WEB情報通信 安岡孝一 安岡素子『キーボード配列QWERTYの謎』 やっと図書館で借りられたので読んだ。この話の決定版と言ってよいのではないか。 要点は、「QWERTYはタイプライターのキーが絡まないように、連続して使われる文字を離してわざと早く打てないように決められた。」というよく聞く話は、意外で強い印象を与えるというだけの理由で生き残っているデマであり、本当はそんな単純な話ではなくもっと複雑な歴史的経緯があるということ。 しかし、キーボードのような実用一辺倒の... 2008.8.13 WEB情報通信
科学技術哲学 シャロン・モアレム ジョナサン・プリンス『迷惑な進化―病気の遺伝子はどこから来たのか』 病気と進化の関係というのは比較的新しくかつ面白い、ホットな話題の1つ。これとかも面白いしね。この本も面白いんだけど、1章のへモクロマトーシスについての話で、 そもそも瀉血という行為が世界中で何千年も続けられてきたという事実は、この行為に何らかのプラス効果があるということを示している。瀉血療法を受けた人が皆、死んでいたら、こんな治療法はあっというまに姿を消していたにちがいないからだ。 ひとつだけ確か... 2008.8.9 科学技術哲学
政治経済社会 藤本由香里 白藤花夜子『快楽電流―女の、欲望の、かたち』 現在、私たちのまわりには、〈性〉に関する幻想の、数多くの鏡のカケラが散らばっている。そのうちの一片には全てを打ち破る愛の物語があり、また別の一片には徹底した支配・服従の物語がある。こちらには貞操の物語があり、あちらには快楽の物語がある。 かつてこれらの物語はそれぞれの鏡にまとまり、秩序だって、映すべき特定の人々を待っていた。しかし、今、それらの鏡はバラバラに壊れ、それぞれのカケラが、別のカケラの光... 2008.8.8 政治経済社会
政治経済社会 栗本慎一郎『パンツを脱いだサル―ヒトは、どうして生きていくのか』 序章それは病から始まった第一章ヒトはいかにじてヒトになったのか――そしてなぜなったのか第二章現代に至るパンツ第三章同時多発テロと国際関係、あるいはグローバリズムというパンツ第四章ユダヤ人の起源の謎第五章政治陰謀としてのビートルズ第六章結論ヒトはどうすれば生きていけるか、あるいは生きていく価値があるのか 栗本慎一郎というのはガイア教シリーズで水生類人猿説を見ていたときに頭に残っていた名前だったので、... 2008.8.3 政治経済社会
文化芸術宗教 スティーブン・J. ブラムス『旧約聖書のゲーム理論―ゲーム・プレーヤーとしての神』 えーと、このタイトルからどんな本だと予想します? たぶん「十戒が原始的なりに社会契約を成り立たせる経済ゲームのルールとして解釈可能だ。」とかなんとかそういう話になると思うでしょ。私もそう思ってた。 ところがぎっちょんキリギリス、非常に聖書直解的に旧約聖書の記述が事実だとした上で、旧約聖書の神が自分の栄光を最大限に示すゲームを行っていると考えて解釈したらどうかという話なんだわ。 これはさすがに予想外... 2008.7.26 文化芸術宗教
政治経済社会 内藤正典『激動のトルコ―9・11以後のイスラームとヨーロッパ』 トルコについての本。世俗主義とイスラーム主義の対立の話イラク戦争とクルド問題の話EUへの加盟を望むが、結局はイスラムだから何かと口実を設けられて拒否される話911やムハンマド風刺画事件とEU内のトルコ系移民の話EU内部の政教分離の話 特に「これは!」という何かがあるわけではないが面白かった。ここはやはり21世紀の運命を分ける土地の一つなんだろうな。おまけ【ニコニコ動画】沸騰都市 04 「イスタンブ... 2008.7.20 政治経済社会
WEB情報通信 Yugui『初めてのRuby』 書籍『初めてのRuby』を書いた 別に初めてではないのだが買ってしまった。著者のYuguiさんにも興味があった(これとかこれとかかなり共感するところがある)からなのだが。 美しい、としか表現しようがない。足すべきものも引くべきものも一つもないという完璧さに恍惚となる。こんな感覚を言語の解説書から受けるというのは夢想だにしなかった。 弾さんの書評はいつ頃からか売らんかなの傾向を強く感じるようになって... 2008.7.17 WEB情報通信
科学技術哲学 スティーヴン J.グールド『人間の測りまちがい』が文庫版になっている RUMさんのコメントで知りました。今までネット上ではほぼ入手不可で、図書館で借りるか古本屋で探すしか読む方法がなかったので、以前から復刊を願っていましたが、実現した形で非常に喜ばしいです。ぜひこの機会に読んで下さい。おまけ【ニコニコ動画】ロイツマ ガンプラ版 2008.6.9 科学技術哲学