進化

科学技術哲学

ニック・レーン『生命の跳躍――進化の10大発明』

ニック・レーン三冊目。これまでの本と重複する部分も多かったが、今回もとても面白い。 はじめに 進化の10大発明 1 生命の誕生――変転する地球から生まれた 2 DNA――生命の暗号(コード) 3 光合成――太陽に呼び起こされて 4 複雑な細胞――運命の出会い 5 有性生殖――地上最大の賭け 6 運動――力と栄光 7 視覚――盲目の国から 8 温血性――エネルギーの壁を打ち破る 9 意識――人間の心...
政治経済社会

マット・リドレー『繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史』

原題は『合理的楽観主義者――繁栄はどのように進化したか』ぐらいの意味。直訳の方が良かったのではないかと思うこと以外はまったく素晴らしい。強くおすすめする。  内容的には、すでによく紹介されているところがあるのでそちらに譲るが、ちょうど関連書籍に並べたような本の内容をまとめたような感じになっている。これまで好意的に紹介してきたものばかりなので、同時におすすめ。 参考リンク 書評 「The Ratio...
科学技術哲学

マイケル・コーバリス『言葉は身振りから進化した―進化心理学が探る言語の起源』

言語の起源については大昔から、神話的なものから、こんなのみたいに多少は実証的なものまで、いろいろな説があったわけだが、それが「音声」言語であることは、比較的近代になるまで自明のことと思われていた。  しかし最近は、音声言語より先に手話のようなジェスチャー言語が先にあったのではないかと思われている。この説はわりとよく聞いていて正しそうだと思っていたが、これ一本に絞った本は初めて。  声と言語は同じで...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年10月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『5万年前―このとき人類の壮大な旅が始まった』★  ニコラス・ウェイド著。ところどころちょっと勇み足っぽく見えるところがあるが、悪くないと...
おすすめ書評まとめ

書評在庫一掃セール2010年9月版

最近読んだ本、またはずっと紹介したいと思っていた本の中から、個別エントリにするタイミングがなさそうなものを、まとめて一挙紹介。  ★は1-5個でオススメ度。人に薦める価値がまったくないと思うものはそもそも取り上げないので、1個でもつまらないという意味ではない。 『犯罪の生物学―遺伝・進化・環境・倫理』★★★★★  D.C.ロウ著。これはいい。すごくいい。このテーマピンポイントでは、基本にして最高と...
科学技術哲学

デイビッド・J・リンデン『つぎはぎだらけの脳と心―脳の進化は、いかに愛、記憶、夢、神をもたらしたのか?』

1章 脳の設計は欠陥だらけ? 2章 非効率な旧式の部品で作られた脳 3章 脳を創る 4章 感覚と感情 5章 記憶と学習 6章 愛とセックス 7章 睡眠と夢 8章 脳と宗教 9章 脳に知的な設計者はいない  「進化上の制約」という観点から一本筋を通した脳本。  最近流行なのか、よく似た感じの本もありそうだけど、初心者向けで、かつレベルも低くないので大変おすすめ。  個人的に、1箇所だけ飛び抜けて印象...
ゲーム森羅万象

ソーシャルゲームは誇示的消費を考慮に入れた新しい人間性ハックだ

shorebirdさんのところで『Spent.』の連載やってるからか、誰かがグリーやモバゲーを下流食いと揶揄して物議を醸した話に関連して、考えてみたくなった。 妄想の翼広げて 人生・MMORPG・麻薬・ライフハック  上記エントリの続きでもある。この時の要点は、MMORPGのようなゲームが、一種の人間性ハックになっているということだった。  あの時代にはまだ、現在ソーシャルゲームと呼ばれているもの...
科学技術哲学

サイモン・コンウェイ・モリス『進化の運命:孤独な宇宙の必然としての人間』

Togetter - 「サイモン・コンウェイ=モリス『進化の運命:孤独な宇宙の必然としての人間』を読む前に考えていたこと」  読んだ。けど、残念ながら、読む前に考えていたこと以上の収穫は特になかった。  チチュルブ隕石がなくても「恐竜人」が生まれただろう、とは流石に言ってはいなかったが、ある意味それより身も蓋もないことを言ってた。  当時、地球はすでに寒冷化に向かっていたから、隕石がなくても、いず...