科学技術哲学 エドワード・O・ウィルソン『創造―生物多様性を守るためのアピール』 エドワード・オズボーン・ウィルソンが、科学とキリスト教が協力して生物多様性の保護に取り組もうと、仮想の南部バプティスト派牧師に対し訴えかける、という本。 はっきり言って、試みそのものが成功しているとは全く思えない。当たり前だが、ウィルソンは神の創造は嘘で進化が事実であるということについては一歩も譲る気はないわけで、牧師にとっては、 「私たち科学者は、君たち牧師が一番大事だと信じていることが全くの... 2010.8.1 科学技術哲学
おすすめ書評まとめ 書評在庫一掃セール2010年7月版 最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『シー・シェパードの正体』★ 佐々木正明著。興味ある人は押さえておいてほしいけど、日本では、シーシェパードをそのまま信じている人なんてあ... 2010.7.31 おすすめ書評まとめ
科学技術哲学 マイケル・S・ガザニガ『人間らしさとはなにか?―人間のユニークさを明かす科学の最前線』 これはかなりおすすめ。タイトルそのものの内容に興味がある人すべてに。 本編だけで500ページ以上ある、すごい大著だけど、これでもかというぐらい様々な内容が次から次へ出てくるので飽きない。 関連書籍に並べた本のような多様な分野の研究に言及されるので、最初の1冊としてもベストじゃないかと思う。 つまり、まずここから読み始めて気になった参考文献を辿っていくという使い方にもってこい。 関連書籍 おま... 2010.7.17 科学技術哲学
おすすめ書評まとめ 書評在庫一掃セール2010年6月版 最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『火星の人類学者―脳神経科医と7人の奇妙な患者』★★★ オリヴァー・サックス著。『動物感覚』でこれだけ読み落としていたことに気づいた。『... 2010.6.29 おすすめ書評まとめ
科学技術哲学 みんな進化論を絶対視しすぎじゃないかな マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学』 元より長くなってしまったが、上記エントリに対する補足。 はてなブックマークのコメントなどで、あまり予想していなかった反応がいくつかあった。そのほとんどは「ちょうど進化論以前の生物分類学のようなものになる」という部分を、過度に否定的な意味に受け取った結果と思われる。 進化論ほど広く受容され使用されている理論には... 2010.6.24 科学技術哲学
科学技術哲学 マーティン・ガードナー『奇妙な論理 だまされやすさの研究』 最近亡くなったマーチン・ガードナーによるニセ科学本の古典。原題"In the Name of Science."(『科学の名の下に』) 原著は1952年著と相当に古く、単に多くのネタが昔の話であるというだけでは済まない。一例を挙げれば、「ニグロ」という単語が、単に「黒人」という意味でなんの注釈もなしに使われる。現代ではありえないことだ。 この本の面白さは、それほどまでに古いにも関わらず、その価... 2010.6.22 科学技術哲学
科学技術哲学 ネクトカリスはイカだった!? Nectocaris: mystery fossil was actually a 500-million-year-old squid relative | Not Exactly Rocket Science | Discover Magazine バージェス動物群について久々に面白いニュースが。ハルキゲニアの上下逆転以来の衝撃かもしれん。 摩訶不思議と思われていた化石が徐々に既知の分類に... 2010.5.30 科学技術哲学
科学技術哲学 ダニエル・C・デネット『スウィート・ドリームズ』 目下バカ検知ワードとして大活躍中の「クオリア」についての議論。 分子やエネルギーについて何もわからなかった頃の「フロギストン」や「カロリック」 DNAや酵素について何もわからなかった頃の「生気」 素粒子や時空について何もわからなかった頃の「エーテル」 などと同様に、まだ神経や脳について詳細がわからない時代であるが故に抱くことが可能であるだけのどうでもいい概念だというのが著者の立場。 内容そのも... 2010.5.29 科学技術哲学