政治

政治経済社会

浜野喬士『エコ・テロリズム 過激化する環境運動とアメリカの内なるテロ』

シー・シェパードがあそこまでやる理由〜『エコ・テロリズム』 浜野 喬士著(評:栗原 裕一郎):日経ビジネスオンライン 上の記事で見てようやくこの分野の入門書として本当におすすめできる読みやすい本が出たかなと思って早速借りてきたが正解。 全体で200ページとちょっとの新書だが、変な陰謀論やポジショントークに陥ることなく、歴史的・思想的背景を幅広く取り上げている。 また参考文献の表記が非常に充実してお...
政治経済社会

ポール・ポースト『戦争の経済学』

一つ前の『テロの経済学』にも通じる内容だがこちらも結構面白い。要点からさらに抜粋してメモしておく。第1章 戦争経済の理論マクロ経済学的な要点戦争は2種類の影響をもたらす:心理的影響と現実的影響。軍事支出によって総需要を増やすと、経済を不況ギャップから引っ張り出せるけれど、そうした支出はインフレの原因にもなる。ミクロ経済学的な要点生産要素(特に資本と労働)がどれだけ動員されるかは、戦争の経済的影響を...
政治経済社会

アラン・B・クルーガー『テロの経済学 人はなぜテロリストになるのか』

“自爆テロは路上犯罪より投票行動に似ている。” 原題は"What Makes a Terrorist"(『何がテロリストを生み出すのか』)だが、著者自ら「"What Doesn't Makes a Terrorist"(『何がテロリストを生み出さないのか』)にすべきだったのではないか」と書評されたことを興味深いと言っており、私もそちらの方が適切のように感じる。テロリストは十分教育を受けており、裕福...
科学技術哲学

小山重郎『よみがえれ黄金の島―ミカンコミバエ根絶の記録』

トラウマの話をしていたら別の思い出が甦ってきて、反射的に検索かけて注文してしまった。私の人生最初の、ものすごく面白かった記憶が残っている科学の本が、これなのである。今読み返しても素晴らしく面白い。 子供向けシリーズとはいうものの内容は高度で、虫の生態から、フェロモン様の誘引物質を使う方法、放射線で不妊化した雄を放す方法まで多岐にわたる。しかし、それを図表・グラフ・写真・地図などを豊富に使って平易な...
政治経済社会

ニセ科学批判はタマネギの皮を剥くように

たまたま具体例が続けて目に入ったので、いわゆるニセ科学批判批判に対する自分の立場。まずガザ地区に侵攻したイスラエルの白燐弾の話。 ミリタリー系に全然興味がなく兵器の知識も戦闘に関係する法律・条約の知識もゼロに近い私は、この件に関してもほとんど何も知らないのだが、一部に「ちょうかがくへいき」的なデマを吹聴している人間がいるのは、ぱっと見にも事実だろう。 私は、尊敬する海外の著述家が一人残らずユダヤ系...
科学技術哲学

アルフレッド・W.クロスビー『ヨーロッパ帝国主義の謎―エコロジーから見た10~20世紀』

アルフレッド・クロスビーつながり4冊目。それなりに面白かったが、『銃・病原菌・鉄』とほぼ完全に重複する内容であり、そちらの方が時代的にも後でより洗練されているので『銃・病原菌・鉄』を読んだことがある人は、差分の分しか面白くないかもしれない。訳者あとがきより。 本書の原題はEcological Imperialism: The Biological Expansion of Europe, 900-...
科学技術哲学

ウィリアム・パウンドストーン『選挙のパラドクス―なぜあの人が選ばれるのか?』

アローの不可能性定理社会選択理論投票の逆理戦略投票 のような内容に関する本。今のところ候補ごとに1〜10点などと評価をつけさせる範囲投票が一番ましに見えるという結論らしい。 当たり前だが具体例がアメリカの話ばかりなので、読んだ面白さはウィリアム・パウンドストーンの他の著作に比べると大分劣ってしまう。 これらの話題に関しては昔もっと簡単に面白みを伝える本を読んだ記憶があって、そちらを同時に紹介したい...
科学技術哲学

ビョルン・ロンボルグ『環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態』

昨日の映画と、『生物多様性という名の革命』の山形浩生で思い出した。 要するに「このままではもうすぐ人類は滅亡する!」みたいな恐怖を煽るお決まりの話には眉に唾つけて、環境対策はリスクとコストとベネフィットを総合的に判断してやろうぜ、という話。 核融合エネルギーの実用化可能性について楽観的すぎたりとか、つっこみたくなるところはいくつかあるが概ねまともと言ってよい内容。 ただし、これに便乗したかのように...