2017 9/17

『シブサワ・コウ 0から1を創造する力』★★

 シブサワ・コウ著。電ファミの記事がムチャクチャ面白かったので。やっぱり一代で大企業を築くような人は普通ではないな。

『すごい進化 – 「一見すると不合理」の謎を解く』★★

 鈴木紀之著。内容はshorebird先生にお任せ。

『ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた』★

 パット・シップマン著。イヌの家畜化の影響が大きかったのではないかという仮説。

『きずなと思いやりが日本をダメにする 最新進化学が解き明かす「心と社会」』★★★★

 長谷川眞理子著、山岸俊男著。対談形式。進化心理学とか慣れてる身には初歩的だが、賛成できる内容。詳しくはやはりshorebird先生にお任せ。

『錯覚の科学』★★★★

 原題”The Invisible Gorrilla and other ways intuitions deceive us”(『見えざるゴリラ――その他直感が我々を欺く方法』)有名なゴリラバスケ動画の実験他「不注意による見落とし」の本。内容はいいのに地味すぎる邦題がもったいなすぎる。自分が見落とされるブラックジョークか?

『天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編』★★★★★

 上橋菜穂子著。ついにラスト。若干駆け足気味ではあったが、最後まで面白かった。唯一気にくわなかった「帝」関連も一応無理のない(?)結末ついたし。著者の他シリーズも読んでみよう。

『この世界の片隅に公式ガイドブック』★

 「この世界の片隅に」製作委員会著。長尺版作成決定とか聞いた。

『哲学入門』★★★

 戸田山和久著。タイトルの印象から普通に連想される内容ではない。ダニエル・デネットとか、いわゆる伝統的な「哲学」ではない哲学の入門。入門の新書としては最適かと。

『菜根譚』★

 洪自誠著、中村璋八翻訳、石川力山翻訳。いろんな意味で古典らしい内容。やや単調で退屈にも感じるが。

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2015 11/18

啓蒙思想2.0―政治・経済・生活を正気に戻すために

 ジョセフ・ヒース著。単独でこれという新しい知見はないのだけど、とにかく尋常じゃないほど良い。それも『資本主義が嫌いな人のための経済学』と同じ人だと!? とんでもねえな。

 今日日「哲学者」の肩書きで、ここまで自信持っておすすめできる著者は他にダニエル・デネットぐらいしかいないのでは。

 備忘のため内容を箇条書き形式まとめておく。かなり大胆に要約というか言い直しているので、原文とニュアンスが違ってしまっているところもあるかもしれないので注意。

  • 近年、いくつかの理由により理性が軽視され、あまりにお馬鹿な、狂気と言えるような議論が幅をきかせるようになっている。啓蒙思想を復権させ、正気を取り戻すことが必要だ。
  • アメリカには反知性主義――スノッブな知的エリートの理屈より普通の市民の直感が正しい――の伝統があり、この理性軽視の傾向は、左派より右派がうまく政治的成功につなげている。
  • 近年の心理学や行動経済学の成果「人間はホモ・エコノミクスではない」「直感で多くの物事を判断する」等が、いささか歪められ過大評価されている。
  • 新たに登場した24時間ニュース番組は、実際には15分のワンフレーズ映像の繰り返しになり、むしろ新聞等の時代と比べて、政治議論における理性の度合いを低下させた。
  • ゲッペルスがすでに気づいていた単純な繰り返しの効果が、多くの企業や選挙コンサルタントに行き渡り、商業広告や政治宣伝は、理性より直感・感情に訴える方法を洗練させてきた。
  • フランス革命や共産主義に代表される啓蒙思想1.0は、理性を過信するという誤りを犯した。主に人間の限界がよく知られていなかったためだ。
  • 保守主義から学ぶべき教訓がある。「作られた理由がわかるまで塀を壊すべきではない」。古いことがすべて良いというわけではないが、現実世界は人間が認識しているより複雑なので、うまくやれていてもその理由が説明できないということは、ままあるのだ。
  • 人間の脳は、進化的に古い・素早い・並列・直感的・動物的・ワーキングメモリを必要としないシステム1と、進化的に新しい・遅い・直列・理性的・人間的・ワーキングメモリを食うシステム2を備える。
  • デネットは意識を伴った合理的な心を「進化が与えてくれた並列型のハードウェアに――非効率的に――実装された、直接型のバーチャルマシン(仮想機械)」と評している。人間にこのバーチャルマシンを生じせしめた適応は、おそらく言語だ。
  • 大雑把に言えば、正気を取り戻すには、システム1を抑制し、システム2を優勢にさせる環境を整えることだ。
  • 大衆のためになると考える選択を政府が押しつける(パターナリズム)のではなく、大衆がより自分のためになる理性的な選択をしやすくなるような環境を、政府が整える(リバタリアン・パターナリズム)のは、実現可能な余地が大きく問題の少ない方針に思える。
  • たとえば政治報道にせめて食品成分表示と同レベルのルールや義務を課すとか、一定限度以上に短く編集することを制限するとか、それらが難しいことはわかっているが、ちょっとしたことでも効果はあるはずだ。
  • ちょうど健康を脅かすファストフード社会に対してスローフードが提唱されたように、理性を脅かす性急な環境に対しては、スロー・ポリティクスが必要だ。

