2007 4/17

子どものねだん―バンコク児童売春地獄の四年間

に書評があったので便乗。

 私もこの本は読んだことがあり、かなりおすすめできる。舞台はタイのバンコクやパタヤであり、私も小中学生の頃住んでいたり遊びに行ったりしたことがある場所だ。そのすぐ側でこういう現実もあったのだなあとかなり感慨深かった。

 ただ具体的な内容にはいろいろ問題がある。ペドフィル男性に対する記述や彼らへのインタビューの場面を通して、燃えるような人種差別(白人優越・アジア人蔑視)意識が垣間見えることもそうだし、何より全体として話がうますぎるのである。

 児童売春の現実が悲惨なのはもちろん知っているし、著者の援助活動も当然嘘ではないのだろうが、脚色はドキュメンタリーとして許されるレベルをはるかに逸脱していると思う。まるで全ての登場人物が彼女の英雄伝説を盛り上げるために定められた役割を演じているかのごときである。

 私ははっきり言うと著者は虚言癖ではないかと疑っている。いわゆる嘘つきというのではなく、全ての記憶が自分に都合のいいようにどんどん改竄されてしまい、自分自身ではそれに気付くことすらできないような病的なタイプのそれである。

 それがいい方向に向かっているのだから構わないじゃないかという考え方もあるだろう。私もそう思うからあえておすすめしている。ただ具体的な記述については話半分どころか全部フィクションぐらいの心構えで読むべきだと思うとは言っておく。

by 木戸孝紀 tags:


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