最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。
★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。
『シー・シェパードの正体』★
佐々木正明著。興味ある人は押さえておいてほしいけど、日本では、シーシェパードをそのまま信じている人なんてあまりいないので、それほど積極的な価値はないかも。
『100年予測―世界最強のインテリジェンス企業が示す未来覇権地図』★
ジョージ・フリードマン著。トンデモ本としての評価。途中まで真面目に予測しているのだが、途中からいきなりSF仮想戦記モノに。ギャップが笑える。
『経済倫理=あなたは、なに主義?』★
橋本努著。この本の分類だと私は「平等主義」になるようだ。
『背信の科学者たち―論文捏造、データ改ざんはなぜ繰り返されるのか』★★★★★
ウィリアム・ブロード著、ニコラス・ウェイド著。すごくいい。古今東西の主要な科学の偽造・捏造・改竄、その他の問題が押さえられる感じ。ブルーバックスでこれはとてもお得。コストパフォーマンス高すぎ。
『「環境主義」は本当に正しいか?チェコ大統領が温暖化論争に警告する』★
ヴァーツラフ・クラウス著。現職チェコ大統領が書いている、という以上のものは特に。内容的はロンボルグの本の方がまとも。そちらを読んでいれば十分と思う。
『宗教からよむ「アメリカ」』★★★
森孝一著。これは今まで興味なかった人が、このキーワードで押さえておくのにちょうどいい感じ。
『絶対貧困』★★★★
石井光太著。「世界リアル貧困学講義」スラム編・路上生活者編・売春編。かなり面白い。同著者の他の本も当たってみよう。
『無限のパラドックス―パズルで学ぶカントールとゲーデル』★★★
レイモンド・スマリヤン著。何かの加減で思い出した。無限とかパラドックスとかいう単語に反応する人おすすめしたい。
おまけ
経済倫理と聞いて。桃鉄も昔と随分変わってるなあ。
by 木戸孝紀
tags:科学 経済 書評 数学
という言葉を考えたのだが、何一つ反応なくて寂しい。
最小限の音韻的変更で、意味がほぼ正反対の方向に通る、我ながらなかなかよい言葉遊びだと思うのだが。
特に、ビジネス系・経済系のブログタイトルなどにぴったりだと思うのだけど、自分では使わないし、誰かいりませんか。
おまけ
言葉遊びつながり。
by 木戸孝紀
tags:twitter ことば ネタ 経済 日記
最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。
★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。
『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』★★★
オリヴァー・サックス著。『動物感覚』でこれだけ読み落としていたことに気づいた。『レナードの朝』は好きで、『妻を帽子とまちがえた男』も読んだことがあったのに、不覚。かなり面白い。
『官能小説用語表現辞典』★
永田守弘著。例文までちゃんと出てきて面白い。これ見て、昔官能小説自動生成ソフト七度文庫というものがあったのを思いだしたが、あれってどのくらい使い物になるのだろうか。
『貧困の終焉―2025年までに世界を変える』★★★★
ジェフリー・サックス著。『地球全体を幸福にする経済学』繋がりで読んだ。具体的なエピソードが多いので、読み物としての面白さはこちらの方が上かも。
『WORLD WAR Z』★★★
マックス・ブルックス著。中・短編エピソードを集めて語られるゾンビ世界大戦。ゾンビものが特別に好きなわけではない自分でも一気に読み通せたので、かなり面白い方だと思う。このジャンルが好きな人にはオススメ。
『科学と神秘のあいだ』★
菊池誠著。「ニセ科学」関連で有名な菊池教授。音楽に関する話題が多かったりして、少しイメージが変わった。
『数字オンチの諸君!』★★★★★
ジョン・アレン・パウロス著。リンクぐらい張っておいたことはあったかもしれないが、直接プッシュしたおぼえはなかったのでここで。数学リテラシー本では、まず最初におすすめする一冊。
『地球(テラ)へ…』★★★
竹宮惠子著。『新世界より』を読んだとき元ネタのひとつじゃないかと思った。不適なガキは始末して記憶も抹消とか。エスパーが抑圧側か被抑圧側かで逆だけど。
『アレックス・スタディ―オウムは人間の言葉を理解するか』★
これも『動物感覚』つながりで読む。鳥類の知能をハトとか基準に甘く見たらいかんぜよって感じ。
おまけ
音楽+ニセ科学つながり。これはひどい(笑)。
by 木戸孝紀
tags:コミック 科学 経済 書評 小説
引っ越してすぐの頃、家賃の払い込みをする時に、このようなことを考えた。
