政治経済社会

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藤原辰史『ナチス・ドイツの有機農業―「自然との共生」が生んだ「民族の絶滅」』

今もシュタイナー教育などに名を残し、真面目に受け取っている人もいるルドルフ・シュタイナーと有機農法の話から始まって、自然を愛し全ての生命と共生しようという思想がなぜ大量殺人のような結果を生んだのかを巡る話に繋がっていく。  私はこれとかこれとかナチスネタには目がないのだが、この本と『ナチスと動物』『健康帝国ナチス』の2冊はどれも素晴らしく、“いまここにいるナチス”三部作とでも勝手に命名しておすすめ...
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フィクションは未来を地ならしする

アメリカ大統領選挙の投票日である。私は当初「オバマがなってくれればいいが結局マケインが勝っちゃうんだろうな……」ぐらいに考えていたクチなので、ペイリンと金融危機には感謝せねばなるまい。  ほぼ間違いなくアメリカ史上初の非白人大統領誕生となるわけだが、私が今思い出すのはドラマ『24』や映画『ディープ・インパクト』で見た黒人大統領の姿だ。 黒人大統領はSFだった! - ベイエリア在住町山智浩アメリカ日...
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『鳩山法相の死生観』を真剣に読めば死刑問題がわかる その7

「人の振り見て我が振り直せ」  (その6)朝日や毎日の記者たちがまったく分かっていなかったのと同様、死に神コラムを擁護した大半の日本の死刑反対派も、またわかってないと言わざるをえない。特に死に神コラムを擁護しながら「日本の死刑は土人の祭り」とか言って喜んでいた人々には失笑を禁じえない。  もちろん私は21世紀の人間なので、誰かが土人だからといってそれだけでバカにしたりはしない。だが、土人が土人を土...
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核と塩

日本は核武装する責任がある - satohhide’s log cabin  昔上記エントリを読んでたときに思いついた話だが、ネタ帳に埋まっているのを発見したので核。じゃなかった書く。  軍事力が通貨の信用の裏付け(のひとつ)となるなどというのは、別に核以前から当たり前の話なので、ウラン・プルトニウム本位制という話にあまり価値があるとは思えない。現代の核の位置づけをたとえるなら金よりむしろ塩だろう...
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『はだしのゲン』で「【Google Inc.による検閲】」が言葉狩りされてる件

終戦の日だからというわけではないが、十何年ぶりかで『はだしのゲン』を読んでたら、  かつては赤い夕陽の満州で敵陣をまっ先につき進み中国人どもを斬りまくり血で大地をまっ赤にそめた歴戦の鬼軍曹倉持勇造をなめやがって (中公文庫コミック版11巻P173)  というセリフ*1があったんだが、ここ昔読んだときは「中国人ども」のところが「【Google Inc.による検閲】ども」だったはず。昔の版がいつどこの...
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藤本由香里 白藤花夜子『快楽電流―女の、欲望の、かたち』

現在、私たちのまわりには、〈性〉に関する幻想の、数多くの鏡のカケラが散らばっている。そのうちの一片には全てを打ち破る愛の物語があり、また別の一片には徹底した支配・服従の物語がある。こちらには貞操の物語があり、あちらには快楽の物語がある。  かつてこれらの物語はそれぞれの鏡にまとまり、秩序だって、映すべき特定の人々を待っていた。しかし、今、それらの鏡はバラバラに壊れ、それぞれのカケラが、別のカケラの...
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栗本慎一郎『パンツを脱いだサル―ヒトは、どうして生きていくのか』

序章 それは病から始まった 第一章 ヒトはいかにじてヒトになったのか――そしてなぜなったのか 第二章 現代に至るパンツ 第三章 同時多発テロと国際関係、あるいはグローバリズムというパンツ 第四章 ユダヤ人の起源の謎 第五章 政治陰謀としてのビートルズ 第六章 結論ヒトはどうすれば生きていけるか、あるいは生きていく価値があるのか  栗本慎一郎というのはガイア教シリーズで水生類人猿説を見ていたときに頭...
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『鳩山法相の死生観』を真剣に読めば死刑問題がわかる その6

「人類みな兄弟」  生命の絶対的尊厳性は一神教文化に基づいた概念であり、日本人は誰も本当には信じていない。これと同じ事が万人平等の概念についても言える。  一神教文化における万人平等は、よく知られているように神の下の平等だ。人間は千差万別かもしれないが、老いも若きも男も女も、無限大のGODの力の前には等しくゼロである。この究極の自己卑下と人命の絶対的尊厳性を両立させうるのも、またGODという究極の...