政治

ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ21 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』 2/4

【第20回】 【目次】 【第22回】第二章 ダーウィン以前のアメリカにおける人種多起源論と頭蓋計測学白人より劣等で別種の黒人とインディアン秩序は神の第一法則だ、それを明らかに語るならば、人間に大小・貧富・賢愚のあるのは当然であるアレキサンダー・ポープ『人間論』(一七三三年)(岩波文庫版より) 現存する社会の階層は正当なものであり、必然的なものであるとするために、理性に、あるいは宇宙の本質に訴えるこ...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ20 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』 1/4

【第19回】 【目次】 【第21回】 キリスト教を中核とする中世の安定した世界観は、科学の勃興によって大きく揺さぶられることになった。 とりわけ、人間が神によって特別に創造されたものではなく、猿から*1進化したことを意味する進化論は、倫理と社会を決定的に破壊するものとして激しい反発を受けた。 ローマ法王ですら進化論をただの仮説を超えていると認めざるをえない現代でも、まだアメリカのプロテスタントの一...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ19 人種差別と反捕鯨の関係は複雑で、一言で済むような簡単な答えはない

【第18回】 【目次】 【第20回】 次の脳内時間旅行の行き先は約150年前から約50年前までの約百年間、2番目の存在の大いなる連鎖の時代である。 象徴的な出来事としては、ちょうど『種の起源』の刊行から、第二次世界大戦の終わりぐらいまでの期間にあたり、その主要なテーマは人種差別である。 しかし、人種差別というとりわけセンシティブな話題を扱うに当たって、まずよくある誤解を解いておかなければならない。...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ18 捕鯨・反捕鯨問題の持つ意義と個人的思い入れ

【第17回】 【目次】 【第19回】 歴史を文化人類学的に捉える価値について一通り講釈したことによって、そろそろ私自身の本音の一端を漏らしても発狂したと思われずにすむ自信がついてきた。まあ見ればわかると思うが、私は捕鯨・反捕鯨問題が大好きなのである。愛していると言ってもよい。 どうだろう? 必ずしも私の頭がおかしくなったとは思わないだろう。本物の聖戦の戦士が現代の先進国にもバッチリ生き残っていると...
科学技術哲学

フリーマン・ダイソン『多様化世界―生命と技術と政治』

『ガイアの素顔』をきっかけにフリーマン・ダイソンを読み直していたのだが、何年かぶりに読み返したこの『多様化世界』はやはりすごい。 ソ連崩壊などで古くなった――もっとも初めて読んだときにもすでにソ連は崩壊してたが――部分はもちろんあるが、少々の古さなどものともさせないパワーがある。私の価値観形成にもかなり影響を与えている重要な本である。 今後何かの機会に引用したくなりそうな部分も結構あるし、何より入...
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ガイア教の天使クジラ8 現代日本人は不当に宗教を軽視しすぎている

【第7回】 【目次】 【第9回】日本の捕鯨海域に軍艦派遣も 「追跡し、証拠集める」 - MSN産経ニュース 近頃オーストラリア政府が捕鯨監視に軍隊を出すといって話題になっている。第5回で強調したように、これは単なる選挙対策であり、私はことさらにそれを非難することはしない。 だが、さすがにビックリするような話ではあり、日本のネット周りでの反発は「こいつら狂ってやがる」とかなんとか、それはそれは強烈で...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ7 反捕鯨問題は宗教問題である

【第6回】 【目次】 【第8回】プロローグ 地球は生きている。 地球は意志を持っている。 その昔、私たち人類は、この世に存在するすべてが神の創造物であることを認識していた。生あるもの、生なきもの、鉱物や植物、動物、そして木々のざわめきや木漏れ日の中にも、神の神聖なる力が宿り、魂が存在することを知っていた。それとともに人類も、母なる地球と深く深くつながっていたのである。 今、私たちは再び遠い記憶を呼...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ6 タロイモ作戦

【第5回】 【目次】 【第7回】 君にある任務を与えよう。 君は今から10人に満たない少人数のチームで地球の裏側、アマゾンの奥地タロイモ山の麓に住む狩猟採集民族ヤマイモ族の集落に侵入し、彼らが森に仕掛けた罠を破壊してかかっている獲物を逃がし、彼らのサツマイモ畑に立っている案山子*1に火をつけて帰ってくるのである。 これをタロイモ作戦と呼称する。さあどう思う? 私の予想が間違っていなければ「絶対イヤ...