書評

科学技術哲学

ニック・レーン『生命の跳躍――進化の10大発明』

ニック・レーン三冊目。これまでの本と重複する部分も多かったが、今回もとても面白い。 はじめに 進化の10大発明 1 生命の誕生――変転する地球から生まれた 2 DNA――生命の暗号(コード) 3 光合成――太陽に呼び起こされて 4 複雑な細胞――運命の出会い 5 有性生殖――地上最大の賭け 6 運動――力と栄光 7 視覚――盲目の国から 8 温血性――エネルギーの壁を打ち破る 9 意識――人間の心...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年12月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『マネーの進化史』★  ニーアル・ファーガソン著。金融史本。地味だが悪くない。 『IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実』★ ...
WEB情報通信

ダグラス・C・メリル ジェイムズ・A・マーティン『グーグル時代の情報整理術』

なぜこんな今時どこの日本の老人でも書きそうな地味な邦題にしたし!!  たとえば、たとえばだが、 『グーグル情報最高責任者が教える人生を整理しつくす技術』  とかいうタイトルにしとけば、軽く20倍ぐらい売れたんじゃないか? いや、元々いくら売れてるか知らんし、普段そういう売らんかなのタイトル嫌いだけど、あまりにももったいないぞ。  まあ私のような公私共にIT入り浸りの人間にとっては、さほど目新しい話...
政治経済社会

ポール・クルーグマン『良い経済学 悪い経済学』

企業同士における「競争力」という概念を国家同士に適用して、どちらかが勝てばどちらかが負けるかのようにとらえることには問題が多い、という話がメイン。  初版が1997年らしく、確かにやや昔の話が多いと思ったが、割と良い本だと思われる。  本題ではないが、印象に残ったところを一箇所だけ引用。  そこで、こう考えることもできる。将来、税理関係の弁護士の多くが、エキスパート・システム・ソフトに取って代わら...
政治経済社会

ウィリアム・バーンスタイン『「豊かさ」の誕生―成長と発展の文明史』

現実の歴史で1820年ごろ以降に初めて見られたような、継続的かつ急速な経済成長には、 私有財産制 科学的合理主義 資本市場 輸送・通信手段  の4条件が全て揃う必要があるという話。同著者の『華麗なる交易』と合わせ、 マット・リドレー『繁栄』 グレゴリー・クラーク『10万年の世界経済史 』  が面白いと思った人が、次に読むのに最適。 参考リンク 今週の本棚:中村達也・評 『「豊かさ」の誕生…』=W・...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年11月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『完全な人間を目指さなくてもよい理由-遺伝子操作とエンハンスメントの倫理-』★  まあ言いたいことはわかるし総論賛成なんだけど、どうもこの...
政治経済社会

山森亮『ベーシック・インカム入門』

ベーシック・インカムの話は最近よく聞くが、ほとんど聞き流していた。本としてはこれが最初。私の第1感は「理念は素晴らしいかもしれんがなんかおかしい」というものだ。  「働かざる者食うべからず」という考え方を批判*1する時は、働かずに食っている金持ちの家に生まれた人間のことにちゃんと言及しているのに、働くことへのインセンティブを削ぐのではないかという疑問*2には、  ベーシック・インカムに対する答えら...
日常の一コマ

松澤喜好『英語耳 発音ができるとリスニングができる』

『英語上達完全マップ』にはなかった内容で、かつやっておいた方が良さそうだと思った分野は、発音の復習。  作者の語りや最後の歌の部分は無視して、2章から5章のみの利用。確かに発音も聞き分けも結構できるようになってきたように思える。  余談だが、舌の位置を意識しながらやっていると、音声言語は耳で聞き取ることのできる舌・唇・喉のジェスチャーであるという説が、ますます納得できるような気分になってくる。 お...