政治

政治経済社会

アラン・B・クルーガー『テロの経済学 人はなぜテロリストになるのか』

“自爆テロは路上犯罪より投票行動に似ている。” 原題は"What Makes a Terrorist"(『何がテロリストを生み出すのか』)だが、著者自ら「"What Doesn't Makes a Terrorist"(『何がテロリストを生み出さないのか』)にすべきだったのではないか」と書評されたことを興味深いと言っており、私もそちらの方が適切のように感じる。テロリストは十分教育を受けており、裕福...
科学技術哲学

小山重郎『よみがえれ黄金の島―ミカンコミバエ根絶の記録』

トラウマの話をしていたら別の思い出が甦ってきて、反射的に検索かけて注文してしまった。私の人生最初の、ものすごく面白かった記憶が残っている科学の本が、これなのである。今読み返しても素晴らしく面白い。 子供向けシリーズとはいうものの内容は高度で、虫の生態から、フェロモン様の誘引物質を使う方法、放射線で不妊化した雄を放す方法まで多岐にわたる。しかし、それを図表・グラフ・写真・地図などを豊富に使って平易な...
政治経済社会

ニセ科学批判はタマネギの皮を剥くように

たまたま具体例が続けて目に入ったので、いわゆるニセ科学批判批判に対する自分の立場。まずガザ地区に侵攻したイスラエルの白燐弾の話。 ミリタリー系に全然興味がなく兵器の知識も戦闘に関係する法律・条約の知識もゼロに近い私は、この件に関してもほとんど何も知らないのだが、一部に「ちょうかがくへいき」的なデマを吹聴している人間がいるのは、ぱっと見にも事実だろう。 私は、尊敬する海外の著述家が一人残らずユダヤ系...
科学技術哲学

アルフレッド・W.クロスビー『ヨーロッパ帝国主義の謎―エコロジーから見た10~20世紀』

アルフレッド・クロスビーつながり4冊目。それなりに面白かったが、『銃・病原菌・鉄』とほぼ完全に重複する内容であり、そちらの方が時代的にも後でより洗練されているので『銃・病原菌・鉄』を読んだことがある人は、差分の分しか面白くないかもしれない。訳者あとがきより。 本書の原題はEcological Imperialism: The Biological Expansion of Europe, 900-...
科学技術哲学

ウィリアム・パウンドストーン『選挙のパラドクス―なぜあの人が選ばれるのか?』

アローの不可能性定理社会選択理論投票の逆理戦略投票 のような内容に関する本。今のところ候補ごとに1〜10点などと評価をつけさせる範囲投票が一番ましに見えるという結論らしい。 当たり前だが具体例がアメリカの話ばかりなので、読んだ面白さはウィリアム・パウンドストーンの他の著作に比べると大分劣ってしまう。 これらの話題に関しては昔もっと簡単に面白みを伝える本を読んだ記憶があって、そちらを同時に紹介したい...
科学技術哲学

ビョルン・ロンボルグ『環境危機をあおってはいけない 地球環境のホントの実態』

昨日の映画と、『生物多様性という名の革命』の山形浩生で思い出した。 要するに「このままではもうすぐ人類は滅亡する!」みたいな恐怖を煽るお決まりの話には眉に唾つけて、環境対策はリスクとコストとベネフィットを総合的に判断してやろうぜ、という話。 核融合エネルギーの実用化可能性について楽観的すぎたりとか、つっこみたくなるところはいくつかあるが概ねまともと言ってよい内容。 ただし、これに便乗したかのように...
映画・ザ・ムービー

『POSTAL/ポスタル・ザ・ムービー』が予想外に神でやばい件につきまして

ポスタルという一部で有名な残虐洋ゲーのシリーズがございます。初代は単なる虐殺作業ゲーでございますが、二作目の『ポスタル2』は強烈な社会風刺がゲーム性と見事に結合して、ひとつの巨大なブラックジョークの塊となった世界を満喫できる、不謹慎ゲー史上稀に見る大傑作なのでございます。 史上とは言いましても、私はそもそもグロですとかホラーですとかは幼少の頃から大の苦手でございまして、まともにプレイできた残虐ゲー...
科学技術哲学

デヴィッド・タカーチ『生物多様性という名の革命』

うむむ、もともとある下心を持って借りてきたのであって、良い本だと期待していたわけではないのだが、これではちょっとグダグダ過ぎて叩き台にも使えない。 amazonリンク先の山形浩生の書評にほぼ同意する。多様性擁護がこんなスピリチュアルしなくちゃできない議論だと思われたらかえって迷惑だ。参考リンク地球温暖化や生物多様性の発見から政治へ 『生物多様性という名の革命』 - leeswijzer: boek...