書評

政治経済社会

『ヤバい経済学』とセットで読め! ティム・ハーフォード『まっとうな経済学』

『ヤバい経済学』を買ったとき隣に並んでいた。邦題とカバーもわざわざ『ヤバい経済学』と似たようなイメージになっていた。 原題は"The Undercover Economist"で、本文中にたびたび出てくる「覆面経済学者」に相当する単語で、全然関係がない。「あからさまな便乗商法だな」と思いつつ前書きを読んだら予想外に十分独立して面白かったので一緒に買って帰った。 『ヤバい経済学』は、経済学者が経済学...
政治経済社会

冷徹な頭と温かい心 スティーヴン・レヴィット スティーヴン・ダブナー『ヤバい経済学─悪ガキ教授が世の裏側を探検する』

こちらを見て購入したが大正解。確かに最近読んだ本の中では別格の面白さ。 経済学の本というより「経済学者がその着眼点と手法でもって普段経済学が扱わない社会の事象を研究したらどうなるか?」を書いた本だ。学校の先生も相撲の力士もそれをするインセンティブがあれば八百長をする。統計データから見抜くこともできる。KKKも不動産屋もその力の源は情報にある。正しい情報が知れ渡ってしまえば力を失う。麻薬を扱ってるギ...
WEB情報通信

山口和紀 古瀬一隆『新The UNIX Super Text 改訂増補版』

こちらも同時に買った本だが終了。 私は初めてのPCがすでにWin3.1という完全なGUI世代で、しかも大学も情報学科でないためコンピューターは使ってもLinuxは使わず、結局就職するまで完全にUNIX(というかコマンドライン)知らずだったのだ。お前はアホかと言われそうだが本当の話。 この本はよかった。電話帳みたいにごっついだけあって単純に使い方だけでなくて、歴史・思想まで踏み込んでしっかり書いてあ...
WEB情報通信

B.W.カーニハン D.M.リッチー『プログラミング言語C ANSI規格準拠』

長い間やっていなかったCを思い出すために少し前に買ったもの。 入門書っぽいものかと予想していましたが全然違いました。Amazonの書評などでも言われていますが、すでに理解している人が理解を深めるために使う本という印象です。 プログラミング初心者が読んだら確実に途中でつまらなくなってやめてしまいそうですし、Cの初心者でも途中からは辛いかも知れません。 私の場合Visual C++4.0の頃に遊びで一...
文化芸術宗教

古びぬ宇宙観と古びた生命観 オラフ・ステープルドン『スターメイカー』

ずいぶん長い間SF小説なんか読んでないなと思って挑戦。あるイギリス人がいきなり幽体離脱して、時空を股にかけて様々な生態を持つ人類とテレパシーで交信したり霊的に一体になったりしながら宇宙の創造主(スターメイカー)に迫っていくという話。 あらすじはもっと詳しく書いてあるページが沢山見つかったのでここではこれ以上書かない。確かに絶賛されるだけのことはあるのはわかったが、個人的は今読んでも面白いとは言いか...
科学技術哲学

サイモン・シン『ビッグバン宇宙論』

サイモン・シン三冊目。もちろん十分面白かったが、『僕らは星のかけら』(これも超オススメ)とかぶる内容が多かった。 しかも、宇宙背景放射が観測されビッグバン理論が主流になるあたりで終わってしまっているので個人的にはちょっと物足りなかった感じ。その先にも大統一理論の話とかまだまだいくらでも面白くできる要素があったと思う。 しかし相対性理論の説明が(相対性理論が主題の本も含め)この手の科学啓蒙書の中で一...
科学技術哲学

サイモン・シン『暗号解読 ロゼッタストーンから量子暗号まで』

題名通り暗号の古今東西を扱った本。著者は以前紹介した『フェルマーの最終定理』のサイモン・シン。 フェルマーの最終定理ほどではなかったがやはり最高に面白かった。暗号について何か一冊だけということなら迷わずこれを薦めることになるだろう。 特に公開鍵暗号の技術はインターネットを利用している人の多くがそれと意識することなく日常的にお世話になっているはずであるし、知っておいて損はない分野である。 それにして...
ゲーム森羅万象

スティーブン・ジョンソン『ダメなものは、タメになる テレビやゲームは頭を良くしている』

これはいい本だ。ある種の人たちは考えもしないことで、逆の種類の人たちはあまりにも当然だと思って、それぞれ言わないでいることを、まとめてはっきりさせたという点で素晴らしい価値があると思う。 主張は極めて明解で首尾一貫している。以下は私なりの要約。 「ゲーム脳」の例を引くまでもなくゲームやテレビが人々、とりわけ子供を白痴化させるという言説は極めて一般的であるがそれは多くは偏見に基づく嘘である。仮に本が...