「オーナーは契約書に名前が載ってるだけでこの家賃を受け取ってるわけだ。これは払う側ではなくもらう側にならなくてはいかんのではないか?」
そこでマンション・アパート経営について一通り調べて、実際にそういう不動産屋にも足を運んで話を聞いてみたりした。すると、よくあることだが、調べるほどそんなにうまい話はないことが明らかになっていく。
取得時のコストがどうの、修繕積立金がどうの、固定資産税のなんの、といろいろと考えなければならないことが出てきて、それらをExcelでシミュレーションに加えていかないといけなくなる。
すると、額面利回りで11%とか12%とか、ぱっと見かなりいい条件であっても、結局株や債権などの流動資産で年3%程度の運用をした場合と同じぐらいの額にしかならないのである。それも、空室や火事・地震等のリスクがまったくないと仮定してもである。
20年間ぐらいの間に1000万以上のプラスになることがかなり確実そうな物件が、途中で一件だけあったのだが「これどうなの?」と尋ねた時には「もう契約決まってしまいました」と言われてしまった。
まあ、そうだろう。私のような初心者が見ても明らかに良さそうな話なら、誰が見てもいいに決まってる。生き馬の目を抜くような……と言ったら大げさだろうが、そういうものなのだろう。
こういう分野があるという勉強にはなったけど、よほど運良くいい話に巡り会わない限り、実際に手を出すことはなさそうだ。
おまけ
by 木戸孝紀
tags:経済 投資 日記 不動産
最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。
★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。
『「標準模型」の宇宙 現代物理の金字塔を楽しむ』★
ブルース・シューム著。ゲージ理論とか真面目に解説している一般書って貴重なのではないかと。エミー・ネーターは確かに知っとくと通っぽい感じの名前なので憶えておくといいかも。
『地球全体を幸福にする経済学―過密化する世界とグローバル・ゴール』★★★★
ジェフリー・サックス著。原題”Common Wealth: Economics for a Crowded Planet”。まあ常識的に非常にいい内容。
『完全なる証明』★
マーシャ・ガッセン著。ポアンカレ予想よりもグリゴリー・ペレルマンに焦点を当てた本。特にソ連の数学事情の部分はあまり知らなかったので面白かった。
『進化とゲーム理論―闘争の論理』★★
J・メイナード・スミス著。古い本だけど古びてはいない。『囚人のジレンマ』を読んでもうちょっと詳しく勉強したいという人向け。
『合理的な愚か者―経済学=倫理学的探究』★
アマルティア・セン著。やっとどういう分野の人なのかわかった。やや専門的なので初めての人にはおすすめしない。近い分野で入りやすいのは『選挙のパラドクス』あたりか。
『量子が変える情報の宇宙』★★★★★
ハンス・クリスチャン・フォン=バイヤー著。これはよい。一般向け啓蒙書としてここまで完成度の高いのは久しぶりに見る。一応情報理論が中心ではあるが、実際に扱う範囲は科学・数学のかなり幅広い分野に及ぶ。敷居も低めなのでどんな人にもおすすめ。
『彼女の「正しい」名前とは何か―第三世界フェミニズムの思想』★★★
岡真理著。女性器切除の件でリンクだけ載せた覚えがあるが、他の文脈で出てくる予定があるのでちょっと先回りしてここで一回おすすめしとく。特にいいと思っているのが、P200-215の「蟹の虚ろなまなざし」についての部分。
『新装版 日本語の作文技術』★★
本多勝一著。確かに、こういう作文「技術」を学校でやった記憶はまったくない。やった方がいいんじゃないだろうか。中高生ぐらいの時に読みたかった。
『心の発生と進化―チンパンジー、赤ちゃん、ヒト』★★
アン・プレマック、デイヴィッド・プレマック著。タイトルの通りの内容。冒頭などにある人類学の情報が若干古くなりかけているような気がするが、メインの内容はよい。
『自由は進化する』★★★
ダニエル・デネット著。『スウィート・ドリームズ』の件で読んでいたのを思い出した。非常に微妙な内容で全面賛成とも言えないのでまだ言及していないのだが、一読の価値は確実にあるので先に紹介だけしておく。巻末にある山形浩生の訳者解説から読み始めることを強く勧める。
おまけ
by 木戸孝紀
tags:宇宙 経済 書評 進化 数学 哲学 文章
山形浩生のエッセイ集。話題自体はやや古くなりかけているが、内容は別に古びてはいない。
今回「おっ?」と思ったのはここ。
さて、たぶん実際の世の中の制度設計というのも、このゲームの「おもしろさ」を考えるのと同じことだろう。ゲームも、まったくの自由放任では成立しない。なんらかの制度(つまりルール)があって初めて成立する。でもがちがちに規制しまくっては、ゲームが硬直する。(中略)万人による、さまざまなゲームの総和を考えたとき、最大限の「おもしろさ」を保証する制度ってどう考えればいいんだろうか。
