書評

科学技術哲学

ジャレド・ダイアモンド『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの』

プラトンの『国家』と共通点のある本。その共通点とは、初めて読むとき最初の一章を飛ばせ! 必ず飛ばせ! というもの。 最初の一章がアメリカのモンタナ州の話なのであるが、これが本の中で一番、そして唯一、実につまらないのである。 アメリカ人なら自国の話から入ることによって興味が沸くのかもしれない――少なくとも著者の意図はそうだろう――が、アメリカ人でないのなら絶対に次のイースター島の章から読み始めるべき...
科学技術哲学

スティーヴン・ジェイ・グールド『神と科学は共存できるか?』

誰だつまらないとか感心しないとか言ってるのは。十分面白いじゃないか。まあ確かにグールドの本の中では、一番つまらないのは認めざるをえない。個人的には『2000年問題』よりは面白かったが。 しかし、題材が題材である。なんと言ってもこれは何百年も前から確立している道徳原則と科学哲学の再確認に関する本なのだ。およそ本の題材として――何の題材としても――これ以上つまらないものがこの世にあろうか。 思えば私の...
科学技術哲学

人種差別問題でオススメの本3冊

ワトソン発言の件(finalventさんのまとめを見ればいいと思う)で何か書こうと思っていたのだけど、ちょっとまとまったものを書く暇がなくて出遅れてしまった。 やはり日本ではこの件での認識の甘い人が多いと感じる。誰とは言わないが、ワトソンと同レベルの剥き出しの偏見をしっかり抱いている人が、ざっと見るだけでもかなりの割合でいる。彼らとワトソンの違いは、反発を受けるとわかっている発言をあえてする自信を...
科学技術哲学

ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』

今日の世界の各地域の状態には大きな格差がある。 ユーラシア大陸発祥の民族・文明・国家は先に高度な発展を遂げた。 その侵略によってアメリカ大陸やオーストラリア大陸の先住民は絶滅あるいはその寸前にまで追いやられ、アフリカ=ユーラシア大陸からの移民に取って代わられてしまった。 アジアの各地やアフリカ大陸は、植民地にされたり住民が奴隷にされたりしたとはいっても、今でも有史以来の住民の子孫が暮らしている。 ...
政治経済社会

岡田斗司夫『ぼくたちの洗脳社会』

404 Blog Not Found:いつまでもケチと思われるなよ この件。現時点での情報から判断できる限りではほとんど弾さんと同じ感想なんだけど、どうしても納得がいかない。 岡田斗司夫はもちろんいろいろな方面で有名な人物だが、私にとって一番の印象はこの『ぼくたちの洗脳社会』の著者、というものだった。 最近公式サイトで全文掲載されているのを知ったのでリンクしておく。かなり面白い本だった記憶がある、...
科学技術哲学

スティーヴン・ジェイ・グールド『神と科学は共存できるか?』10月18日発売

amazonからのメールおすすめが初めて役に立った。予約注文しとこう。 ドーキンスの『神は妄想である』の中で『千歳の岩』という名前で批判的に言及されていた本だ。 原題が『ROCKS OF AGES』だから直訳としては千歳の岩で正しいが、さすがにわかりにくすぎるということで邦題がこうなったんだろう。 実をいうと『神は妄想である』はもうだいぶ前に読んだのだが、どう言及すればよいものか迷っている。 ドー...
科学技術哲学

スティーヴン・ジェイ グールド『暦と数の話―グールド教授の2000年問題』

365番目のエントリなので、暦にちなんだ本を紹介。 グールドは進化論関係ばかりでなくてこんなのも書いている。サヴァン症候群の息子に触れている部分などは、他の本では見られなかった彼の側面が見られて面白いだろう。 日頃なにげなく使って当たり前だと思っている年月日、曜日の概念にも様々な歴史があることがわかって少し違った気分で生活できるようになるかもしれない。参考リンク。もうひとつの「2000年問題」さら...
政治経済社会

ポール・クルーグマン『クルーグマン教授の経済入門』

最近ちょっとずつ経済学に興味が向いてきた私。 昔からいろいろな分野に一通り首を突っ込んでは、一通り納得がいくまで熱中し、そして結構すぐ飽きる、というパターンを繰り返してきた中で、不思議と経済学にはこの歳になるまでほとんど興味が向いた覚えがない。 なぜだろう。元々お金にあまり執着がない*1せいかもしれない。 人間と社会の複雑さがもっとも濃密に絡み合う経済の動きにまともな理論などあるはずがない。経済学...