心理

科学技術哲学

大義名分とは集団的自己欺瞞の助けとなるもの

自己欺瞞ブームのひとつの産物として、長年スッキリしなかった「大義名分」の定義ができるようになったと思う。 何かを主張する際(特に集団的)自己欺瞞の助けとなるもの  大義名分という概念は日常的には難しいものではない。見ればそれとわかるし、使おうと思ったら苦もなく使える――うまくいくかどうかはともかく――だろうと思う。  しかし、定義が難しかった。これまでで一番ましと思われる定義は、 自分が有利になる...
科学技術哲学

「自己欺瞞」がマイブーム

ここ数年、主としてshorebird先生のブログの影響で、自己欺瞞という概念がマイブームである。  数多くのことわざ、箴言、人生訓はもちろん、宗教の教えや投資格言といったものさえも、大半とまでは言わずとも、かなりの部分が、 「自己欺瞞を避けること」  の一言に集約できることに気付かされる。 参考リンク 書評 「うそつきの進化論」 - shorebird 進化心理学中心の書評など 書評 「The F...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2013年8月版

『相場で負けたときに読む本 実践編』★  山口祐介著。投資に関する心理面のアドバイス集。まあまともだが、この本「だけ」では大損する人の損を減らす効果はあっても利益が出るようにはならない気がする。 『生命保険のカラクリ』★★  岩瀬大輔著。ライフネット生命の話としても面白いし、なにも考えずに生命保険に入っている人には見直しの機会になるかも。 『働かないって、ワクワクしない?』★  アニー・J・ゼリン...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2013年6月版

『ヤル気の科学 行動経済学が教える成功の秘訣』★★  イアン・エアーズ著。ちょっとサイトの宣伝ぽいが、なかなか面白い。 参考リンク stickK ? Change Starts Now 『コーディングを支える技術 ~成り立ちから学ぶプログラミング作法』★  西尾泰和著。やや初心者向けだが、よい。 『ビル・ゲイツ未来を語る』★★★  ビル・ゲイツ著。1995年、Windows95発売直後ぐらいに出さ...
文化芸術宗教

ヨブ記の肝は『公正世界信念』の否定

『公正世界信念』のTweetについて、社会心理学者からの疑問 - Togetter ヨブ記タグについて - 東瀛倭族拝天朝  1を見て2を思い出し、見に行ったが、消えてしまっている。リンクはInternet Archiveに張っておく。  伝統宗教というのは一見古臭くて不合理に見える。見えるというか、もちろんある意味ではその通りである。  しかし、もっと古くから存在する――進化心理学的な意味で――...
それにつけても金のほしさよ

×「思考は現実化する」○「考えもしないことは実現しない」

こういう本は経済関係の勉強をしていると嫌でも眼に入ってくるので少し読んだが、正直あまりにもオカルト過ぎて引く。  適度にオカルト的に生きている方が、実際に経済的成功に結びつく可能性は否定せんが。  「思考は現実化する」ではなく「考えもしないことは実現しない」ぐらいに言い換えれば、現実的な正しい教訓になりうるかもしれない。  地震や台風は自然現象だから、誰も考えなくても起きる時は起きる。交通事故は自...
政治経済社会

ダン・アリエリー『不合理だからすべてがうまくいく―行動経済学で「人を動かす」』

以前『予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」』を紹介した、ダン・アリエリーの本。  行動経済学の部分はすでに一度は読んだことがほとんどなのだけど、作者の人格――全身大やけどという経験にも深く影響されている――に好感が持てる。  最高級に面白いし、生活の上でも心がければ役に立ちそうなことが多い。  たとえば、順応を考慮すると、楽しいことは切れ切れに、苦しいことは一気にやった...
科学技術哲学

ダンバー数人委員会

陰謀論(ウォッチ)業界でよく見る(?)悪の秘密結社の名前に三百人委員会というものがある。  30人委員会や3000人委員会でなく、3万人委員会でも3億人委員会でもなく、あくまで300人委員会であり、300という数がロビン・ダンバーいうところのダンバー数の上限あたりにほぼ一致するのは興味深い。  利害でまとまったひとつのグループとして、人間が自然に想像できる限界の数がちょうどそれぐらいであるというこ...