経済

文化芸術宗教

もし戦争がなかったら、ピカソはゲルニカを作れただろうか?

という某氏のつぶやきから思い出した話。 むかし星新一で、一行で要約するなら、悲しい歌を作らせて鑑賞するためだけに虐げられている星 というショートショート*1があって、ずいぶん長い間悩んだ記憶がある。 悲惨とか不正からしか生まれ得ない芸術というものはあるのか? あるとしたらそれを求めるべきなのか? あるいはそれを求めることは許容されるのか? 現時点での私の答えは「あるかもしれないが、その不幸は仮想で...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年12月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。『マネーの進化史』★ ニーアル・ファーガソン著。金融史本。地味だが悪くない。『IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実』★ 村上宣寛...
政治経済社会

ポール・クルーグマン『良い経済学 悪い経済学』

企業同士における「競争力」という概念を国家同士に適用して、どちらかが勝てばどちらかが負けるかのようにとらえることには問題が多い、という話がメイン。 初版が1997年らしく、確かにやや昔の話が多いと思ったが、割と良い本だと思われる。 本題ではないが、印象に残ったところを一箇所だけ引用。 そこで、こう考えることもできる。将来、税理関係の弁護士の多くが、エキスパート・システム・ソフトに取って代わられるこ...
政治経済社会

ウィリアム・バーンスタイン『「豊かさ」の誕生―成長と発展の文明史』

現実の歴史で1820年ごろ以降に初めて見られたような、継続的かつ急速な経済成長には、私有財産制科学的合理主義資本市場輸送・通信手段 の4条件が全て揃う必要があるという話。同著者の『華麗なる交易』と合わせ、マット・リドレー『繁栄』グレゴリー・クラーク『10万年の世界経済史 』 が面白いと思った人が、次に読むのに最適。参考リンク今週の本棚:中村達也・評 『「豊かさ」の誕生…』=W・バーンスタイン著 -...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年11月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。『完全な人間を目指さなくてもよい理由-遺伝子操作とエンハンスメントの倫理-』★ まあ言いたいことはわかるし総論賛成なんだけど、どうもこの話は「...
政治経済社会

山森亮『ベーシック・インカム入門』

ベーシック・インカムの話は最近よく聞くが、ほとんど聞き流していた。本としてはこれが最初。私の第1感は「理念は素晴らしいかもしれんがなんかおかしい」というものだ。 「働かざる者食うべからず」という考え方を批判*1する時は、働かずに食っている金持ちの家に生まれた人間のことにちゃんと言及しているのに、働くことへのインセンティブを削ぐのではないかという疑問*2には、 ベーシック・インカムに対する答えられる...
政治経済社会

ポール・コリアー『民主主義がアフリカ経済を殺す 最底辺の10億人の国で起きている真実』

原題"Wars, Guns, and Votes: Democracy in Dangerous Places"(『戦争・銃・投票〜危険な場所での民主主義』)。『最底辺の10億人』と同著者。 内容はよく紹介されているところがあったので、参考リンク先などに譲って繰り返さないが、「民主主義体制下では所得の増加と共に安全度が増し、独裁体制下では所得の増加と共に暴力度が増す。この二本のラインが交差するポイ...
政治経済社会

マット・リドレー『繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史』

原題は『合理的楽観主義者――繁栄はどのように進化したか』ぐらいの意味。直訳の方が良かったのではないかと思うこと以外はまったく素晴らしい。強くおすすめする。 内容的には、すでによく紹介されているところがあるのでそちらに譲るが、ちょうど関連書籍に並べたような本の内容をまとめたような感じになっている。これまで好意的に紹介してきたものばかりなので、同時におすすめ。参考リンク書評 「The Rational...