政治

政治経済社会

マット・リドレー『繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史』

原題は『合理的楽観主義者――繁栄はどのように進化したか』ぐらいの意味。直訳の方が良かったのではないかと思うこと以外はまったく素晴らしい。強くおすすめする。  内容的には、すでによく紹介されているところがあるのでそちらに譲るが、ちょうど関連書籍に並べたような本の内容をまとめたような感じになっている。これまで好意的に紹介してきたものばかりなので、同時におすすめ。 参考リンク 書評 「The Ratio...
政治経済社会

手嶋龍一 佐藤優『インテリジェンス 武器なき戦争』

正直あんまり面白いとは思わなかったけど、 「永田メールにコロっと引っかかった前原誠司は今後二度と外交などのインテリジェンス活動に関わるべきではない」(要約)  とかいうようなことが書いてあって予見的だったので一応紹介。 参考リンク 前原誠司はこんな人・インテリジェンスのない男〜「インテリジェンス・武器なき戦争」より: 本のセンセのブログ おまけ  おお、こわいこわい。 【ニコニコ動画】スプラッター...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年10月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『5万年前―このとき人類の壮大な旅が始まった』★  ニコラス・ウェイド著。ところどころちょっと勇み足っぽく見えるところがあるが、悪くないと...
政治経済社会

ティム・ハーフォード『人は意外に合理的 新しい経済学で日常生活を読み解く』

『まっとうな経済学』と同著者。 原題は『生活の論理:不合理な世界の合理的な経済学』ぐらいの意味合いで、今回もかなり面白い。  『まっとうな経済学』は『ヤバい経済学』と連続して紹介したけど、奇しくもまた『超ヤバい経済学』に連続しての紹介。  それぞれの位置づけも、やはり前回と同じで、変わった話題に経済学的視点を適用してみる『超ヤバい経済学』に対して、こちらはひたすら“インセンティブ”という視点に絞っ...
政治経済社会

スティーヴン・D・レヴィット スティーヴン・J・ダブナー『超ヤバい経済学』

前作に比べると大幅に劣るけど、やはり面白い。売春の章が一番面白かった。  一般に話題になったのは温暖化の章らしいが。まあこんな皮肉った言い方してるから、もめるのは仕方ないか。  一方、どんな宗教にも邪教はつきもので、地球の温暖化もご多分にもれない。ボリス・ジョンソンは古典学を学んだジャーナリストで、その後ロンドン市長になった人だ。彼はラヴロックを読んで――ジョンソンはラヴロックを「神がかりの人」と...
政治経済社会

話せばわかる

「お互い人間なんだから、話せばわかる」  という考え方がある。  一見、文句のつけようのない立派な考え方に見えるが、大きな問題がある。  なぜか? 対偶を取ってみればわかる。 「話してもわからない(≒自分に同意しない)やつは人間ではない」  と言っているのと同じである。  「話せばわかる」という信念は、自分が間違っている可能性を常に真剣に考える態度とセットでなければ危険である。 おまけ  13日の...
政治経済社会

ダン・ガードナー『リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理』

我々が恐れなければならない唯一のものは、恐怖そのものである。 (フランクリン・ルーズベルト)  ルーズベルト大統領はともかく、この言葉は好きだったのに、しばらく積んでたのを後悔。これは素晴らしい。超いい。 『詐欺とペテンの大百科』 『表現の自由を脅すもの』  と並んで、一家に一冊配布を義務づけたいレベル。 進化心理学本 メディアリテラシー本 科学リテラシー本 社会問題リテラシー本  いずれの視点か...
政治経済社会

マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』

原題 "Justice - What's the Right Thing to do?"(『正義――何が正しいことなのか?』)NHKでハーバード白熱教室として放送されているらしい講義の書籍化。  歴史を足早におさらいする感じや、日本での流行り方からは、正義論に集中した『ソフィーの世界』、といった印象を受ける。  確かに流行るだけあって、大変よくまとまっていると思う。この分野の入門書としては最高だ。...