科学

科学技術哲学

サイモン・イングス『見る―眼の誕生はわたしたちをどう変えたか』

視覚全般に関する本。質・量・ひろがり・まとまりどの基準を取っても最高クラスです。超おすすめ。プロローグ 若さと老い第1章 感覚の共同体第2章 視覚の化学第3章 どのようにして眼は可能になるのか?第4章 適応する眼第5章 見ることと考えること第6章 視覚の理論第7章 視覚能力を授けられた神経質なシロモノ第8章 色を見る第9章 見えない色第10章 眼が見るということエピローグ 見えないゴリラ ついでだ...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2009年8月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。『オオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険』★★★ 鈴木光太郎著。懐疑本としてなかなかおすすめ。『オオカミ少女はいなかった 心理学の...
科学技術哲学

ジョン・ホイットフィールド『生き物たちは3/4が好き 多様な生物界を支配する単純な法則』

ダーシー・トムソン以来のアロメトリーの話題から始まって、生物学・生態学に対する数学的・工学的アプローチに関する本としてなかなかうまいことまとまっている。 昔『ゾウの時間ネズミの時間』という本が流行ったけど、あの頃から比べるとまたかなり理論が進歩しているので、更新してみるのもいいのでは。おすすめ。 余談だが、この話をガリバー旅行記で説明した絵本を読んだような記憶があるのだが、情報を引き出せない。 か...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2009年5月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。 ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。『パノラマ島綺譚』★★★★ 江戸川乱歩:原作/丸尾末広:画。これ以上ありえないぐらいはまってる組み合わせ。『顔は口ほどに嘘をつく』★★ ポール...
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フェリペ・フェルナンデス=アルメスト『人間の境界はどこにあるのだろう?』

詳しくはshorebirdさんのところを参照してほしいのだが、私も長谷川眞理子先生訳と書いてなければ手に取らなかったような気がする。内容的にも訳者あとがきのところが一番有益だったような。 どうも『ゲノムと聖書』に似たような「西洋思想の枠組みからは絶対に出ないぞ!」というマイナスの決意みたいなものがちょっと鼻に付く。 『ゲノムと聖書』同様に、最初からキリスト教と西洋思想の伝統にしがらみがない人には大...
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ジョー・マーチャント『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ』

オーパーツはアニメ・コミック・映画の世界ではよく出てくるが、残念ながら現実ではどれも捏造か勘違いだ。ほぼ唯一の例外が、紀元前の沈没船から発見されたこれ。  アンティキティラ島の機械と呼ばれる、高度な機械仕掛けの時計のように見えるもの。どう考えても一般に知られている機械式時計の発明よりも1400年は早い。  アーサー・C・クラークは「この知識が継承されていたなら、産業革命は1000年以上早まり、いま...
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フランシス・コリンズ『ゲノムと聖書:科学者、〈神〉について考える』

『神と科学は共存できるか?』の頃からチェックリストには入っていたがやっと読んだ。感想は下の雨崎さんの感想にほぼ一字一句同意。 ほんとまじめなんですよ、この先生。自分の良心の落としどころを求めて、あれやこれや試行錯誤に調整を試みた末の、せいいっぱいの”有望な”神の延命計画を提案しているんですよ。インテリジェント・デザイン(ID)説に苦言を呈しーの、有神論的進化論を試しーの、バイオロゴスはどうかと打診...
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グレッグ・イーガン『TAP』

久々にグレッグ・イーガンの短編集。やっぱり現代最高のSF作家と言われるだけのことはある。『TAP』『銀炎』『ユージーン』の3作は思想といい知識といいネタといい、この人らしさがよく出ていて私は好きだな。おすすめ。『新・口笛テスト』 一度聞いたら絶対忘れない曲を計算で編み出す方法が発明された。星新一を連想させるコマーシャルネタ。まあまあ面白い。『視覚』 撃たれた後遺症で常に主観的に幽体離脱状態になって...