科学

科学技術哲学

ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄 一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』

今日の世界の各地域の状態には大きな格差がある。  ユーラシア大陸発祥の民族・文明・国家は先に高度な発展を遂げた。  その侵略によってアメリカ大陸やオーストラリア大陸の先住民は絶滅あるいはその寸前にまで追いやられ、アフリカ=ユーラシア大陸からの移民に取って代わられてしまった。  アジアの各地やアフリカ大陸は、植民地にされたり住民が奴隷にされたりしたとはいっても、今でも有史以来の住民の子孫が暮らしてい...
科学技術哲学

金庫破りをしないファインマンはありうるか?

天才と○チガイは紙一重のテーマをもうちょっと追及する。  紙一重であることは認めるとして、紙一重である必要はあるんだろうか? つまり、金庫破りで上司を困らせないリチャード・ファインマン、今日にもソ連を核攻撃しろと言わないジョン・フォン・ノイマン、人なつこいクルト・ゲーデル、女性にモテモテ王国のアイザック・ニュートンは存在しうるんだろうか?  ある意味ではこの質問に対する答えは明白だ。実際に人格的に...
科学技術哲学

スティーヴン・ジェイ・グールド『神と科学は共存できるか?』10月18日発売

amazonからのメールおすすめが初めて役に立った。予約注文しとこう。  ドーキンスの『神は妄想である』の中で『千歳の岩』という名前で批判的に言及されていた本だ。  原題が『ROCKS OF AGES』だから直訳としては千歳の岩で正しいが、さすがにわかりにくすぎるということで邦題がこうなったんだろう。  実をいうと『神は妄想である』はもうだいぶ前に読んだのだが、どう言及すればよいものか迷っている。...
政治経済社会

沖縄住民集団自決削除 文科相、書き換え容認へ

沖縄は高校の修学旅行で行った覚えがある。目良誠二郎っていうとてもいい先生がいたんだが、この人が東大でも学生運動を熱心にやってたらしい筋金入りの左翼だった。  授業でそんな内容の番組をビデオで観ていて、なんか連署みたいなのに名前が書いてあるのが映って『これ先生じゃね!?』って生徒からツッコミ入りまくってニヤリって場面が今も思い出せる。  おかげで修学旅行でも米軍基地見に行ったり(戦闘機の爆音って旅客...
科学技術哲学

良いトンデモと悪いトンデモは紙一重

幻影随想: 陰謀論に堕ちた生化学者  細胞内共生説で有名なリン・マーギュリスが911陰謀論系のトンデモさんになっちゃったという話。  幻滅したとかガッカリしたとかいう感想が聞かれるが、私は前からそういう素養はあると思っていたので、さもありなんという感想だった。  というのも私は、この人が左翼系のトンデモとは極めて親和性の高いガイア理論のシンパであると前から知っていたからだ。 デビルマン・寄生獣・ネ...
アニメコミック

デビルマン・寄生獣・ネウロに共通する進化論へのまともな理解 前編

現在少年ジャンプでほぼ唯一と言っていいぐらい着目している『魔人探偵脳噛ネウロ』であるが、最近の展開は単に面白いというのとは違う意味でちょっと興味がある。私が以前から持っている作業仮説を検証できる機会だからだ。それは、 進化についてのまともな理解にヒントを得ているマンガは奇跡的な傑作になる可能性が高い  というものである。少年漫画で進化について触れられる場合『オレが進化の頂点を極めた究極生物なのだッ...
科学技術哲学

レオナルド・サスキンド『宇宙のランドスケープ 宇宙の謎にひも理論が答えを出す』

『エレガントな宇宙』以来の超弦理論本。なかなかよかった。おすすめ。  生命はごく最近まで歴史上常に、あり得ない驚異であり究極の神秘と思われてきた。科学の進歩とともに今日では生命もその誕生も特に不思議とは思われなくなってしまったが、それでも驚異はステージを一つ繰り上がって保存されている。  「では、なぜそもそも宇宙の物理法則が生命という化学的特性をそれほど不思議ではなくするようなものになっているのか...
科学技術哲学

ピーター・フォーブズ『ヤモリの指―生きもののスゴい能力から生まれたテクノロジー』

そでの宣伝文より抜粋。  吸盤もないのに壁や天井に張りついて楽々と歩くヤモリ、泥の中でも汚れ知らずのハスの葉、色素もないのに鮮やかな青に輝くモルフォ蝶……これらの、生き物が発揮する「離れ業」はどういう仕組みなのかという謎が、ナノテクや超高解像度顕微鏡、遺伝子組み換えなどの最先端技術で解き明かされたとき、人はその巧みさに驚き、魅了された。しかし人はそこに留まらず、いつしかそれらの秘密を科学技術で再現...