(P286-287 制度設計と「おもしろさ」)
上記エントリで私が、ゲームデザイナーの才能に一番近いのはあえて言えば立法者の才能ではないか? などと言っているのは、これと同じ話だ。
しばしば訳書を好意的に取り上げてきたが、やはりこの人とは思考回路が近いらしい。他の著書も当たってみよう。
ちなみに『山形道場』という本の文庫化らしいので、そちらを既読の人はかぶらないように注意。
参考リンク
おまけ
これが十分コンテンツになるんだから今ゲームって難しいわな。
by 木戸孝紀
tags:IT ゲームデザイン 経済 山形浩生 社会 書評
『ヤバい経済学』の一部の元ネタになったギャング研究の回顧録みたいなもの。『ヤバい経済学』とは全然趣が違うので同じようなものを期待するべきではない。
内容そのものも興味深く、いろんな読み方ができる作品だが、すでに方々で書かれているので他に譲る。
私が惹かれるのは、shorebirdさんが言及している
どこかで終わってしまうことがわかっている物語が醸し出す不思議な雰囲気
(書評 「ヤバい社会学」 – shorebird 進化心理学中心の書評など)
の部分。
「時が来れば君は自分の世界に戻らなくちゃいけないんだろう? それなのになぜ戦うんだ?」
「さあ……なんでだろうな……」
みたいなシチュエーションは異世界ファンタジーものでたまにあるが、まさにその通りの雰囲気なのである。
いくつか通りを隔てただけの同じ街の人間の話を異世界ファンタジーのようにしまう、貧富の壁というものの圧倒的存在感。読んでいて楽しい本ではないが、これを感じるためだけでも一読の価値はあると思われる。
参考リンク
関連図書
おまけ
どこかで終わってしまうことがわかっている物語が醸し出す不思議な雰囲気つながり。
by 木戸孝紀
tags:経済 社会 書評 貧困
で知って、面白そうだと思って借りてきた。なかなか面白かった。以下は私の超要約。
- 1800年ぐらいまでの地球の標準的な人類は、1人あたりで見ると、狩猟採集生活をしていた新石器時代と比べて、有意に豊かになっていたとは言えない。ずっと生存スレスレだった。
- その理由は、技術の緩やかな進歩などによる資源増加は人口の増加で、気候変動や疫病による不作などによる資源減少は人口の減少で、すぐに調整されるからだ。
- 中国や日本ではなくイギリスで産業革命が起きた理由は、識字・勤勉性などの文化的・遺伝的素質を持った中産階級が多産であり、その子孫が人口再生産に成功しなかった貧困層に取って代わって、長い間に全体にそれを広めたからだ。
- 現代の豊かな国と貧しい国を分ける最も決定的な要因は1人あたりの労働者の質であり、単純にカネを注ぎ込むような援助は無意味である。
1, 2までは概ね当たり前の話と言っていいのではないかと思う。
問題になりそうなのは3以降だが、3はどうだろう。
たとえば何らかの歴史のifで、日本が戦国時代にキリスト教化していたとする。教義的に武家も、家格を維持しようとした現実の歴史よりも多産であったとする。その次男三男が、商人や農民になったり、その家を養子で継ぐような傾向が大きく、江戸時代の間中ずっと続いていたとする。
もちろん石炭資源の問題などもあるから、だからといってイギリスより先に日本で産業革命が起きたとも思えないが、そうなりうるような傾向は確かに強まったのではないかと思われる。
そういうわけで、3もほぼ同意できる。
ただ、かなりあからさまに社会生物学的なこの観点は、社会生物学に対する無条件の拒否反応が緩和されつつある今日時点でも、一部の人たちにとって衝撃的なものと受け取られるだろうと思う。
それが産業革命の歴史のifだけならともかく、原題は『援助よさらば――簡潔な世界経済の歴史』であって、4の主張に繋がっていることを考えればなおさらだ。
現在の援助のあり方に問題があり、かなりの部分がほとんど無駄であろうという意見には、概ね同意する。経済学者はもっといい援助のやり方を提案できるだろうし、現にされている。
貧しい国の1人当たりの労働者の質が低いという指摘も、もちろん事実であろう。労働力が安くて質が高かったら、援助するまでもなく、企業が争って進出して発展するだろう。
だがしかし、その提案より先に指摘が来ている場合、どんなに本人に他意はなくても、善意の人の誤解・悪意の人の悪用は避けられないように思われる。1,2,3の部分と4の部分を分けて、それぞれ別の本にすれば良かったのではないかと思った。
関連リンク
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おまけ
マルサスつながり。
by 木戸孝紀
tags:経済 書評 進化 歴史