミリタリー系に全然興味がなく兵器の知識も戦闘に関係する法律・条約の知識もゼロに近い私は、この件に関してもほとんど何も知らないのだが、一部に「ちょうかがくへいき」的なデマを吹聴している人間がいるのは、ぱっと見にも事実だろう。  私は、尊敬する海外の著述家が一人残らずユダ...
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前田高行『アラブの大富豪 』

“アラブの石油王”なんて表現はフィクションではお馴染み……かと言えばそうでもないな。イスラム圏なので文化の壁もあるだろう。そもそも本当の金持ちというのは、自分がいくら金を持っているかも、どのように運用しているかも秘密にするものだそうである。  まあ確かにそうだろう。近代的な会計制度によって財務がオープンになる企業を通して金持ちになるという私たちが当たり前だと思っているスタイルが、むしろ最近になって...