政治

科学技術哲学

クリストファー・レーン『乱造される心の病』

私はADHDなどの新しい精神疾患の概念には懐疑的である(参考)が、ちょうどそれに関する話題のようだったので読んだ。  ますます疑念が強まる結果になった。読んでいて楽しい本ではないが、下の目次や抜粋を見て興味を持った人にはおすすめする。 目次 第1章 心の問題か?脳の問題か?――不安をめぐる一〇〇年の闘い 第2章 感情が病状にされる――診断をめぐる闘争 第3章 内気は病気になった!――精神医療産業の...
映画・ザ・ムービー

裏・真アバターにして至高のAB級映画『第9地区』 オススメ度 10/10

素晴らしすぎる。これは最高です。すでに今年度最高はもちろんオールタイムベストに数える人がいるのも全面的に頷けます。  『アバター』で殺菌・消毒・漂白され尽くして乾ききっていた心に、血と汗と涙と小便とゲロと脳漿をぶちまけていい具合にうるおいを取り戻してくれました。  PG-12指定されるぐらいのそこそこきついグロ描写がありますが、そこをクリアしている人は余計な情報を入れてしまう前に是非見に行って下さ...
科学技術哲学

鹿野司『サはサイエンスのサ』

サはサイエンスのサ:ハヤカワ・オンライン(目次) サはサイエンスのサ くねくね科学探検日記(公式)  巡回先にも入っている『くねくね科学探検日記』の鹿野司によるサイエンスエッセイ集。  語り口は実にくだけた感じで、ネットスラングやマンガネタも入るし、イラストもとり・みきで軽妙な感じだけど、内容そのものは極めて正統派。上のリンクから目次を見てもらえば雰囲気は掴めるだろう。  話題の幅が広いわりに奥も...
アニメコミック

ゴルゴ13の出身が決して明らかにならないのはなぜか?

ゴルゴ13の出身は、たびたび話題になるものの、決して明らかになることはない。なぜか?  ある意味では答えは簡単だ。多分あなたもすぐ思いついた通りだ。明らかになってしまったら、いつでも使えて確実に人気のあるネタの一つが無くなってしまうからだ。  しかし、それはあくまで至近要因だ。なぜゴルゴの出身が確実に人気のあるネタなのか?  想像してみよう。ついにゴルゴの真の出身が疑問の余地なく判明した! 実はロ...
政治経済社会

「市民、あなたは幸福ですか?」

国民の「幸福度」を調査へ=新成長戦略の指標に?政府 2月28日14時3分配信 時事通信  鳩山由紀夫首相は28日、首相公邸で菅直人副総理兼財務相や仙谷由人国家戦略担当相らと会い、新成長戦略の具体策取りまとめに向け、国民の「幸福度」を調べる方針で一致した。具体的な調査項目を詰めた上で、3月初めにも着手する。  会談後、仙谷氏は公邸前で「単なる数字のGDP(国内総生産)だけじゃない成長をわれわれがどう...
政治経済社会

女性器切除か女子割礼か

エドワード・オズボーン・ウィルソン『知の挑戦―科学的知性と文化的知性の統合』 長谷川寿一 長谷川真理子『進化と人間行動』 ドナルド・E・ブラウン『ヒューマン・ユニヴァーサルズ―文化相対主義から普遍性の認識へ』  ここしばらくヒューマン・ユニバーサルの話題を並べていたのは何故かというと、ちょっと前*1に見かけた一連の女性器切除の話題に関して、一言だけ触れておきたいと思ったから。 女性器切除 ちょっと...
文化芸術宗教

ジョージ・オーウェル『一九八四年』

今年は『種の起源』出版150年だったが『1984年』出版60年でもある。そのせいなのか、『1Q84』に便乗したのか、新訳版が出た。  これはやはり素晴らしい。結末を知っていても息もつかせず一気に読ませる。還暦を過ぎてもまったく古びず、むしろ輝きを増すばかりのようだ。こんな文学というのはそうそうあるものではないだろう。  テレスクリーンは実現にますます近づいているし、共産主義は滅んでも全体主義の脅威...
アニメコミック

なんかリアル『野望の王国』な会話が聞こえた気がする

のでメモ。 橘:  もし暴力を全て否定するなら国家の秩序も否定しなければならない  なぜなら秩序を保つのは警察力という暴力機構にほかならないのだから  いい暴力と悪い暴力があるというならそのいい悪いは誰が決めるのか…  そんなことも考えず暴力はいかんなどと叫ぶことは自分を支配される側に置くのだということに どうして気づかぬのか 片岡:  大衆が暴力に対して女みたいなヒステリー症状を示す間は日本最大...