科学技術哲学

グレッグ・イーガン『順列都市』

『スターメイカー』の感想を書いたときに「今現在残されている神秘と最先端のSFは何だろう?」という問いかけをした。  あの時は単なる締めの言葉として深く考えずに適当に書いたのだが、自分で気になってきてしまったので調べたところ最先端のSFの候補の1つであるらしい。読んでみたら確かに面白い。一級品。  セルオートマトンに関する知識があった方がより楽しめそうなので、『ライフゲイムの宇宙』を先に読んでおくと...
ゲーム森羅万象

多くの蛇足が玉に瑕 『風来のシレンDS』

うーん、やはり神はそうそう降りて来ないから神なのでしょーね。期待を集めた『風来のシレンDS』。一部のローグライクフリークからは神の作りしゲームとまで呼ばれる『風来のシレン』(SFC)のリメイクです。  私も一応掛軸裏99Fを達成したこともあるシレンジャーの端くれなので一も二もなく買って遊びましたが、元がほぼ完璧なだけに追加された要素がことごとく蛇足に見えてしまいます。  2ちゃんねる等でまとめられ...
政治経済社会

一家に一冊! 面白くてためになる カール・シファキス『詐欺とペテンの大百科』

Life is beautiful: 悪徳マルチ商法の被害者をインタビューしてみた  「ネズミ講」の意味がわからない大学生がいるという話を聞いて是非オススメしておかなければと思ったのはこの本です。  滅多にない耐え難いほど面白い本でもう何回読んだかわかりません。まずどんな本であるかがうまくまとまっている訳者あとがきから引用します。  近年の急速な社会のハイテク化に、情報化に伴い、次々と新手の詐欺や...
政治経済社会

『ヤバい経済学』とセットで読め! ティム・ハーフォード『まっとうな経済学』

『ヤバい経済学』を買ったとき隣に並んでいた。邦題とカバーもわざわざ『ヤバい経済学』と似たようなイメージになっていた。  原題は"The Undercover Economist"で、本文中にたびたび出てくる「覆面経済学者」に相当する単語で、全然関係がない。「あからさまな便乗商法だな」と思いつつ前書きを読んだら予想外に十分独立して面白かったので一緒に買って帰った。  『ヤバい経済学』は、経済学者が経...
政治経済社会

冷徹な頭と温かい心 スティーヴン・レヴィット スティーヴン・ダブナー『ヤバい経済学─悪ガキ教授が世の裏側を探検する』

こちらを見て購入したが大正解。確かに最近読んだ本の中では別格の面白さ。  経済学の本というより「経済学者がその着眼点と手法でもって普段経済学が扱わない社会の事象を研究したらどうなるか?」を書いた本だ。 学校の先生も相撲の力士もそれをするインセンティブがあれば八百長をする。統計データから見抜くこともできる。 KKKも不動産屋もその力の源は情報にある。正しい情報が知れ渡ってしまえば力を失う。 麻薬を扱...
ゲーム森羅万象

やっぱりWii面白い! ……けどDSだけでいいような気もしてきた

結局Wiiをまだ買えていないのですが、上司が会社に持ってきてくれたので初めて触れることができました。『Wii Sports』と『はじめてのWii』をプレイしました。  確かにテニスなどが大変面白くてパーティーゲームとして、あるいは家族みんなでプレイするには最高だと思いました。その代わり1人でやってもあんまり楽しくないかも。  最近までドラクエ9がWiiで出るものと勘違いしていた*1のでWii購入も...
ゲーム森羅万象

風来のシレンDS テーブルマウンテン一発クリア成功!

シレンDSが来たのでまずはテーブルマウンテンぐらい1回でクリアしようぜということでスタート。  最初の方で皮甲の盾と重装の盾+2が出たので、交互に付け替えながら進んでいく。武器が棍棒しか出ない。天馬峠に入ってすぐ幸せの腕輪も拾ったので皮甲の盾装備で時間を稼いで簡単レベルアップ。竹林の村、山頂の村あたりは無難に進む。  ガイバラに入れ終わった変化の壺を割ってもらったら中身が出てこなかった。あれ? 前...
政治経済社会

賛成なのに妙に腹立つ テレーズ・デルペシュ『野蛮の世紀』

うーん、「知ってるがお前の態度が気に入らない」ってアスキーアートありましたよね? ちょうどそんな感想。  思い切り要約すればイスラム原理主義と中露の全体主義を警戒せよって主張であって、それにはまったく賛成なんだけど*1、言葉の端々がいちいち癇に障る。  タイトルからして『野蛮』ってなによ『野蛮』って! プロローグの冒頭はこう。 ルールをなくした歴史  わたしたちが引き継ぐことになる歴史は、二世紀あ...