進化

科学技術哲学

シンギュラリティ(技術的特異点)はとっくに過ぎている

神様はどこにいるか? - 言語ゲーム  最近UIEジャパンに入社した山宮隆さんのエントリを読んでいて、いつかしようと思っていた技術的特異点の話を思い出した。  私はレイ・カーツワイルの言うような意味でのシンギュラリティの概念は眉唾だと考えている。  確かに、いかなる人間よりも賢い人工知能を作ることはそう遠くない将来に実現する。(考えようによっては既にできている。)しかし、そのAIを作る(作った)の...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2011年12月版

『イカの心を探る―知の世界に生きる海の霊長類』★★  池田譲著。結構おもろい。 書評 「イカの心を探る」 - shorebird 進化心理学中心の書評など 『アフリカを食い荒らす中国』★★★★  セルジュ・ミッシェル著、ミッシェル・ブーレ著。邦題がクソだが、内容はとても興味深い。オススメ。 『生物の社会進化』★★★★★  ロバート・トリヴァース著。昔これで見たはずのエピソードを確認したくて借りてき...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2011年11月版

『古代ローマ人の24時間---よみがえる帝都ローマの民衆生活』★★★  アルベルト・アンジェラ著。結構面白い。 『容疑者Xの献身』★★★★  東野圭吾著。映画未見。確かに久々に推理小説で面白いと思った。 『進化心理学入門』★  ジョン・H. カートライト著。タイトル通り。教科書的。 『クジャクの雄はなぜ美しい?』★★  長谷川眞理子著。性淘汰もの。初歩的だけどいい。 『加害者家族』★  鈴木伸元著...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2011年8月版

『スーパーセンスーーヒトは生まれつき超科学的な心を持っている』★★  ブルース・M・フード著。副題の通りの内容。よい。 書評 「スーパーセンス」 - shorebird 進化心理学中心の書評など 『赤ちゃんはどこまで人間なのか 心の理解の起源』★★★  ポール・ブルーム著。タイトルほど赤ちゃん中心ではなく、むしろ上の『スーパーセンス』に近いテーマ。これもかなりよい。 書評 「赤ちゃんはどこまで人間...
科学技術哲学

エドワード・O・ウィルソン『人間の本性について』

エドワード・オズボーン・ウィルソンのピュリツァー賞受賞作。内容はタイトル通りで、賞に相応しい素晴らしさ。  私が生まれた年の本だが、いま見てもそれほど古びていない。問題になりそうなほど古いのは、同性愛を擁護するのにヘルパー説に頼っているところぐらいか。  同じ人間が『創造』みたいなすっとこどっこいな本を書いたとは、なかなか信じられないほどだが、この本のラストには、それに繋がった問題意識がすでに見ら...
おすすめ書評まとめ

おすすめ本書評まとめ2011年7月版

『ホロコーストを知らなかったという嘘―ドイツ市民はどこまで知っていたのか』★  フランク・バヨール著、ディータァ・ポール著。みんな薄々わかっていることながら、まあタイトル通り。 『図解・感覚器の進化』★★★★  岩堀修明著。久しぶりにすごくいいブルーバックス。図解多し。おすすめ。 『プルトニウムファイル』★  アイリーン・ウェルサム著。ちょっと今話題の方向性とはずれてるけど、プルトニウムはプルトニ...
科学技術哲学

ニコラス・ウェイド『宗教を生みだす本能 ―進化論からみたヒトと信仰』

原題"THE FAITH INSTINCT"。スティーブン・ピンカーの"THE LANGUAGE INSTINCT"(『言語を生みだす本能』)を意識して、その向こうを張ったものだ。  宗教を生み出し運用する能力は、言語を生み出し運用する能力と同じく、集団を内部で結束させ、他集団との戦闘などで有利にするために、進化によって積極的に選択された本能であり、何かの副作用でたまたま生じたわけではない。  と...
文化芸術宗教

テッド・チャン『顔の美醜について』について

「顔の美醜について」のキモいところは、美醜という価値判断そのものの自明性が疑われない中で、藪の中のようなインタビュー的構成をとることで「多様な意見がある」とみせかけながらその全部が「悪平等を求める(戯画化された)フェミニスト」をバカにすることを媒介にしてつながっていることです。 (Twitter / @hokusyu82: 「顔の美醜について」のキモいところは、美醜という価値 ... )  という...