書評

科学技術哲学

アンドリュー・パーカー『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く』

これも読もう読もうと思って後回しになっていた。いわゆるカンブリア大爆発についての本。 カンブリア大爆発についてはとにかく『ワンダフル・ライフ』が有名だが、この本でのグールドは、人間の進化が偶然の結果であるという意見――それは正しいと思うが――を強調するあまり、バージェス動物の異質性・多様性を過大に強調してしまった面があり、カンブリア大爆発などと言うのはただの誇張で実際は何も特別なことなど起きてはい...
星新一の夢世界

最相葉月『星新一 一〇〇一話をつくった人』

さて次の企画は - ショートショートの神様、星新一の知られざる生涯 ここ見て読んだが面白かった。最近「生活維持省」の検索ワードでやってくる人が多くなってたのは、たぶんこのエントリでも紹介されている新聞記事のせいだったんだな。
政治経済社会

マリー=フランス・ボッツ『子どものねだん―バンコク児童売春地獄の四年間』

わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 劇薬本「子どものねだん」で知る児童買春地獄に書評があったので便乗。 私もこの本は読んだことがあり、かなりおすすめできる。舞台はタイのバンコクやパタヤであり、私も小中学生の頃住んでいたり遊びに行ったりしたことがある場所だ。そのすぐ側でこういう現実もあったのだなあとかなり感慨深かった。 ただ具体的な内容にはいろいろ問題がある。ペドフィル男性に対する...
WEB情報通信

Joel Spolsky『Joel on Software』

1年ちょっと前UIEJに就職することが決まった時まずプログラミングに関する本をいろいろ買い込んだが、その中で一番面白かったのがこれだった。 1年たった今もう一回読み返してみたらもっと面白かった。来年また読んだらもっと面白くなっているだろうか?
科学技術哲学

グレッグ・イーガン『宇宙消失』

量子力学を初めて知ったときには誰でも「この確率を自由に操作できたら俺無敵!」って思うものだ。 だが、よもやそのまんまのネタを一本のSF小説にしてしまって、しかもそれが結構面白いんだから恐れ入る。 SFとしても十分面白いし、裏ギャグ的な面白さもあるし文句ない。 これでたぶん今出ているグレッグ・イーガンの本は一通り読んだが、長編では『ディアスポラ』>>『宇宙消失』=『順列都市』>『万物理論』ぐらいの印...
科学技術哲学

グレッグ・イーガン『しあわせの理由』『祈りの海』『ひとりっ子』

長編と平行してグレッグ・イーガンの短編集も読んでいたので、ここでまとめて感想。 結論から言うとこれ読んでちょっとでも興味をおぼえた人はとりあえず『祈りの海』は読もう。残り2冊をどうするかは読めば自動的に決まるはずだ。『しあわせの理由』適切な愛 保険の契約の関係で、事故で体を失った夫の脳を、新しいクローンボディが成長するまでの間自分の腹の中で生かしておかなければならない羽目になった妻の話。 地味な話...
政治経済社会

アービンジャー・インスティチュート『自分の小さな「箱」から脱出する方法』

知りもしないのにいつの間にかアマゾンアソシエイトの売り上げの中に入っていたこの本。この手の自己啓発本はまったく読まないのだが買ってみた。 ちょっとは期待したのだがやっぱりあまり面白くなかった。「悪いことは自分のせい、良いことは人のおかげ」という要点をいろんなたとえ話で繰り返しているだけ。 元はアメリカで売れた本らしいが、まあ欧米では斬新に感じるのはわからなくはない。しかし日本ではそんなの啓発される...
科学技術哲学

グレッグ・イーガン『万物理論』

『順列都市』『ディアスポラ』に続きグレッグ・イーガン3冊目。 ところどころ急ぎすぎたり間延びしすぎたり、あるところでは無駄に細かすぎたり逆にあっさりしすぎてたりする印象。個人的お気に入り度は『ディアスポラ』>>『順列都市』>『万物理論』 かな。でも書かれた順に良くなっているみたいだからそれでいいのか。 本筋の万物理論の他にも様々なSF要素が出てきて、ウィルスの人工合成の話も出てきたけど、今日見たニ...