最近読んだ本の中で連続して目にしたため、有名な本らしいから読まなければと思っていた。ちなみにその一つは『ヤバい経済学』の増補改訂版だったような気がするがまた記憶違いかもしれない。
まずヨブ記そのものについて多少の知識が必要なので、まったく知らない人は、その概要と意味合いについて昔読んだ下のエントリを参考にしてほしい。
邦題はひどい。原題は“When Bad Things Happen To Good People”(『良い人に悪いことが起きるとき』)で、全くニュアンスが伝わっていない。
テーマは『破綻した神キリスト』と同じで、結論も似たものである。要は、世界の現実を、こじつけっぽい無理な解釈をせずありのままに受け取るなら、
- 神は全能である
- 神は正義である
- ヨブは善人である
の三つ全ては同時に成立しえないということだ。
3を否定することは、ヨブあるいは一般に不幸に遭った人々を神の名を借りて責めることになり、これは受け入れがたい。残り二つのうち、2を否定するよりは1を否定する方がまだしもマシな気がするので、1を否定する。
全能の神を信じなくなったことをバート・D. アーマンの方は棄教と表現しているが、H.S.クシュナーはそうはせず、善の神を信じることの方を強調している。私には、両者の違いはその程度に思える。
冷めた見方では、やはり豊かで平和な現代先進国の暮らしでは苦難をよしとするような信仰は流行らない(参考)、というだけのことなのだろうか。
おまけ
シャーデンフロイデについて言及があった(マジ)ので。
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