政治

ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ23 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』 4/4

【第22回】 【目次】 【第24回】 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』の読み合わせも今回で最後である。女性の脳 「劣等」グループは生物学的決定論という一般理論では相互に代替性がある。劣等グループは連続的に並置されており、一つのグループは他のすべての代表として利用される――このための一般的前提としては、社会は自然の摂理に従い、社会階級は生得的価値を反映しているという考えがあげられ...
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ガイア教の天使クジラ22 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』 3/4

【第21回】 【目次】 【第23回】 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』を先に進める。ルイ・アガシ――アメリカの多起源論の理論家 私は二人の著名な多起源論者にしぼって話を進めようと思う。一人理論家のアガシであり、もう一人はデータ分析家のモートンである。まず手始めに、私は、かくされた動機および、その支えとなった中心的データのごまかしの双方を掘り起こしてみたい。いぜんとして奴隷を使い...
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ガイア教の天使クジラ21 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』 2/4

【第20回】 【目次】 【第22回】第二章 ダーウィン以前のアメリカにおける人種多起源論と頭蓋計測学白人より劣等で別種の黒人とインディアン秩序は神の第一法則だ、それを明らかに語るならば、人間に大小・貧富・賢愚のあるのは当然であるアレキサンダー・ポープ『人間論』(一七三三年)(岩波文庫版より) 現存する社会の階層は正当なものであり、必然的なものであるとするために、理性に、あるいは宇宙の本質に訴えるこ...
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ガイア教の天使クジラ20 スティーブン・ジェイ・グールド『人間の測りまちがい』 1/4

【第19回】 【目次】 【第21回】 キリスト教を中核とする中世の安定した世界観は、科学の勃興によって大きく揺さぶられることになった。 とりわけ、人間が神によって特別に創造されたものではなく、猿から*1進化したことを意味する進化論は、倫理と社会を決定的に破壊するものとして激しい反発を受けた。 ローマ法王ですら進化論をただの仮説を超えていると認めざるをえない現代でも、まだアメリカのプロテスタントの一...
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ガイア教の天使クジラ19 人種差別と反捕鯨の関係は複雑で、一言で済むような簡単な答えはない

【第18回】 【目次】 【第20回】 次の脳内時間旅行の行き先は約150年前から約50年前までの約百年間、2番目の存在の大いなる連鎖の時代である。 象徴的な出来事としては、ちょうど『種の起源』の刊行から、第二次世界大戦の終わりぐらいまでの期間にあたり、その主要なテーマは人種差別である。 しかし、人種差別というとりわけセンシティブな話題を扱うに当たって、まずよくある誤解を解いておかなければならない。...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ18 捕鯨・反捕鯨問題の持つ意義と個人的思い入れ

【第17回】 【目次】 【第19回】 歴史を文化人類学的に捉える価値について一通り講釈したことによって、そろそろ私自身の本音の一端を漏らしても発狂したと思われずにすむ自信がついてきた。まあ見ればわかると思うが、私は捕鯨・反捕鯨問題が大好きなのである。愛していると言ってもよい。 どうだろう? 必ずしも私の頭がおかしくなったとは思わないだろう。本物の聖戦の戦士が現代の先進国にもバッチリ生き残っていると...
科学技術哲学

フリーマン・ダイソン『多様化世界―生命と技術と政治』

『ガイアの素顔』をきっかけにフリーマン・ダイソンを読み直していたのだが、何年かぶりに読み返したこの『多様化世界』はやはりすごい。 ソ連崩壊などで古くなった――もっとも初めて読んだときにもすでにソ連は崩壊してたが――部分はもちろんあるが、少々の古さなどものともさせないパワーがある。私の価値観形成にもかなり影響を与えている重要な本である。 今後何かの機会に引用したくなりそうな部分も結構あるし、何より入...
ガイア教の天使クジラ

ガイア教の天使クジラ8 現代日本人は不当に宗教を軽視しすぎている

【第7回】 【目次】 【第9回】日本の捕鯨海域に軍艦派遣も 「追跡し、証拠集める」 - MSN産経ニュース 近頃オーストラリア政府が捕鯨監視に軍隊を出すといって話題になっている。第5回で強調したように、これは単なる選挙対策であり、私はことさらにそれを非難することはしない。 だが、さすがにビックリするような話ではあり、日本のネット周りでの反発は「こいつら狂ってやがる」とかなんとか、それはそれは強烈で...