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2015 9/21

『ダンジョン飯 2巻』★★★★

 九井諒子著。さすがに1巻ほどの衝撃はなくなったが、まだまだ面白い。

『東方鈴奈庵 ~ Forbidden Scrollery. (4)』★★★

 春河もえ著、ZUN原作。こちらもまだまだ面白い。易者www

『なぜ人類のIQは上がり続けているのか? ――人種、性別、老化と知能指数』★

 ジェームズ・R・フリン著。フリン効果の人。元々興味のある人にしかおすすめしない。

『日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ』★★★

 飯尾潤著。勉強になった。

『新釈 うああ哲学事典』★★★★

 須賀原洋行著。MechaAG経由。結構面白い。

『恐竜学入門―かたち・生態・絶滅』★★

 David E. Fastovsky著、David B. Weishampel著。教科書。面白い。

『6度目の大絶滅』★★★

 エリザベス・コルバート著。タイトルの印象より環境破壊の話題に偏ってなくてなかなか良い。

『Who!超幻想SF傑作集』★★

 佐々木淳子著。これもMechaAG経由。

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2015 8/26

『人はなぜ感じるのか?』★★★

 ビクター・S・ジョンストン著。めちゃくちゃ要約すると「情動は動機や学習のための評価関数である」という話。なんか今だと当たり前のようにも思えるが、面白い。

『やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~』★

 ハイディ・グラント・ハルバーソン著。やる気本。悪くはないが、やや散漫。

『思考の技法 -直観ポンプと77の思考術-』★★★★★

 ダニエル・C・デネット著。これはいい。思考法本としてもデネット入門としても最高。

『最速の仕事術はプログラマーが知っている』★

 清水亮著。いいけどすすめる対象に迷う感じ。プログラマーなら大体既知そうだし、プログラマー以外には若干読みにくそう。

『プログラミングバカ一代』★

 清水亮著、後藤大喜著。自伝。shi3zさんに興味ある人だけ。

『ヘルシープログラマ ―プログラミングを楽しく続けるための健康Hack』★

 Joe Kutner著。プログラミングが原因ではないけど、最近運動不足だし、腱鞘炎を再発させないように読んでみた。座業の人は読んでおいて損はないと思う。

『なぜエラーが医療事故を減らすのか』★

 ローラン・ドゴース著。よくわからない邦題だが、原題は『エラー礼賛』らしい。ヒューマンエラーは原因ではなく結果であり、責任追及を恐れず原因究明できるようにすべき、という内容。当たり前のような気もするが、実現していくのは大変だろうな。

『僕だけがいない街』★★★★

 三部けい著。6巻まで読んだ。真犯人はやっぱりバレバレだったけど、それがわかっても消化試合(?)的にさせないのがさすが。後はどう終わるかか。

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2013 11/5

ソウルダスト――〈意識〉という魅惑の幻想

 この本自体はいまいちだったのでおすすめ書評まとめにも取り上げなかったけど、読んでた時に思い出した話。

 哲学的ゾンビというものは、単によく考えていないから可能な気がするだけの幻想だという意見に、私は賛成する。

 この概念は、ITの用語でたとえるなら、

  • エクセルのソースコードを入力するとエクセルの実行ファイルを出力するが、コンパイルはしていないソフトウェア

 というのとよく似ている。

 この概念の巧妙なところは、一見可能そうに見えるということだ。

 そして、さらに巧妙なところは、実際にも可能だ(!)ということだ。このようなソフトウェアは実際に作れる。どうすればよいかわかるかな?

