宗教

おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2009年11月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『クトゥルフ神話ガイドブック―20世紀の恐怖神話』★★  朱鷺田祐介著。クトゥルフ神話は今見ると非常に陳腐というか普通だけど、それはこれを...
科学技術哲学

エドワード・オズボーン・ウィルソン『知の挑戦―科学的知性と文化的知性の統合』

『社会生物学』で有名なエドワード・オズボーン・ウィルソンの本。  読んだのは大分前だが、下のシロアリの倫理のくだりをメモしたくてもう一度借りてきた。  人間が自明と思っている様々な倫理・道徳が、高い知能・複雑な社会から直接に出てくるわけではなく、進化や遺伝と不可分なのだということを言った、有名なたとえ話。 シロアリが現生種の社会レベルから文明を発展させたとしよう。たとえばオオキノコシロアリという、...
アニメコミック

なぜ日本のマンガ・アニメにはエセ神父ばっかり出てくるの?

という質問を受けたことがある。どんなシチュエーションで聞かれたかはよく憶えていない。(たしか『トライガン』の絶頂期だったので、おそらくニコラス・D・ウルフウッドを念頭に置いた質問と思われる。)  しかし、どう答えたかははっきり憶えている。私は「そりゃ本物の神父が出てきたらキモいからに決まってんだろ」と答えた。  その後、日本のマンガ・アニメにもわずかながら本物の神父は登場するようになった。代表的な...
映画・ザ・ムービー

直球SF宗教映画『ノウイング』 オススメ度 5/10

『ノウイング』オフィシャルサイト  一昔前の『ディープインパクト』と『アルマゲドン』みたいに、大人の事情で流行りモノの似たような映画が続けて公開されることはよくあることだが、『地球が静止する日』とまったく同じSF黙示録物語。  しかし、同じSF黙示録物語でも『地球が静止する日』のどうしようもない駄目っぷりとは雲泥の差がある。  これと対比してはっきりしたことがある。『地球が静止する日』が格別にムカ...
科学技術哲学

フランシス・コリンズ『ゲノムと聖書:科学者、〈神〉について考える』

『神と科学は共存できるか?』の頃からチェックリストには入っていたがやっと読んだ。感想は下の雨崎さんの感想にほぼ一字一句同意。  ほんとまじめなんですよ、この先生。自分の良心の落としどころを求めて、あれやこれや試行錯誤に調整を試みた末の、せいいっぱいの”有望な”神の延命計画を提案しているんですよ。インテリジェント・デザイン(ID)説に苦言を呈しーの、有神論的進化論を試しーの、バイオロゴスはどうかと打...
文化芸術宗教

H.S.クシュナー『なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記』

最近読んだ本の中で連続して目にしたため、有名な本らしいから読まなければと思っていた。ちなみにその一つは『ヤバい経済学』の増補改訂版だったような気がするがまた記憶違いかもしれない。  まずヨブ記そのものについて多少の知識が必要なので、まったく知らない人は、その概要と意味合いについて昔読んだ下のエントリを参考にしてほしい。 ヨブ記タグについて - nerdists’ beach (旧・東瀛倭族拝天朝)...
科学技術哲学

リー・M. シルヴァー『人類最後のタブー―バイオテクノロジーが直面する生命倫理とは』

宗教右派と自然崇拝の左派、双方からのバイオテクノロジーに対する反発に対する、分子生物学者の立場からの批判。この手の話に慣れている人にとっては改めてすごい話は出ないと思うが、その分網羅性が高く、どんな人にも非常におすすめである。  原題は"Challenging Natrue - The Clash of Science and Spirituality at the New Frontiers o...
文化芸術宗教

バート・D. アーマン『破綻した神キリスト』

『捏造された聖書』の著者の本。こちらはそこまで面白くはなかった。極東ブログの書評が非常に詳しく、私もほぼ同意できるのであまり書く事がない。  ヨブ記がどんな話かとか黙示思想がどんなものかとかをあまり知らない人の方がむしろ新鮮で面白いかもしれない。黙示思想は今でもこんな形で現れたりするものだし、知っておいて損はないと思う。  ただ、これに関連して『多様化世界』の記事で予告していたフリーマン・ダイソン...