科学技術哲学

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複雑系・カオス・フラクタル関係のおすすめ本まとめ

「複雑系関係でいい本知りませんか?」というリクエストが(リアルで)あったので備忘がてらまとめてみました。  基本は圧倒的にこれがおすすめ。なんと言ってもローレンツ本人の手によるだけあって非常にわかりやすい。図表が豊富なのも良い。  下のは4冊は応用編。生物・物理・宇宙論・数学等との関連。どれも甲乙付けがたいぐらい最高に面白いですぞ。 6/1 追記  もうちょっとあっさり読みたいという人は複雑系ブー...
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アンドリュー・パーカー『眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く』

これも読もう読もうと思って後回しになっていた。いわゆるカンブリア大爆発についての本。  カンブリア大爆発についてはとにかく『ワンダフル・ライフ』が有名だが、この本でのグールドは、人間の進化が偶然の結果であるという意見――それは正しいと思うが――を強調するあまり、バージェス動物の異質性・多様性を過大に強調してしまった面があり、カンブリア大爆発などと言うのはただの誇張で実際は何も特別なことなど起きては...
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豚肉とコーラと倫理の究極の問題

医学都市伝説: 豚肉+コーラで寄生虫がゴロゴロ?  イスラム教で豚肉が禁じられているのは有名だが、世界には大なり小なり様々な食のタブーがある。  歴史上もっとも食のタブーが少ないと言っても過言ではない現代の日本ではこれらのタブーは非常に奇異に感じるであろう。事実、こうした話題になるとネットではよく「何の根拠もないのに『神の思し召しだから』とか言ってタブーを守るなんて狂っている」という類の主張が見ら...
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妄想の翼広げて 人生・MMORPG・麻薬・ライフハック

実験的エントリ。あえてまとめずに思いついたこと全部書くことにする。  宇宙はその時々の思想の先端にあるものに喩えられる。古代では人間に、ニュートンの時代には時計仕掛けに、少し前まではコンピューターに、現在ではカオスと自己組織化の原理に支配される量子の渦に。 人生は神ゲーだ  人生も様々なものに喩えられる。私のお薦めの本『頭にガツンと一撃』の中に、人生を何かに喩えた言葉ばかり集めた部分があった。  ...
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グレッグ・イーガン『宇宙消失』

量子力学を初めて知ったときには誰でも「この確率を自由に操作できたら俺無敵!」って思うものだ。  だが、よもやそのまんまのネタを一本のSF小説にしてしまって、しかもそれが結構面白いんだから恐れ入る。  SFとしても十分面白いし、裏ギャグ的な面白さもあるし文句ない。  これでたぶん今出ているグレッグ・イーガンの本は一通り読んだが、長編では『ディアスポラ』>>『宇宙消失』=『順列都市』>『万物理論』ぐら...
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ドーナツの行列ラーメンのカオス

会長が言及している、写真のクリスピー・クリームの行列。  私もたまたま先週ここを通る機会があった。行列整理の人員まで出動していてえらい騒ぎであった。見たところ何の変哲もないドーナツ屋にしか見えない。  こんなに流行っているからには理由があるはずだと思いたくなるが、実はみんなが並んでいるから並んでいる以上の理由などないのかもしれない。  顕著な例を目撃したことがある。北海道に旅行した時、札幌のラーメ...
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グレッグ・イーガン『しあわせの理由』『祈りの海』『ひとりっ子』

長編と平行してグレッグ・イーガンの短編集も読んでいたので、ここでまとめて感想。  結論から言うとこれ読んでちょっとでも興味をおぼえた人はとりあえず『祈りの海』は読もう。残り2冊をどうするかは読めば自動的に決まるはずだ。 『しあわせの理由』 適切な愛  保険の契約の関係で、事故で体を失った夫の脳を、新しいクローンボディが成長するまでの間自分の腹の中で生かしておかなければならない羽目になった妻の話。 ...
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グレッグ・イーガン『万物理論』

『順列都市』『ディアスポラ』に続きグレッグ・イーガン3冊目。  ところどころ急ぎすぎたり間延びしすぎたり、あるところでは無駄に細かすぎたり逆にあっさりしすぎてたりする印象。個人的お気に入り度は 『ディアスポラ』>>『順列都市』>『万物理論』  かな。でも書かれた順に良くなっているみたいだからそれでいいのか。  本筋の万物理論の他にも様々なSF要素が出てきて、ウィルスの人工合成の話も出てきたけど、今...