 ……そう、何を入力しようが(しまいが)単にエクセルの実行ファイルを吐き出すソフトウェアを作ればよいのだ! これは確かに問題の条件を完全に満たす。だが同時に、完全なインチキだ。

  • エクセルのソースコードを入力するとエクセルの実行ファイルを出力するが、コンパイルはしていないソフトウェア

 は作れるし、Windowsのソースコードを入力するとWindowsの実行ファイルを出力するが、コンパイルはしていないソフトウェアも作れる。Chrome(以下略)も作れるし、Mac OS(略)も作れるし、etc. etc.

 どこまでも続けていくと、どんな入力に対しても期待通りコンパイラのように反応するが、コンパイルはしていない「コンパイルしないコンパイラ」が一見可能であるかのように見えてくる。だがもちろん、完全な錯覚だ。

 この思考実験は実際には、「コンパイルしないコンパイラ」などというものは、コンパイルという複雑な過程についてよく考えていないから可能に思えるだけの幻想でしかないことを示している。

 コンパイラあるいは一般にコンピュータに関してならば、これが詭弁であることはすぐわかるのに、脳に関して同じことができないとすれば、それは単に脳に関する知識が未だ不完全で、細部までよく考えていないからだ。

 ダニエル・デネットが「聴衆の懐疑に応じてトリックを変える奇術師」というたとえを用いて言おうとしているのはこういうことだ。(と私は理解している。)

参考リンク

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2012 9/26

Inside Jokes: Using Humor to Reverse-Engineer the Mind

 人間はチェスで負けようが将棋で負けようがクイズで負けようが、一向にコンピュータが知性を持っているとは認めようとはしない。

 しろと言っているわけではない。むしろ、そうしないことは単なる意地やポジショントークではなく、何らかの本質的な意味が含まれていると思われる。だが、それは何だろう。

 まったく新しいジョークを言い、かつ聞いて笑うコンピュータができたら、ほとんどの人間は、さすがに知性を持っていると認めないわけにはいかないだろう。

 ヒューリスティックは知性の本質と見なされている。笑いもまたしかり。このふたつに密接な関係があるという説は、個人的にはかなり正しさを予感させるものだ。

おまけ

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2012 3/14

喪失と獲得―進化心理学から見た心と体

 いつかまとめてそれなりの長さで書こうと思っていた話だが、この本にまったく同じ表現が出てきたので、もう出してしまおう。

「重心」は実在するか?

 ある意味では、もちろん重心は実在しない。

 たとえばサッカーボールの重心には何もない。空気しかない。ボールの重心はまだしも内部の点だが、ドーナツの重心は内部の点ですらない。

 しかしまた、ある意味では、もちろん重心は実在する。実在するとの前提の元で行われる大抵の活動は概ね正しい答えに到達する。

 私の重心は、私の体重とか、私の銀行口座とか、日常的に「実在する」とされているあらゆるものとまったく同じように、実在する。

 しかし、細かく見ていくと重心が存在するという直感にはうまく当てはまらないケースが出てくる。たとえば、オリンピックの走り高跳びで見事な背面跳びを成功させた選手がいたとする。この時、選手の重心はバーを越えていない。

「魂」は実在するか?

 ある意味では、もちろん魂は実在しない。脳を分解してよく探せば見つかると本気で信じている人は今日時点ではあまりいないはずだ。

 しかしまた、ある意味では、もちろん魂は実在する。実在するとの前提の元で行われる大抵の活動は概ね正しい答えに到達する。

 私の魂は、私の体重とか、私の銀行口座とか、日常的に「実在する」とされているあらゆるものとまったく同じように、実在する。

 しかし、細かく見ていくと魂が存在するという直感にはうまく当てはまらないケースが出てくる。たとえば、念入りな心理学実験や脳に損傷を負ったりするような場合には。

おまけ

 仕様変更にめげずイカ教祖復活。

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2011 6/24

なぜ科学を語ってすれ違うのか――ソーカル事件を超えて

 東大生協で見かけて、あまり期待せずに読書リストに突っ込んでおいたものだったが、予想外に素晴らしかった。

 ソーカル事件に関するものの中では、『知の欺瞞』そのものは別として、私の知る限り一番いい本だと思う。

 いま何やかやで時間をかけられないので、内容そのものには詳しく触れられないが、このあたりの問題に興味のある人には、強くオススメしておく。

参考リンク

関連書籍

おまけ

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