書評

文化芸術宗教

ゴセシケゴセシケ

地上でもっとも凶々しいSF 合成脳のはんらん(合成怪物)  ずいぶん前に読んだ覚えのあるはずの上のリンクの文章がなぜかはてブの注目エントリに上がっていた。私もこの本は小学校の図書館で読んで強く記憶に残っている。  今思えばSFに限らず私の趣味一般、たとえば登場人物皆殺し系の悲劇的というか破滅的な結末の話が好きだったりすることなどにかなり影響を与えているような気がする。  「『脳に意識がある』という...
科学技術哲学

複雑系・カオス・フラクタル関係のおすすめ本まとめ

「複雑系関係でいい本知りませんか?」というリクエストが(リアルで)あったので備忘がてらまとめてみました。  基本は圧倒的にこれがおすすめ。なんと言ってもローレンツ本人の手によるだけあって非常にわかりやすい。図表が豊富なのも良い。  下のは4冊は応用編。生物・物理・宇宙論・数学等との関連。どれも甲乙付けがたいぐらい最高に面白いですぞ。 6/1 追記  もうちょっとあっさり読みたいという人は複雑系ブー...
文化芸術宗教

虹影『飢餓の娘』

母が家に置いていったので読んでみたが、これ自体はそこまで面白いとは思わなかった。『ワイルドスワン』と似たような内容で、そちらの方が面白かった。  これまでの経験を思い出してみると、近代中国に関する文学で本気で面白いと思ったのは『大地』と『阿Q正伝』。後者は短いし青空文庫でも読めるのでまだの人にはおすすめ。
科学技術哲学

アンドリュー・パーカー『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く』

これも読もう読もうと思って後回しになっていた。いわゆるカンブリア大爆発についての本。  カンブリア大爆発についてはとにかく『ワンダフル・ライフ』が有名だが、この本でのグールドは、人間の進化が偶然の結果であるという意見――それは正しいと思うが――を強調するあまり、バージェス動物の異質性・多様性を過大に強調してしまった面があり、カンブリア大爆発などと言うのはただの誇張で実際は何も特別なことなど起きては...
星新一の夢世界

最相葉月『星新一 一〇〇一話をつくった人』

さて次の企画は - ショートショートの神様、星新一の知られざる生涯  ここ見て読んだが面白かった。最近「生活維持省」の検索ワードでやってくる人が多くなってたのは、たぶんこのエントリでも紹介されている新聞記事のせいだったんだな。
政治経済社会

マリー=フランス・ボッツ『子どものねだん―バンコク児童売春地獄の四年間』

わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: 劇薬本「子どものねだん」で知る児童買春地獄 に書評があったので便乗。  私もこの本は読んだことがあり、かなりおすすめできる。舞台はタイのバンコクやパタヤであり、私も小中学生の頃住んでいたり遊びに行ったりしたことがある場所だ。そのすぐ側でこういう現実もあったのだなあとかなり感慨深かった。  ただ具体的な内容にはいろいろ問題がある。ペドフィル男性に...
WEB情報通信

Joel Spolsky『Joel on Software』

1年ちょっと前UIEJに就職することが決まった時まずプログラミングに関する本をいろいろ買い込んだが、その中で一番面白かったのがこれだった。  1年たった今もう一回読み返してみたらもっと面白かった。来年また読んだらもっと面白くなっているだろうか?
科学技術哲学

グレッグ・イーガン『宇宙消失』

量子力学を初めて知ったときには誰でも「この確率を自由に操作できたら俺無敵!」って思うものだ。  だが、よもやそのまんまのネタを一本のSF小説にしてしまって、しかもそれが結構面白いんだから恐れ入る。  SFとしても十分面白いし、裏ギャグ的な面白さもあるし文句ない。  これでたぶん今出ているグレッグ・イーガンの本は一通り読んだが、長編では『ディアスポラ』>>『宇宙消失』=『順列都市』>『万物理論』ぐら...